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70人裏垢不倫夫と離婚バトルに突入する話 ② 〜続・弁護士めぐりの旅〜

(前の話はこちらから、1番最初の話:発覚の経緯から読まれる方はこちらからどうぞ!)

2つ目の弁護士事務所へ

1件目から良い弁護士さんに出会えたが、残り2つの事務所も予定通り尋ねることにした。理由はボス先生の方針があっているのか・着手金や成功報酬などの相場を確認したいと思ったためだ。セカンドオピニオンは大事。
結婚という重大な選択において比較検討を怠った反省がまさかの離活で発揮されるという皮肉な事態である。

2つ目の事務所は30分5000円の有料相談であった。かなり大規模な事務所で大きな事務所が県内に2つある。その内の高層ビルに入った1フロアを訪れた。夜間対応で仕事の後にお時間を作ってくださったので、窓の外には夜景が広がっていた。出てくるお茶もなんとなく美味しく思える。
入ってきたのは見た目は時任三郎、話し方は田村正和のシュッとしたダンディな先生だった。都会的である。ちょっと潔癖かもという紹介者コメントを聞いて心配していたのだが、先生は案の定夫に対しめちゃめちゃ引いていた。「はあ、これはいけない、非常に悪質だ」となんならちょっと頭を抱えていた。
流れとしてはボス先生とほぼ同じであったが、新しい発見もあった。

時任「義理の父親ですが、何か対処したいという意向はありますか?」
私「ひどい仕打ちを受けたという認識はありますが、これは暴行罪や強要罪には当たらないですよね。強要未遂にならないかなと思ったんですけど…」
時任「それが難しいとしても、精神的苦痛を与えられたことは明確なので、慰謝料を請求ができる可能性が高いでしょう」
私「おお」
時任「ただ着手金などを考えると、そこまで多くは回収できないかもしれないので、絶対にやるべきとは言えません」
私「回収できなくてもやりたいなら、可能性はあるということですね」

プライドが高く、目下と判断した相手に対してちょっとした暴言が長年許されてきただろう義父に少額だとしても「慰謝料を支払わせる」ということにはかなり意味があるように思えた。


時任先生が考える夫の出方

私「相手に代理人がついたら、どういう形で進みそうでしょうか?」
時任「依頼人の意向もあるので一概には言えないのですが…
もし私が相手方の代理人を引き受けるとしたら、まず早期離婚が優先事項に考えると思います。こんな内容で裁判というのは絶対に避けたいでしょうし、離婚までの時間がかかればかかるほど婚姻費用の額は大きくなります。できれば協議で終わらせたい。そのために本来払う必要があった婚姻費用額を慰謝料に乗せて通常より高額で提示する、というのが一般的な流れですね」
私「本来払う必要があった婚姻費用というのはどう考えればいいですか?」
時任「有責配偶者からの離婚請求は調停でも裁判でも認められないのですが、例えばこの先別居期間が長くなれば、不貞行為ではなく、別居期間を理由とした離婚請求をすることができます。一昔前までは別居期間は10年20年ないと認められないという感覚だったのですが、最近は5年くらいでも認められることもあります。例えば、相場の慰謝料に5年分の婚姻費用を乗せて…という考え方はできますね」
私「なるほど、先方には別居を離婚原因にできるまで粘るという手があるわけですね」
時任「ただそれはあくまでこちらが応じない場合ですね。今回は特殊な事例ですし、別居事由でも裁判で離婚が認められない可能性もケースバイケースでもちろんある訳ですから、交渉を成立させるのが優先でしょう。収入を見た感じ、慰謝料を払えない経済状況ではないですし…」
私「それだと、早期離婚のためにこちらが納得する慰謝料額を頑張って提示するのが相手ができること、という感覚ですね」

私「ところで、このような事件はよくあるものですか?」
時任「まさか。ここまでのものは見たことがないですね。調停や裁判でもかなり驚かれると思います。」
私(やはり…!)
時任「不倫をしてしまう人はいます。でも自分の姿をインターネットにというのは、なかなかいないですから。何故こんな馬鹿なことをしたのかという理由が全く分からない。うーん…法学部なんですよね…?」

