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読書感想文 論語と算盤 渋沢栄一

「渋沢栄一」
名前はよく聞くが、何を成し遂げた人なのかほとんど知らなかった。


江戸時代から明治維新へと至る経済成長まっしぐらの怒涛の時代を生き抜いた実業家である。
タイトルにある「論語」は中国の思想家である孔子の著書。
「論語」は道徳論について書かれた本である。

「論語と算盤」本書のタイトルの由来は、以下のようなもの。

🔹経済成長を目指し、私利私欲のために己の利己心だけで動く人間が多かった当時の日本(=算盤)では、道徳意識を大切にし(=論語)、人格を磨くことが大切ではないかとの著者の思いから。


一読して新鮮だったことは、当時の日本では国のことを考えず己の私利私欲を求める人が多かったという事実。
明治維新~昭和初期にかけては、国全体がひとつにまとまっているイメージを持っていたが、どうやら違ったようだ。


渋沢栄一は、自身の人生を振り返って、
「はじめは卵だったカイコが脱皮と活動休止期を繰り返し、それから繭になって蛾になり、再び卵を産み落とすような有様で、4回ばかり変化しています」と述べている。

4回ばかりの変化とは、
1️⃣尊王攘夷の志士
2️⃣一橋家の家来
3️⃣明治政府の官僚
4️⃣実業家
のことを指していると思われる。


立ち位置を変えることをいとわないこと。
これこそが渋沢栄一が大きな偉業を成し遂げてきた要因の一つではないかと思う。
立ち位置を変えることに躊躇する人は多い。
私自身も特にそうだ。

一つの疑問が生まれる。

渋沢栄一は、どうして立ち位置を変えることができたのか。

おそらく、「志」を探し続け、「志」を大切にしたからではないかと思う。

渋沢栄一は実業家になって、日本を豊かにするという「志」を持っていた。

この「志」があるかないかで人の人生は大きく変わっていく。
実際、渋沢栄一自身も30代のころまでは、「志」が定まっておらず、無駄な時間を過ごしてしまったと書かれていた。

渋沢が立ち位置を何度も変えてきたのは、自分自身の「志」を見つける旅をしていたのではないかと感じた。

わたしたちもこのような大きな「志」を持てるのだろうか。
凡人にも持てるのか。

渋沢栄一自身、何年もかけて探し続けてきたものである。
そう易々と見つかるものではないのだろう。

だからこそ、わたしたちも彼のように、道徳意識を大切にしながら日々努力することが大切なのかもしれない。


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