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朝ドラ俳句 虎に翼 7月

枯れ芒穂先擦り切れサイン会
「いってきます~」小中高の一年生
酒星ややさし「だたいま」頬撫でて
団子屋の沈黙甘き麻暖簾
春コート出会ひ初めの沈黙よ

初出会ひお見合ひの如秋日和
秋麗このフレーズの朱い線
秋惜しむ仕事以外の楽しさよ
しるこ屋の序文読む師や秋日和
出版や夫の遺影へ秋尽く夜

卓袱台の唐黍齧り宿題が
月一の身にしむ痛み母伏せて
判決の少数意見秋惜しむ
秋の宵法律談義の眼差し
しるこ屋の二人の時間秋めく日

小春日和団子屋の決む幹事役
親権を採らぬ夫婦の隙間風
花束や渡せぬ理由冬別れ
まだ香り産地の新茶の出がらし
凩の負けぬ大声ビルの上

冬日向寝落ちの背後訪ね人
冬の日へ気持を伝へ別れ逝き
精進落としの小豆の餡子とは
節分や無口の口の選ぶ人
春間近絆の皹の入り始め

ざざむしや帰る人待つ紙鎖
ただいまと目貼ガラスの音来たり
枯原やスカート・パンプス派手な色
畏まり取材の時間冬座敷
客帰る一息を吐く寒厨

初冬の家裁の母の顔売れて
対談の視点の狂い冬来る
決裂の調停涙の年の尾
昇進と移動冷たし人事
日向ぼこ母のゐる時ゐない時

顔色を娘や盗み凍れ朝
積み上げの些細の崩れ年賀状
譲り合ふ母の分らぬかるたとり
氷張る鑿の向く先逆怨み
北颪吾子喜ぶか団子でも

百点のゴールが全て新学期
秋の朝忙し飛び出る酒臭し
脱ぐコート家族会議の輪を作り
凩や母はこの子の前を行き
未だ見ぬ冬の新潟トンネルよ

転勤や花の新潟子に請はぬ
冬終わる壮行会の宵の月
あちこちの冬の名残の壮行会
行水の飛沫の果ての冬の虹
二人だけ櫻咲き待つ三条へ

大歓迎三條桜咲き拡げ
ぶつぶつと越後の春の子と会話
春宵の令状判子貰い来て
素っ気なき桜の庭の再会ぞ
休みの日花は咲けども休んでゐ

花時の休みは休む潔癖ぞ
故郷の便りの届き弥生尽
新社員人寄せつけぬ閉じた貝
魚屋の仕出しや美味し夏暖簾
時鳥現地調査の山登り
もみ合ひの弾き飛ばされ夏の川

ストーブの水の入らぬ薬缶ゐて
兄の死や未だ受け入れぬうつ田姫
しみかえる触れたくない古い傷
遅春や想い出多く夫のこと
春まけて裁判官や受け取らず
晩春の夫を話せぬ子の問に

夫の死を受け入れなくて鰤起し
聞き入れぬ溝埋め工事耳袋
理解して解ってもらい雪解川
春を待つ大樹の根元読書かな
雪解けを集めて広き信濃川

穏便にすれば突かれて青嵐
手を出せば急所拡がり草いきり
朧夜の二人がいいと美味いもの
令状を持つ訪問者春の真夜
語り継ぐ野遊びの夫とのことを
花洛や名前気になる喫茶店

春袷友の淹れたり喫茶店
お世辞ぬきカレー旨すぎ麻衣
友のゐぬ子の学校のはてや初夏
お手伝ひふいに現わる夏めく日
麦の秋この子のためと気を遣ひ

汗拭ひ麻雀誘ふ弁護士ら
六月や窃盗事件犯す子ら
判例を自分に嵌めてみる五月
夏浅し君のレシピのこの饅頭
生活に困らぬ苦労大南風

想い出の名前充たすや薔薇の園
秋の日や人は平等新憲法
華族なき越後の屋敷売るや秋
特別な人は何人秋の席
秋涼しこれから始む猶予の日

帰校路の少女三人水田かな
割り込めぬ子供の世界田植時
新茶淹れ二人に任す答かな
半夏生葉の裏如き母は生き
出来ること出来ぬ諦め梅雨寒し
梅雨の入り次の人生貴女なし

麻雀のルール覚えて処暑の節
鯖刺のやさし歯応え麻雀屋
いずれ去る越後の友や秋近し
戦争の記憶それぞれ夏の空
暑き日や人は求めて拠り所

胸に秘む人に言えなく敗戦忌
火事跡の被疑者の疑惑満たされず
直らない差別思考や冬めく日
冬半ば初公判述ぶ宣誓
悴みて合切袋盲牌ぞ

法廷や静粛保つ雪だるま
雪囲娘や母を待つ夕餉
オオカミ少年火のない火事現場
年用意ハヤシライスの国旗立ち
全事件保ち公平事始

処理未処理涼風至る執務室
冷やかや判決の筋揺れ動き
遠足や川近づくな崖見るな
翻訳の気を揉む手紙秋されぬ
白秋や越後の海のちらし寿司

#連続テレビ小説 #虎に翼
#朝ドラ俳句 #kigo #俳句

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