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無意識にモラハラ・DV・いじめの加害者にならないための技〜アンガーマネジメント〜

社会人基礎力として『チームで働く力』が仕事の成否に大きな影響を与えています。いわゆるコミュニケーション能力というもの。
コミュニケーション能力とは、主に他社に意見を伝えるための発信力や、意見を聴くための傾聴力が注目されています。しかし、それらの能力を持っていても対人関係の中でもうまく活用できない場合もあるのです。
一人一人似合わせた柔軟な対応ができる人も中にはいるが、皆がそう器用に振る舞うのは難しいでしょう。

そこで、必要になってくるのはそのコミュニケーションや対人関係で生まれたストレスをコントロールする能力です。


今回の参考文献:高橋B.徹・佐藤愛結「問題解決手法を取り入れたアンガーマネジメントの提案―共感マップを利用して―」実践女子大学,生活科学部紀要第58号,041−048,2021


近年では話題の夫婦間のモラハラや教員による子どもたちへのいじめ、会社内でのパワハラなどが連日ニュースで取り上げられています。
それらは、悪意あるものもいるかも知れませんが、中には全くハラスメントやいじめだと感じずに”自分は正しい””相手のため”と思って行っているケースも多くないということを加害者の方のSNSや動画配信での発言から知りました。

なぜ、そのような認識の違いが起こってしまうのか。
どうしたら良いのか。

そのヒントになるものがアンガーマネジメントだと言われています。

怒りのまま相手を攻撃してしまう理由とは

では、なぜ人は怒りを覚え、思考をコントロールできなくなるのでしょうか。
それは、「べきの境界線」によるものだと考えられています。
そもそも怒りの原因は、自分が相手に対する「こうするべきである」という思いと、現実に起きていることのギャップであると言われています。

「べき」の境界線は3つある

  • 自分の「べき」と一致する範囲

  • 自分とは少し違うが許せるエリア

  • 価値観が受け入れられない許せないエリア

自分の許せない価値観のエリアを理解することがまず怒りのコントロールの第一歩だと考えられています。

あなたもイラッとするけど、怒りを覚えるまでもないことや一瞬で沸点に達してしまうことの境界線はどこにあるか思い出してみてください。

怒りのコントロールが苦手な人は、この「べき」という考え方が強い人に多いと思います。

そして、その「べき」という考え方が自分だけではなく、周りの人も一緒だと考えているのではないでしょうか。

それは違います。人それぞれ一定の社会常識はありますが、そこで「怒りをぶつける」ほど怒る必要があるのかどうかは一旦冷静になって考えなければいけないのです。

一旦冷静に考える思考の作り方

参考にした論文では、共感マップというものを使用していました。

その共感マップとは、一般的に商品・サービスを提供する際のマーケティングの手法の一つとして用いられるもので、6つの項目から構成されています。

「Say、Do」「See」「Hear」「Think」「Gain」「Pain」。

それぞれ、「顧客は何を言うか、何をするか」「顧客は何を見てるか」「顧客は何を聞いてるか」「顧客は何を考えるか」「顧客にとって望ましいことはなにか」「顧客にとって望ましくないことは何か」であります。

要するに、相手は何を言ってるのか(してるのか)、何を見て、聞いて、考えているのかを思考する。

そして、相手にとって望むことは何か、望んでないことは何かを思考する。

このように、自分主体ではなく、相手に主軸を置いて思いを巡らせることで冷静になり、「べき」という思考でおさえつけるような行動に移ることも少なくなるでしょう。


上記のように、「こうするべき」という思考は誰しもが持っているものだと思います。

しかし、それを相手にも強いる必要があるのか、という点では一歩立ち止まって考える必要があります。

そこで判断を見誤るとモラハラやDV、いじめに繋がる可能性も少なくありません。

誰もが持っている思考だからこそ、行動を誤ると誰しもが”加害者”になる得るのです。

自分自身は相手のことを思って行った行為でも、相手を傷つけてしまってはもう取り戻すことはできない。


冷静になれるスキルを早く身につけておくことは今後の社会生活において、必須になるでしょう。