季語の花　11月

銀杏黄葉（いちょうもみじ）銀杏黄葉前輪滑るバイク音

柚子（ゆず）　　　　　　植えたはず育たぬ柚子が残す穴

柿（かき）　　　　　　　柿食ひたし竹の先割る鉈上手

金柑（きんかん）　　　　金柑や皮の旨さをけふ知りて

榲桲（まるめろ）　　　　湯気上がる榲桲泳ぐ磁器白し

銀杏（ぎんなん）　　　　自販機下銀杏のなか小銭あり

深山樒（みやましきみ）　ここありと深山樒を刻む脳

寒竹の子（かんちくのこ）　鉢破り寒竹の子ぞ芽吹きけり

茶の花（ちゃのはな）　　茶の花や寒くなるぞと藪の裏

寒葵（かんあおい）　　　裏庭へ片隅を占む寒葵

木守柿（きもりがき）　　完熟すしがみつく枝木守柿

麦の芽（むぎのめ）　　　柔らかき麦の芽撫でし指のはら

山茶花（さざんか）　　　山茶花や花に歌有り知り初めし

藪柑子（やぶこうじ）　　晴れるとも寒し流し場藪柑子

柿落葉（かきおちば）　　風吹けば掃けど掃けども柿落葉

朴落葉（ほおちば）　　　朴落葉渡す手紙を返す君

銀杏落葉（いちょうおちば）野暮な嫁銀杏落葉すぐ掃きて

晩三吉（おくさんきち）　大ぶりな晩三吉を祖母にこり

白菜（はくさい）　　　　白菜の盛り付け多ししゃぶしゃぶ屋

芽キャベツ（めきゃべつ）芽キャベツの花より多し油虫

石蕗の花（つわのはな）　手袋と登るる山の石蕗の花

山牛蒡（やまごぼう）　　歯ごたえど噛み心地良き山牛蒡

八手の花（やつでのはな）　八手の花竹鉄砲を準備せし

人参（にんじん）　　　　好き嫌い人参細工花びらに

冬紅葉（ふゆもみじ）　　無風なり細葉にふわり冬紅葉

枯芭蕉（かればしょう）　朽ち果てり名園にあり枯芭蕉

橙（だいだい）　　　　　青橙去年が色の混ざり合う

仏手柑（ぶしゅかん）　　指広げ夕日に翳す仏手柑

柊の花（ひいらぎのはな）　柊く棘柊の花守りけり

セロリ（せろり）　　　　昔よりやわらかくなりセロリの香

　　　　　　　　　　　　柿落葉遊び場欲しくおうど掃く