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2階の立ち見から

コンサートや舞台の座席は、できるだけ前列であってほしい。


チケットが取れただけでも感謝の高倍率の公演では「入れるならどこだっていい」って言ってたわたしは、チケットが届いたと同時にどこかに行ってしまう。ドキドキしながら座席番号をチェックして、「なんだ2階のサイドか、見切れちゃうかも」なんてがっかりする。


どうせ見るなら少しでもいい席で入りたいという気持ち、自分でチケットをとって公演に参加したことがある人なら分かってもらえるんじゃないかな。


一番ひどいときは年間100公演以上のコンサートや舞台に入ってたの。忘れられない公演はたくさんあるけれど、やっぱり最前列で入れた公演は特別枠に入ってる。


最前列で入った公演の記憶は消えない。なぜなら、最前列はわたしを観客ではなく公演の登場人物にしてくれるから。会場に何百人・何千人もの観客がいることを忘れてわたしは、ステージ上の人たちと同じ世界に入る。手が届きそうな距離で全力を出し切っている人たちと向き合って過ごす数時間は、それまでの価値観なんて粉々に破壊していく。


今年参加中の連続講座・言葉の企画はわたしにとって、劇場の最前列の座席だと思う。


ぜったい面白い。

上手に言葉をつかいたい。

阿部広太郎さんの話をもっと聞いてみたい。


そう思って参加ボタンを押した言葉の企画は、2階席から遠くのステージを眺めてるみたいな感覚でいるにはもったいなさすぎる場所だった。講座が始まってから3か月ほど。黙って立っているだけではいられない気持ちは、時間が経つほど増殖する。


言葉の企画で出される課題に、どのくらいの時間と熱量をかけるかは本人しだい。企画書を何となくいい感じにまとめて提出したり、どこかからよさげな言葉を探してきて提出したりすることだってできなくない。


だけど、わたしたちはそれをしない。


悩んで悩んで悩みつつ、今できる全部をそそいで何とか期限までに企画をまとめる。

課題を送信した直後からくる後悔。

同期の企画生たちが提出した課題をみて、至らなさに唇を噛む。

阿部さんからのフィードバックで、どうしようもなく落ち込む。

それでも講義でもらったヒントをもって何とか立ち上がる。

もう一段上に行きたくて、また次の月も課題に取り組む。


そういう人がたくさんいる場所だから、自分だけ2階の立見席からステージと客席を見てるだけなんてもうやだよ。


コンサートの座席は勝手に決められてしまうけど、言葉の企画の座席は自分で決められる。

はやくも折り返し地点に差し掛かってるそうだけど、わたしはやっぱり最前列で受講したいの。そしてステージに上がれる力をつけて、一緒にステージに立ちたい人を自分で見つける。


まだ何にもできてなくて落ち込んであせることも多いけど、今はまだ一幕がはじまったばかりだと信じて。一緒に階段を駆け降りられたら。

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