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俳句 虎に翼 6月

法曹会館春闌が君を待つ
人事部の応対邪見春兆す
人事課長焼芋の皮ある小鼻
GHQ霞棚引く民主化へ
春さなか机を貰ひ調査室

花冷の緊張抑へ踊り場
台所夫ゐぬ春もここにいて
初任給御馳走にせむ桜餅
軽薄な言葉遣ひや芽立前
桜守出会ひ初めて緊張感

乱雑な破調の庭や芽立時
我先と芽組む民法目新し
春の森改民法の先見えず
過去の人五月曇の昼休み
風死すや旧知ばかりの職場かな

五月晴二人ベンチの昼休み
司法官闇米喰らふ涼し顔
夏めくや半分渡しチョコレート
夏始君の子供にチョコレート
蜜柑の花故郷の吾子飛び遊び

半夏生誤解の招く不幸詫び
夏きざす好きでこの道法律家
仲秋や民法たみの口語体
昼休み梅干しぷいと飛ばしたり
差別ない憲法守り風知草

暮遅し至高判事の正義の死
香失す引継ぎカフェの春の服
君のゐた卒業明日のこのベンチ
枝打や法の道へと手を組まぬ
流涙の味の滲み込み暑のベンチ

塊を肩の背中の滝行者
秋の空屋上一人スルメ焼き
秋されや家裁設立猛者揃い
秋袷奉仕活動配りゆき
うたた寝や季秋の議論尽くす迄

中央のストーブ用意手際良き
冬日差暗き冷たき裁判所
溝深き熱き紅茶や冬ざるる
冷たしや君のゐた席又思ひ
冴ゆる夜や玄関に待ち旧き友

星明り肩貸せ喚き酔っ払ひ
秋の星ひた隠し来た郷のこと
行く秋や後ろが迫り準備室
爽やかな礼の言葉の餓死の妻
秋高し笑顔湧き出づチョコレート

一致せぬ会議や続け十二月
ストーブの薬缶の水の涸れし時
引越の自分の机探す冬
皸に何もない手を開きたく
家庭裁判所初めて迎ふ元旦

十二月家裁看板掲げ貼り
年頭や臨月の妻迎え出て
滝川の滝行如し睦月かな
裁判補口頭伝ふ三日かな
初荷旗スリの逃げ先逃げ所
再会や大声溢る初景色

瓦礫組む戦災孤児の寒きびし
苦も楽も持ちつ持たれつ冬銀河
冬の夜の見知らぬ人と夕ごはん
凍てし夜の汚れと涙流し風呂
礼儀より好きに喰ひたく餅掴み

寒きびし全国家裁と面談
悪事より温し蒲団の選ばれて
夫似へ夫の冬服着せてみて
勘違ひ慣れぬ優しさ冬の雷
冬怒涛最後に掴む物干竿

苦痛なき唇青き神の旅
関われば離せぬ縁や虎落笛
含羞の日記の願ひ焚火へと
枯木星家族写真を抱き逝き
「はいと云え」流れ星てふ終言葉

骨壺や冷めて我が家の冬夕べ
祖母のゐぬ夕餉の仕度冬終わる
古日記母の期待に応えなく
人語る数字の手帳焚火かな
温かや保護観察の初電話

春の朝目刺の煙焦げる色
風光る朝の玄関母と出で
若櫻全てぴかぴか新庁舎
花篝家裁の愛のコンサート
鶴帰る遺産相続子の権利

梅雨の前ずらり並びて裁判所
薄暗き調停の席梅雨に入る
マスターの写真語るや梅雨晴間
1/2妻の相続蟻地獄
炎熱の相続権や未だ真上

夏旺ん家の制度の変り時
大声を夏の屋上ただ一人
梅雨の夜の後髪引く置き去る子
おにぎりの海苔やしっとりたなごころ
梅雨あけるラヂオの声が君が地へ

調停や冬たけなはの畳部屋
啓蟄の父の妾と吾子の恋
暮の春ごきげんようの高笑ひ
秋を待つフラッシュ浴びぬ歌手一人
友談義冷やし汁粉の味戻り

毒饅頭食わせたくとも盆支度
少年の夫似の笑顔かき氷
風鈴や一息を注ぐ家事仕事
打ち上げのスルメの臭ふ夏の星
夏の朝皆に甘えや許されて

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