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朝ドラ俳句

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俳句を始めたが、吟行にも行けなくて、朝ドラを見ていたら句が浮かんだ。
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記事一覧

俳句 虎に翼 4月

笹舟や憲法可決の六月 どの口に差別されないふかし芋 逃げ水や戦禍そのまま道普請 空蝉や見合い相手の身上書 夏真昼はいかいいえの会話あり 秋麗五黄の寅の見合かな 秋宴婚約祝ひ父母揃ひ 秋の昼珍問答の橋の上 愛の羽根法の講義の夜学生 立ち話教授登場秋気澄む 秋の夜や弁当渡し秋めく夜 入学へ疑問の晴れの講義室 麦の秋三者面談終え汁粉 惚れた人バケツの水も虹となり 虎が雨したたかに説け生きる道 一目惚れ春の丸亀この娘いて 麻柄の手拭叩(はた)き九月かな 花衣男のはしゃぎ披露宴

俳句 ブギウギ 三月

四月来る楽し買物籐の籠 春眠や慣れぬ仕事の後悔が これ観よと魚氷に上る唄ふ声 目を覚まし桜がさねの舞台袖 鼻つまみ人参は口へと向かふ 風薫る滑る縁側馬ごっこ GHQ蠟國鳴くも旅行許可 吾子一人庇に届け紙風船 秋を待つ普通の母の決める道 吾子と歌夏の別れの風呂上り 角の立つ丸き卓袱台終わる夏 吾子の声耳から逃げて秋の空 丸ケーキは六分の一忽草 秋初め初めての家文初め 秋されや帰国前夜の星条旗 母帰国吾子の頬触る今朝の秋 板チョコや秋のアメリカ大きくて 闘病の父と娘と瀬戸の

俳句 ブギウギ 二月

変わりなき言葉毎回春ポスト 兆候やカバンの中へ丹前も 倒るとも春のかたみの手紙書き 陣痛と夫の別れの夜半の春 産まれたの言葉届かぬ三月尽 赤子囲み神妙な面(おも)ヒヤシンス 涅槃西風息絶ゆと告ぐ涙顔 遺稿抱き小草生月一昼夜 三人で春の湖畔の遊園地 美しも短き命石鹸玉 開け広げ箒軽やかサマードレス 夏帽子ミルク代得る呼び名へと 行水の赤子うっとり祖母の腕 夫の死と子の死に耐えて終戦日 きみの唄写真や待たん夏最中 末っ子や妹欲しく芋を喰ふ 兄ちゃんを真似て成長五月来る 単衣

俳句 ブギウギ 一月

まだにほふ焼け跡続き氷見の夏 被災者のひしめき旅館さつま汁 葭屏風拭きて聴かせてトランペット 後のない集ふ少年南吹く 旅の宿何を想ひて月仰ぎ 夏の星勝ちて帰らぬ夫偲び 新型爆弾新聞知らし夏の朝 南風旭日旗背の別れ唄 〇〇と伏字美し蠅払ひ 玉簾下手な字笑ふ夫の文 一部屋のラジオを睨み終戦日 解放の夏の空へとデモの声 真夏日の満員列車東京へ 生き返る裸電球夏の夜 ゼロからや野の草摘みの新しき 復学の意欲の芽延ぶ瓜の花 家庭菜園大根伸びて迎ふ秋 武蔵野の青空市場秋の空 欲くら

俳句 ブギウギ 十二月

大の字の生活の飽き夏桜 煉瓦積ホールの唄や浜蓮華 蚊を叩く娘と二人コップ酒 夏の真夜寂しさ消えぬ寂しさよ 夏の夜の唄唄えたく新楽団 旗揚げも枯れ立つ柳押すが如 ホラ吹きの空也念佛進む昼 一人増えひま洩る風の夕ご膳 強情の冬木の櫻や楽譜なき 夕日射す冬の名残の聲限り 戦死通知菫色したコート落つ 繰り返し牡丹の火鉢抱き読み 弟見たか冴ゆ満州のこの月を 弟出でて悴む歌の出ぬ口よ 万歳や弟ゐぬ暮のさそい唄 弟の死も湖凍る万歳ぞ 父の行く蘆の枯葉も何も無き 歌いたく氷壁の前より人

俳句 ブギウギ 十一月

競り市場軍歌流るる師走かな 冬の虹スポットライトタップの音 役割や目立ちたがりの冬最中 冬の風睫毛の長く歌の揺れ 芸磨く周りを変えて冬めく日 ブラボーや年の名残の金モール お座敷の冬至の踊友の待ち 焼き鳥屋ビールの暖簾かき分けて もう見れぬ母の歓び年の暮れ 末の冬信じられぬことありとは お別れ会遺す乳飲み子抱き冬至 玄関に喪服脱ぎ置き年の暮れ 栓抜くも泡のたたない年暮るる 年歩む育てたように子は育ち 寒がはり別れ公演つけまつげ 心地よき春暖の銭湯のタイル 春動く窓の額縁

俳句 ブギウギ 十月

ブギウギの浮かれリズムの秋の朝 銭湯の煙突高し秋の空 爽やかな歌声聞こゆ着替え篭 番台の女将スパスパ秋の宵 秋の昼師匠の振りの真似をして 新秋や義理人情の銭湯代 番台の恋歌聞こゆ春の宵 一番客只の招きの秋終 易断の旗を目掛けて秋の風 けらの音なにも持たないいやなこと 夢描く歌ひて暮らす稲光 秋袷恋文とかのはしたなき 弟とお面の似合ふ秋祭 卒業を昭和初めのお正月 才能は唄と踊りと春を待ち 日向ぼこラララのスズ子絵に唄ふ 薪割のリズムのはやさ春の歌 歌声の記憶の戻り春きざす

