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ネットワークビジネスに引っ掛かってしまった人の話

以前ノリと勢いで書いたこの記事。

「行動力やばいな笑」「そうなってるんや!」「ただただ面白い笑」など、予想外に多い反響をいただけて嬉しかったです!ありがとうございます!

あと、この反響と同時に、「危なくない?」「危険やからやめとき」というご指摘もありました。正しくその通りです。
前の記事でも少し書きましたが、粗悪なネットワークビジネスに乗っかると、儲けどころか数十万の損失になることがあります。なので、本来は怪しいビジネス勧誘のDMに乗っからないのが正解です
あなたも気をつけてくださいね。

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こうした多くのありがたい反響の中に、衝撃のメッセージが一つありました。

“この事実、もっと早くに知りたかった。知ってたら、お金を失うこともなかったのに”

このメッセージの主は、ぼくの友達でした。

これをて見てかなり驚きました。
こんな身近に被害者がいるとは思ってなかったから。
自分の友達にあの毒牙にかかっていた人がいたとは思ってなかったから。

衝撃すぎてすぐには返信出来なかったけど、一つの決意を持って「会って話を聞かせてほしい」と返した。
そして後日会って、一通り話を聞いた。

その後、友達に「この話noteに書いてもいい?」と尋ねた。
先に断っておくと、注目を集めたいとか興味本位で尋ねたわけではない。
ぼくの書いた記事は、勧誘前の話。けど、その友達はその先を体験した。
それこそ、みんなが本当に知るべき「危険」だと思った。
だから、このことをせめて周りの人に知ってもらおうと考えた。
このことを全て説明したうえでお願いして、「友達自身が特定されないようにする」という条件で許可をもらった。

なのでここから、その友達の体験談を書いていく。
これを読むことで、粗悪なネットワークビジネスがいかに危険か、そしてぼくがいか舐めたことをしていたのかが分かると思う。

この記事が、あなたを卑劣な毒牙から守る盾となれたら光栄です。
※友達はこのビジネスで一切の収益もあげていないうえに、今は一切行っていません。

よくあるDM

この友達のもとにも、あのDMが届いていたらしい。
ぼくはそのDMを送ったアカウントを見せてもらったが、どうやら男のようだ。

こんにちは!○○と申します!
私は今、PC1台でお金に困らない自由な暮らしを手に入れています!
そんな働き方に興味ないですか?

上の文は実際の文章を簡素化したもの。
このDMを見た友達は靡かれて返信したという。

この時の友達はバイトでの収入に不足感を覚えていたという。
友達との遊びや趣味に使いたい金額と収入が合わずに我慢の日々を送っていた。そんな矢先にあのDMを見て飛び込んでしまったそうだ。
これを振り返った友達は、「冷静に考えたらおかしいことは分かる。けど、あの時の私には見えていなかった」と言っていた。

そのあとしばらくDMでやり取りをした後、直接会って話すことになった。

カフェでのお話

約束の日、大阪市内某所のカフェで待ち合わせた。
その男は友達と同い年でカジュアルスーツを着ていたそうで、いかにも「ビジネスやってる」感が出ていたそうだ。

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しばらく、その男とビジネスとは関係のない話をした。
この時友達はその男に親しみやすさを感じたそうだ。ビジネス勧誘のイメージにあった「一方的な語り」がなく、よくカフェで見るような普通の楽しい会話をしたそうだから、少しあった懐疑心がなくなったという。
これについて振り返っていて、「あの時の会話がすでに男の術中だった。男が巧みなのか、私がバカだったのか…」と言っていた。

そうして会話内の自然な流れで、男がビジネスを始めるきっかけを語っていた。どうやら男も紹介された側の人間だそうで、元々バイトを掛け持ちして奨学金の返済などをしていて、お金に苦労していたそう。そこで、PC1台で稼ぐ人から声がかかったみたいで、その人の元でビジネスに励んだところ、カジュアルスーツと高級時計に身を包んだ暮らしを手に入れたそうだ。

しかも、その男のインスタ投稿を見ると、大勢の仲間に囲まれて楽しそうにしている様子が見られた。それもあって、一気に男への羨望が強まった。

また自然な流れで、その紹介してくれた人が近くにいるはずだから来れるか聞いてみると言って、連絡を取った。その男は社長だそうで、連絡してから10分ほどでカフェに来た。
その男はスーツだったが、素人でも高価なものと分かるものだったそうだ。
「普段忙しくてこうして会えること自体珍しいんですよ!」と言われ、さらにプレミアが増したという。
これを振り返った友達が、「これも全て計画だったと思うと恐ろしい」とうなだれていた。

