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家賃補助と安楽死

先日、引っ越しをしたことで学生用の家賃補助を受けることができた。
補助金を受けるための物件の条件は「部屋に個人のお手洗いがあること」「家賃が月々450ユーロ以下であること」であった。

ホームステイ的な部屋の間借りや、複数人で物件を共有させないための措置なのだろうが、中々興味深い制限の仕方だと思う。
しかし、トイレがついてる部屋を見つけることは簡単なことではない。自分は丸2年かかったことを付記しておく。

補助金を受けるため行政サービスや法律について精査していた時、見慣れない単語を見た。
”Euthanasia”、つまり安楽死に関わるポリシーについての説明だった。人の生死が関わることなので、政府のサイトに掲載されているのはある意味当然のことではある。しかし家賃補助と同じように安楽死についての情報を掲載されているということ自体が自分にとっては衝撃だった。

とはいえ安楽死自体はさまざまな条件を乗り越える必要があり、ただの渡航者が安楽死を受けることはできない。当然、「人生が終わった」とか「飽きた」といった理由でもこの政策を利用することはできない。
執行する医者にはかなり強い責任と制限、そして不当であった場合の重い罰則が課せられている。

同時にこの政策は心の底から死にたいと考える人を止めようとはしていない。「死」の権利さえ与えているのだという印象を強く受けた。

死の権利とは生きる権利が用意されているが故のものだろう。
では死の権利を与えない国はどのように生きる権利を担保しているのか。死の権利を与えない国にとって、別の国が死の権利を与えているということは何を意味するのだろうか。
死の権利はどこまで与えていいものなのだろうか。

日常の中であまりにも唐突に踏み込んでしまったが故に、直ちに確信的なことを言うことはできないし、簡単に結論は出せない。
異国に在住していると言うことは、ある日突然、考えもしなかったような「違い」を目の当たりにすることでもある。今まで知った気になっていたことについて考えるきっかけを貰えた。

*その後、少し進展があったので是非読んで欲しい


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