らんまん 九月

想い出は吾子の細筆ヒメスミレ 輝く峰沼津の二人眺む春 植物図鑑最後に載せてスエコザサ 枕辺の植物図鑑庭の花 メソメソと別れ行く妻待つ花野 緊張の顔ゆるませて文化の日 本棚の吾子のゑ取りて秋日和 仁淀川夏休み会ふ友来たり 秋惜しむ無くなるものを書き残し 行く秋や校正の束抱きしめて 葭障子理学博士の勧められ 七輪や沼津の鯵を炙る昼 文化の日理学博士の名を刻み 見送りの玄関の上百日紅 博士号授与式妻と見上げて秋の青 主ゐぬ書斎の流る初夏の風 玉子丼出戻り覚ゆ半夏生 遺されて植

らんまん 八月

#朝ドラ俳句 #らんまん #kigo #俳句 8/31 物干竿褌並び夏の昼 寄席の音子らを集めて秋を待つ 夏空や手紙の誘ふ土佐の友 土用凪好きな草ゐる標本室 お座敷の丸窓飾り百合の花 荒梅雨や発熱に伏す山の小屋 大荷物すすきを連れてただいまと 8/30 月涼し出立間近の身構え ガクアジサイ時計解体の幼日 想ひ出すロシアに月もありしかと ピストルや台湾の月どんな色 七月の自己紹介は中国語 8/29 休暇明植物学の職離る ヤマトグサ出会ひ別れも標本室 踏み入れぬ解剖世界九月尽

らんまん 七月

7/31 踏まれても塵の埋れど姫菫 カーテンの透ける色消し春の風 植物誌頁のめくり春の塵 張り巡る紙干す紐や春を待つ 悩めども赤子は育ちヒメスミレ 7/28 大柄の子守半纏友の事 秋落暉語り尽きなき女学生 次々と祝福述べて冬廊下 凍てし夜の印刷機より一枚出 屈辱の出入り禁止の暮れやすき日 7/27 こどもの日落ちて発見ムジナモぞ 石段の親子三人夏夕日 父の日の論文すすむ水の草 夏の宵徳利の油文字 咲かぬはずメジナモの花咲きにけり 7/26 人誘ふ頭の中は花畑 草萌ゆる世間話の

らんまん 六月

豊の秋花婿見惚れ光らす目 高砂聞こゆ八月大名 鏡割新郎新婦笑み溢れ 山桜接ぎ木の繋ぐDNA 姥桜時代の母の映る時 風鈴や永遠の別れが泣きじゃくり 簾抜け二人泣き合ふ声の見え 並び寝る蚊帳の別れの式前夜 白無垢の秋澄む光金屏風 秋晴に眩き姿高島田 木下闇鎮守の森の杉木立 挨拶を老木の待つ山萌えて 胴乱や採集習い春の山 川の岩優しき咲かせヤマツツジ 山笑ふそれぞれの道山全て 花のころ試み届けと押す暖簾 石堅し新酒生み出し水と米 宵闇に香流るる峰の月 春動く動かぬ夕餉きみ忘れ

らんまん 五月

ピリ辛の味噌田楽や棘痛し 井戸端の背なの傷見せ月涼し 故郷や想い出させてヒルムシロ 春の山筆走らせて写生帖 異国の香偶然出会い薔薇の花 5/30 豊の秋造石税の税務官 じわじわと秋夕日差し込む座敷 年代を語り燈籠秋の庭 十二月今年に酒は残さずと 赤門へなんぢゃもんじゃの花開き 5/29 にょきにょきと朝の光のヒルムシロ 貯水桶ぐるりたんぽぽ君が来て 身罷るや途絶え本読み梅雨滂沱 手を握りダンス始めの文化の日 秋の空植物学の種飛ばし 5/26 脇抱ふ植物図鑑春の野へ 暑き日のす

らんまん 四月

4/28 短夜の自由の語り万次郎 夏の果て太平洋の鯨跳ね 夏祭二人分け合ふ芋ケンピ 踊り終え拭ふ二人の夏終わり 紫陽花の四季を知り得てシーボルト 4/27 浅き夏ぼんぼり浮かせ赤鳥居 裏小路柳の風の見える岸 春の田や既に遠くに想い人 前の人間違え真似て盆踊 傲慢な心新たに万太郎忌 4/26 押しつけの夫婦山道姫早百合 小川迄押し寄せて来て堰普請 若夫婦顔の向き合ひ草むしり 芽立ち時名のない草のない世界 赤鳥居潜る項や梅雨の入り 4/25 東京や思いたち切り五月尽 半夏生眠り惜

俳句 舞いあがれ 3月

#朝ドラ俳句 #舞いあがれ #kigo 3/31 夏立つや点呼のレ点飛行前 喫茶店かつての仲間今朝の夏 ばんば乗せ初フライトのさやかな日 白い波空澄む五島縁取りぬ 五月晴ばらもん凧や風に向く 夏始風を迎へて舞ひあがれ 3/30 五月晴れ歌集抱えて巴里を発ち 夏近し紙飛行機を飛ばし路地裏 玄関へ五月の風や父運び かささぎや五島へ溢し流れ星 五島へとばんばの夏の海光り 3/29 梅雨晴間動けない空だけの庭 五月闇点滅灯の呆けて見え 密避けて人を集めてさみだるる さとごころ五島の