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この都市の数少ない不満点

四半世紀ほど前、「パリ症候群」なる病気が話題になったことがあると聞いたことがある。外国に対して憧れや理想を抱いてそこに旅行/生活にいった日本人が、その現実のギャップなどに驚き精神を病んでしまうというものだ

自分は元々海外に出るのが好きだったし、ヨーロッパにも何度か旅行を経験している。またベトナム、ミャンマーで合計4年ほど勉強をしていたため、日本以外の国に対して過剰な憧れを抱いたり、日本のような便利さを求めようとすることはあまりない。電車やバスが多少遅れるだとか、店の食材の品揃えや質があまり良くないだとかは慣れっこだ
ここまでこんな前振りをしたのは、そんな自分が久しぶりにこの都市に対して敢えてブログに書きたいほどキレたことがあったからだ

先日、僕はウスターソースとケチャップ、赤ワインを細かく刻んだ玉ねぎを煮込むことで、擬似的なデミグラスソースが作れることを発見し、それを元に包み焼きハンバーグを作った


お皿を汚すことなく食べることができ、概ね満足な出来栄えだったと思う

実はヨーロッパではデミグラスソースをあまり使うことがないらしい
作るのに時間がかかり、何日も煮込む必要があるからだとか
そんな理由か自分の住んでいるフローニンゲン市の市場や、スーパーにはデミグラスソースが置いていない
それでも普通のデミグラス缶も欲しいと思い、インターネットで検索してデミグラスソースを売っているという、「Makro」なる郊外の店に赴いた

その道のり自体もなかなか長く、今日は強風が吹いていたこともあり、道中がかなり大変だったのだが、MakroはなんとBtoB専用のマーケット、企業のライセンスなしには入ることすらできない場所だった

長い道のり徒労に終わり、道なりのマクドナルドで昼食を済ませた私は向かい風をなんとか凌ぎながら、帰路に着くと待っていたのは封鎖されたいつもの小道であった

なんの告知もなく封鎖された道、半年累計でこれで5回目くらい

これが今日の本題、「フローニンゲン工事問題」である
大きな都市であるため、フローニンゲンではどこかしらで必ず工事が行われている。特に南部の大きな橋は何度も改修工事を行っているのをみている
この工事にいくつかの不満点がある

まず長い。長すぎる。写真の通りの先の道路は、自分がフローニンゲン市にきた去年の9月には既に工事を行なっていて、それが未だ終わっていない。
大規模な工事である他、コロナの時勢であるためどうしても、施工が長引いてしまうのは理解できるものの、それでも不満は募る
一度道の閉鎖が始まると、一ヶ月以上そこが通れないということはザラにあるため中長期的に遠回りを余儀なくされてしまう

1ヶ月半前から封鎖されている道。先の道が塞がれていることで、家から大通りへの道が封鎖されてしまい、学校へ15分ほど遠回りする必要がある

二つ目に、閉鎖が突然。この道路に限らず、ほぼ全ての道路がなんの告知もなく封鎖されてしまう。オランダ語の看板などもなく、昨日通れた道が、今日には通れないということが起こり得る。これにより朝の登校の時、普段使っていた道が突如として封鎖され、知らない道へと大回りを余儀なくされる
こうしたことが少なくない頻度で起こる

三つ目に、目的が見えず、計画がそぞろ。工事の途中経過は普段工事現場の側を走っているため毎日見ている。そうすると、その工事の進み方がおかしいように思える。例えば封鎖して綺麗にした道を再度封鎖し、もう一度元に戻したり、以前の工事で作られた新しき道になると思わしき盛り土が撤去されたり、まるで掘り返した土を元に戻す有名な拷問のような進捗をしている
工事の範囲も普通であれば、小さなセクションごとに小分けにして集中的にやるはずのものを、ものすごい広範囲の工事を中途半端に少しずつ行なったりと効率が傍目から見ても悪い
試行錯誤をしながら工事を行なっているか、はたまた雇用対策で無理やり工事を行うことが目的化しているのか、と勘ぐりたくなるほど、やり方がスマートでないように思える。そんなことで何度も道を封鎖されて遠回りを余儀なくされてはフラストレーションも溜まるというもの

オランダは水の国だ。その歴史と繁栄は常に治水と共にあり、それゆえに運河が多く、大通り同士の交通の弁は決していいとは言えない。それ故、工事によって小さな道ひとつ封鎖されるだけでも大きな遠回りを余儀なくされることがある。朝早くから通学しなければならない学生としては、せめて看板にオランダ語でいいから封鎖の事前告知をしてもらえるとありがたいのだが…

いずれにせよ、これが私の数少ないこの都市に対する不満点である

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