時任先生は本当に困惑しているようだった。
先生、安心して下さい。私も全く分かりません。


3つ目の弁護士事務所へ

3つ目の事務所も30分5000円の有料相談。ここは古い事務所であった。
紹介された先生とは知人が敵サイドで対峙したことがあるそうで、その際にめちゃめちゃ強かったのでボコボコに負けたのだという。だから紹介者の名前は伝えていない。どういう紹介だよなんですけど本当ありがとうございます。
どんな波動の使い手が出てくるだろうかと思って待っていると、毛玉だらけのよく分からない色のセーターに銀縁眼鏡のおじいちゃんが入ってきた。
見た目も喋り方も中村梅雀であった。そして手には六法全書を抱えていた。完全にラスボスの様相である。

梅雀先生は肌色のエクセルをゴミを見るような目でめくりながら「こいつは性根が腐っている」「このような人間は絶対に反省することはない」と口早に夫をディスっていた。慰謝料や婚姻費用の流れはボス先生と一緒であったが、とにかくこの先生は早く縁を切る方向だった。

梅雀「こんなのに関わったらろくなことがない。一刻も早く別れる方向で動かなくては」
私「自分としては、スピードはあまり重視していなくて、やったことに関する責任をきっちり取って欲しいと思っているのですが…」
梅雀「その内自然にバチがあたる。あなたが体を張る必要はない」
私(そうきたか…)

これはもしかするとある意味最も依頼人の利益を考えている考えかもしれなかった。しかしサクっと離婚し夫を簡単に世の中に放流するのは再犯を考えると社会的にも良くないし、自分も納得できないと私は思った。

私「体を張る覚悟はできています。ここまで来たら最後まで事件に向き合うつもりです」
梅雀「あなたが思っているより人の精神はもろい」

梅雀先生はホワイトボードに大きなひし形を書きだした。氷山のイラストである。

梅雀「あなたが自覚している自分の心は上の部分だけ。もっと自分でも見えていないところがボロボロになっていて、気づいた頃には割れてしまったり大きく崩壊してしまうことだってある」
私「うーん」

こんな感じ

私「先生の予想では、先方はどういう形で進めてくるでしょうか?」
梅雀「父親も財力がありそうだし相場の上限くらいの金額ならポンと払うでしょう。さっと終わりにした方がいいと私は思うけど」
私「それだと本人にとっては特に痛手ではないんですよ」
梅雀「こんなの性根が腐っている訳だからあなたが期待するような反省や謝罪はまず得られない。痛手を与えたいと言っても、価値観が違う訳だからできない。まず自分のせいだと思っていないんだから。そんなんだったらあなたの時間を大事にした方が私はいいと思うけどね。ほかっておいたって、バチはどこかで必ず当たるから大丈夫」
私「うーん」


弁護士巡りを終えて

3つの事務所に行ってみて、大変だったがとても勉強になった。もし今後自分や周りの人がトラブルに巻き込まれたときも、あまりアワアワせずに弁護士を探したり頼ったりできる。どうしてこうなったではあるものの、人生経験としては1レベルアップできたと思う。(思いたい)

また事件について自分で説明し、先生方の反応を見る中で「ふ~ん、やっぱりクズじゃん」と今まで以上に事件を客観視することもできるようになった。結果として自分が置かれた状況は割と過酷であることが分かった。
結論として、プロに任せることにした。2件の事務所で迷いつつ最終的にはフィーリングである。

後日、いただいた委任契約書を片手に私はATMの前にいた。
着手金は払えない額という訳ではないがもちろん安くはない。1カ月の手取りは軽く超えるし国内旅行ならかなり楽しく豪遊できる額である。なぜ被害者の私がATMの前で手汗をかいているのかと思うと腹が立つ。
マジで、マジで、どうしてこうなった???でももう行くしかない、過去と他人は変えられない、変えられるのは自分と未来だけ、、、

プロポーズされたらゼクシィだし、不倫されたら弁護士ィなんだよ、、、

ボス先生!若先生!よろしくお願いしまあああす!!!!


実際のところ時任先生にするかはかなり迷いましたが、自分が話しやすいという観点からボス先生と若先生にお願いしました。
しかし先生方もこんな長い付き合いになるとは思わなかっただろうな〜

追記:補足編を書きました!資料一覧が見られますのでぜひこちらからご覧ください。大声で言いづらい部分は有料設定にしています。読まなくても話の筋に影響ないので、必要な方のみぜひどうぞ!

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