国民年金は法人と個人、どっちがオトクか?

法人化でオトクな点のお話の続き。
国民年金は個人事業主でも法人代表(社長など)でも加入しなければいけま
せん。
いずれの方法でも保険料(掛け金)は16,520円ですから、違いはありません。

個人で加入する時の節約方法

個人事業主の場合に使える節約方法があるようです。(筆者は使ったことありません)
前納という仕組みで、2年前払いとすることで、ほぼ1か月分安くなるというものです。
まあ、1/24分(約4パーセント)安くなるのがそれほど大きなメリットとは言えませんが、ないよりはマシでしょう。

残念ながら、前納方式は会社員は使えません。
会社から給料をもらうたびに国民年金込みで(厚生年金として)支払いする必要があるためで、前納になりえないためです。

法人は厚生年金を通して国民年金に加入

法人は厚生年金という年金制度に加入することになります。
これは俗に二階建てと呼ばれる構造になっていて、一階部分が国民年金分、二階部分が厚生年金分という扱いで、厚生年金の保険料を支払うことで、間接的に会社員は国民年金の保険料をも支払っています。
だから、国民年金の保険料を自分で納付しなくてもいいんですね。

この時、年金保険料は個人と会社で半分こするルールになっています。
個人事業主だったら全額が自己負担なのに、会社員というだけで半分は会社持ちという仕組みは、かなり会社員優遇措置だといえます。

じゃあ、一人会社でもオトクか?というと大したメリットにはならんのですよ。個人としての負担が半額であったとしても、結局売り上げの中から、合計で16,520円が出ていくのはいっしょですからね。

まぁ、セコい話としては、会社負担分は経費になりますから法人税を減らす効果(節税効果)はあります。8,260円(国民年金保険料の月額の半額)が会社負担ですので、年額で10万円弱。この分が経費計上できるということです。

以下、節税効果がわからない方への説明です。
例えば、年間の会社の利益(売上じゃないです)が100万円とします。
法人税は利益(益金)にかかりますので、法人税率が30%なら税額は30万円です。
一方、10万円を経費計上すると利益は90万円に減ります。すると法人税は27万円(90万円×30%)に減ることになり、差額の3万円が節税できるわけです。

さて、個人事業主でも、同様に所得から経費計上ができますが、法人税に比べると所得税は税率が低い(めちゃくちゃ稼いでいる人は別)ので、法人の方がちょっとだけオトク(節税効果が大きい)です。

国民年金の加入形態は三種類

そんなことより、法人ならではのどでかいメリットがあります。
第三号被保険者です。

国民年金の加入形態に三種類あることをご存じの方も多いと思います。
第一号被保険者:個人事業主など
第二号被保険者:会社員
第三号被保険者:会社員の配偶者

このうち、第一号と第二号は、月額16,520円で変わりませんが、第三号は月額0円です。誤字ではありません。ゼロ円です。
だからといって、不利益があるわけではなく、16,520円を支払った人と同じように年金を受け取る権利が得られます。

ただし、この制度には大きな制約があり、第三号になれるのは第二号の配偶者(要は会社員の奥さん)だけなのです。
会社員の奥さんなら、国民年金の保険料を払わずにあたかも支払っているかのように加入できるのが第三号被保険者というわけです。

なお、個人事業主(第一号被保険者)の配偶者は専業主婦であったとしても第三号被保険者にはなることができません。

これはデカイです。
16,520円×12か月=198,240円、年間で20万円ほどが浮くわけですから。
国民年金は基本的に加入義務があります。法人化するだけで、これが浮くというのは実にありがたい話です。

前提はありますからね。

とか書きながら、すべての方がこの恩恵を受けられるわけではありません。

まず、当然ながら配偶者のない方は対象になりません。
次に配偶者がバリバリ稼いでおられるケースも対象外です。(扶養家族じゃなくなる)
さらに、配偶者が60歳を超えている場合もNGです。
ちなみに、筆者は60歳ですが家内はまだ54歳です。なので、あと5年以上加入できる理屈です。

とまぁ、多少の制約はありますが、やっぱりオトクではないかな、というのが今回の結論です。

次回は厚生年金のことをお話します。


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