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今度は社長の説明が始まり、事業を起こした経緯と今やっていること、これからの夢を語ってくれた。
そして、自分が飛び込むビジネスの説明を受けた。内容は、自分の得意なことでコンテンツを作り、アドバイスを行うというものだった。
例えば、バスケ部の人だったら「バスケ上達のコツ」のコンテンツで相談・発信を行って報酬をもらうというものだそうだ。

友達曰く、この時「ネットワークビジネスといえば、マルチとかねずみ講のイメージが強かったから、これは思ってるネットワークビジネスとは違う」と思って信じたそうだ。しかも、自分の力を生かして稼ぐことが出来るというのに魅力を感じたそうで、7割はやる気になっていたという。

ビジネスの初期費用の説明を受けて、「売り上げが初期費用をすぐ超えるよ」と言われて、そのまま契約。

その友達は、ネットワークビジネスに足を突っ込んでいったのだ。

闇で見たもの

契約を結んでから、様々なLINEグループに加入したそうだ。
そこで自己紹介をすると、色んな人から「よろしく!」という反応をもらったそうで、「何かあったらぼくらに相談してね!」とも言われたそう。

そして、紹介してくれた男と社長と友達のLINEグループも出来たそうで、そのグループで進捗を確認するそうだ。
この時点で、友達はあることが気になったと言う。

それは、なぜ「ビジネスグループ全体」と「ビジネス初心者」のグループがないのかということだ。
時折、ビジネス作業を一緒にする作業会やクラブを貸し切ってのイベントもあったそうで、よく出欠確認を取られたそうだ。それに、紹介した男の投稿にもメンバーが集まる写真が多く載せられていた。にも関わらず、ビジネスグループ全体でのLINEグループがなかった。そのグループで確認したほうが明らかに早いにも関わらず…。
ちなみに、その友達は「面倒」という理由のみで行かなかったらしい。

そんな疑問を抱えながら、作業を進めていった。
そうすると、今度は育成担当の人がグループに入ってきて、その人の元で色々教わっていた。その人と会って作業するために何度か直接会ったそうだ。しかし、ここでまた疑問が生まれた。

コンテンツについてだ。
いくら自分の得意なコンテンツとはいえ、何の実績も資格も証明されていないような人のアドバイスを人は信じるか?
どうやって、そこから収益が出るのか?

この疑問の答えは「育成担当の人の話を聞けば解消されるのか?」とわずかな期待と不安を抱えながら会って話した。

その結果、ただ資料の作成手順と作り方を教えられただけで中身のほうは「まぁそこは任せる」と放置。コンテンツの中身のフィードバックを受けることはなかった。

ここについてもその友達は振り返っていたのだが、何と始めの段階で作業のある程度の流れをふんわりと教えられただけで、どうやって収益が発生するかは教えられていなかったのだ。
この時点で友達の選択肢は、「ふんわりロードマップの上を歩いていく」か「赤字のまま逃げる」かの二つしかなかった。友達は退けなくなっていた。

個人的にこの部分はあなたも最も知りたいと思うのだが、「コンテンツの拡散方法」について友達が教えてくれた。
作成したコンテンツをどう販売に結びつけるか。
まずは、インスタでアカウントを作ることから始めたそうだ。
一つの携帯でいくつもアカウントを作ることが出来ることを生かして、アカウントを大量に作り、物量作戦を仕掛けていく。
後から調べたら、粗悪なネットワークビジネスにおいては常套手段のようで、インスタのアイコンマークと「followme」というネームはほとんどがその手のアカウントのものらしい。友達もいくつかそういうアカウントを作ったらしいが。

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あと、アカウントの作成のためだけに安いスマホを買うように言われたり、フォロー数の購入も迫られることもあるようです。

こうしてアカウントとコンテンツの作業を進めるうちに、育成担当に嫌気が差してきてたようだ。メッセージや電話でのやり取りでは適当な箇所が見受けられたそうで、「こいつ育てる気

ある時本社で作業しないかと誘われて、約束の時間に指定された場所に行くと、その担当はいなかった。30分過ぎてから「ごめん、遅れる」という連絡のみ。仕方なく一人で作業することに。
聞いた話では、そのオフィスは何もなく、2人の男がいただけで挨拶もしなかった。投稿での様子とのギャップに驚いたそうだが、何とかそんな空間で一人作業を続けた。
担当の男は1時間半遅れて来ても、「ごめんごめん」の一言。「それでどんな感じ?」と軽く聞いた後、オフィスにいた男の一人とコンビニに出かけた。
さすがの友達もキレたらしく、それで帰ったらしい。

それからしばらくすると、担当の変更が告げられた。タイミングが良かった。今度の担当は女性のようで、第一印象は「前の男よりは話聞いてくれそう」とのことだった。しかし、その女性は前の担当と言うことが違っていて、そのせいでアカウントのアイコンや投稿画像、コンテンツの中身まで改変する必要が出た。女性曰く、「前の男よりは収益あげてるから」とのこと。

