季語の花　12月

蜜柑(みかん)　　　　　潜み入りて蜜柑が味の歯が浮きて

葱(ねぎ)　　　　　　　土かぶせ葱の白さや長くなり

落葉(おちば)　　　　　落葉散るタイヤの跡が辿る道

木の葉(このは)　　　　栞にと筋を邪魔せぬ木の葉摘む

枯木(かれき)　　　　　枯木にもする仕事あり翡翠待つ

枯桑(かれくわ)　　　　枯桑や白嶺覗く広きなり

冬柏(ふゆかしわ)　　　色褪せど未だ諦めぬ冬柏

冬林檎(ふゆりんご)　　籾の中冷たく待てり冬林檎

南天の実(なんてんのみ)　根元には南天の実が今朝の庭

冬の草(ふゆのくさ)　　犬が噛む風が逃がすか冬の草

霜枯(しもがれ)　　　　霜枯れる花を生けるや石仏へ

冬桜(ふゆざくら)　　　人気なき山の影咲く冬桜

青木の実(あおきのみ)　機の音一息入れる青木の実

枯柳(かれやなぎ)　　　チャンバラの刀を探す枯柳

枇杷の花(びわのはな)　井戸端会議匂い忘れて枇杷の花

甘蔗の花(かんしょのはな)　月夜には道をしらすや甘蔗の花

千両(せんりょう)　　　群生える千両の庭松高し

万両(まんりょう)　　　栄あれ次々生える万両よ

鼠黐の実(ねずみもちのみ)　生垣や鼠黐の実点模様

カトレア(かとれあ)　　カトレアを育て初めて蘭に入り

冬珊瑚(ふゆさんご)　　踏みつけど路傍に育つ冬珊瑚

冬至梅(とうじばい)　　冬至梅咲きも主がたよりなく

竜の玉(りゅうのたま)　細葉下髭に隠れし竜の玉

ポインセチア(ぽいんせちあ)　ポインセチアあなたが来れば赤くなり

クリスマスローズ　  　クリスマスローズまわりに馴染み緑色

蝦蛄葉仙人掌(しゃこばさぼてん)　蝦蛄葉仙人掌花咲き垂れし夏越せた

枯蔦(かれづた)　　　　枯蔦や土塀に登る先暗し

枯蓮(かれはす)　　　　丸鏡屈みて覗く枯蓮よ

大根(だいこん)　　　　赤土や大根の肌染残す

枯芙蓉(かれふよう)　　夕暮れや落ちるを知らぬ枯芙蓉

冬芽(ふゆめ)　　　　　この先を曲がれば小き冬芽待つ