そんなトラブルもありながらどうにかコンテンツの完成に至った。
そのコンテンツを元にアカウントで声をかけて、良い感触だった人にコンテンツを配っていった。
コンテンツには無料と有料のものがあり、無料をしばらく配ってから有料への誘いを行う仕組みになってたようだ。

ここでもう一度はっきりと代弁しておくと、友達は一切収益をあげてません

フォロー数や声かけ数に比べると、やはり好感触の人は圧倒的に少ないそうで、労働と対価が見合ってないと友達が言っていた。しかも、学校でも作業する時は見られないように図書館のスペースで行っていたこともあったそう。

その後も担当が変わったそうで、その担当が会って話したいと言った時、時期的に試験もあり「忙しいから無理だ」と答えたところ、「社会に出てそれで大丈夫?どれだけ忙しくてもやらないと」と言われたりもしたとか。

そんな友達は、このビジネスで何を得たのだろうか?

と、次にいくまえにもう少しだけコンテンツの話をさせてほしい。
先程も触れたコンテンツ配布アカウント。「followme」のアカウントからアイコンや投稿がついて進化してくそうだ。よく見る「○○アドバイザー」などのアカウントがそのようで、プロフィールにURLを入れて資料配布する形になっている。一度受け取ったことのある人であれば、下の画像を見て思い出さないだろうか?

あなたは本気で 克服したいですか? (12)

この画像は友達の作った画像を元に、
全く関係ない文章と画像で再現したものです

この手のやり口は顧客の定着を狙って、数日に渡ってメッセージと資料を配り最後に一気にお金を巻き上げようとしているのだ。
顧客のほうは実績の証明がない限り中々払いづらいと思うが…

実際に友達が作ったコンテンツを見せてもらったが、文章やデザインもしっかり作り込まれていて、「この才能別の使い道あるで」と思わず言ってしまった。

手元に残ったもの

さて少し寄り道したが、果たして友達はこのビジネスで何を得たのか?

何度も書いてる通り、収益は手にしていない。声をかけても結局誰一人有料コンテンツに手を伸ばさなかったのだ。
そして、ビジネスに活きそうなものは何も手に入らなかったと言っていた。

そこに友達が加えて言ったのが、「強いて言うなら手に入ったのは、ネットワークビジネスに飛び込んだ経験って言うしかないな…。どうやって勧誘してどうやって運営しているのかを知れたから、もう一生引っ掛かって巨額のお金をだまされることはないと思うし。でもそう思ったら、お前の記事に早く出会っておきたかったな…。」

それではあまりにも割に合わないので、「だったらその経験を周りの人に知ってもらおう!」と提案し、この記事を書くに至った。

今でもその友達は、誰にもバレないようにビジネスで支払ったお金をコツコツ返している。完済までまだかかりそうだと言っていた。

体験談を聞いて

今回は自分の友達が被害者となったことで、正直感情的になった。
「許せない」という怒りを、話していた友達にバレないように淡々と話を聞いているように装った。
これまでネットで調べたものは他人事だったので、どこか冷ややかに見ていたところがあった。しかし、今回は違う。実際に友達が被害に遭っているんだ。やはり冷静に見ていることは出来ない。

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実質泣き寝入り状態の友達に出来ることはこのくらいしか思いつかないから、せめてもの思いでこの記事を書いた。

実は話を聞いていた時に、友達が入っていたLINEグループの会話やその会社の情報,友達が作ったアカウントやコンテンツなど全て見せてくれた。そこで偶然気づいたことがあった。
それが、友達が入ったLINEグループの退出メンバーの名前が、ぼくが以前カフェで話した女性と全く同じだったことだ。時系列で言うなら、ぼくのほうが後なので、恐らくその女性は「友達のいたビジネスグループ」を抜けたあと、「おれが接触を受けたビジネスグループ」に鞍替えしたということになる。

それに気づくと同時に、一度その世界に足を深く突っ込んだら抜けられないんだろうなと思い、少し哀れに思えた。
その友達はどうにか逃げられたそうなので、その点は安心した。
LINEグループでの発言を減らして存在を消すことで逃げられたそうだ。

この記事で、いかに粗悪なネットワークビジネスに入ることが危険かが分かったと思う。
あなたもその手のDMが来た時は靡かれないように気を付けてほしい。もし、靡かれそうな時はすぐにメッセージを返そうとせず下調べを入念に行ってほしい。そうすれば、少しは冷静な判断が出来ると思うから。
下調べのやり方が分からない時は、ぼくのを参考にしても大丈夫です。

粗悪なネットワークビジネスがこの世から駆逐されることを切に願い、この記事を締めます。
今回、記事の許可を出してくれた友達にはここで感謝の意を述べさせてもらう。

あなたのサポートがぼくの執筆の力になります!本当にありがとうございます!