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ピンインの読み方-4 子音:口の中のメカニズムで子音の発音を学ぶ
この課から子音を取り上げます。
日本語ローマ字と中国語ピンインは同じアルファベットで「子音+母音」の並びの構造も同じですから、学び易いはずですが、現実は学べば学ぶほど発音は難しく感じます。
日本語と中国語の発音の根本の違いを知ることが大切です。
欧米系の外国人の中国語と日本人の中国語はどうも英語圏の人のほうが評判は良いようです。原因の一つは日本語特有の平坦なトーンにあるようです。
そして、もう一つが子音の発音の仕方に原因があるのではないかと思えるからです。
ピンインの発音で母音は日本人にとってそれほど難しくはありません。口の開きが中国語の方が大げさなのと「e ü」が発音しにくいだけです。しかし日本人は子音はあまり上手ではなさそうです。
中国語ではきれいな発音は母音以上に子音がカギになっています。日本人には習得しにくいのがこの子音です。そのために子音の音声のフォームの知識が必要です。その知識があれば発音の問題点がつかめ、修正も容易になります。
それで子音別グループで子音の発音を口型という口の開きかたに加え、口の中での舌の動き、呼気の流れを発音のメカニズムという視点で学べるようにしました。発音という音声を視覚化することで理解し易くなるはずです。
発音はある程度通じれば良いので、音声の仕組みなど学びたくないのが皆さんの本音かもしれません。
でも「言えれば聞き取れ、言えなければ聞き取れない」というリスニング上達の原則があります。沢山聞くことよりも、却って正しい発音で、言える単語、フレーズを増やすトレーニングをした方が効果的にヒヤリングも強化できます。耳から入る音声での中国語吸収力も格段に良くなります。
母音・子音の音声の仕組みの復習から
1課で、こんなことも学んでおこう!に下記の記述があります。母音・子音の音声の違いの特徴を再度押さえておきましょう。
■ 母音と子音の役割
母音とは何か?子音とはどう違うのか?
こんなことも知っていますと、練習もし易くなります。
母音は喉(声帯)の振動から生じる有声音です。つまり音声として聞こえるのが母音です。母音では呼気の流れに乗っている音声は妨げられません。
※ 喉仏の裏あたりに声を出すと振動する場所があります。そこが声帯です。そこから音声が発せられます。声帯が震えていますと有声音、震えがありませんと無声音です。
★ 子音と母音両方が揃って音節が成立します。日本語も中国語も音節の構造はよく似ていて、子音+母音の組み合わせです。母音はそれ自体で音声にもなっていますから、母音だけでも音節になります。
中国語では母音に声調が付きます。声調によって中国語では同じ音声でも単語の意味が変わりますから、母音がよく聞き取れるようにはっきり発音しませんと、意味が聞き取りにくくなります。
★ 子音は呼気の流れに乗っている音声を舌で妨げたり、呼気の加減で調整をして、様々な音色の子音になります。ですので子音では「音を作るため調音が重要です。調音には ①調音部位 ②調音の方法 があります。
なにより中国語の子音には無気音・有気音という呼気の違いもあります。そして有声音もあれば無声音もあります。
日本人にとって、日本語では子音を母音と分離して発音練習することはありません。子音独自の発音をする機会がないので、日本人は子音が苦手です!
中国語の発音練習で正しい中国語を話すには、子音を正しく発音することはとても大切です。
でも子音の発音は口の中での舌の位置や使い方、息の出しかたが関係しますので、真似をしようにも分かりにくいのが子音です。
結局口のなかでの舌のフォームや動きを理解する必要があります。
ポイントは調音とその方法です。そこを具体的に取り上げます。
言語を耳で聞いて真似ができるのは、まだ母語が身に付いていない子供の時期で、母語を身に付けた大人は、母語の音しか理解できません。
ですから外国語の発音を身に付けようとするなら、
❶ 言語音の発声する仕組みを知って、口や舌、声帯のあるノド、呼気をどのように使ってその音が出せるかをか科学的に理解し、
❷ その知識に基づいて音声を発し、
❸ その言語の発音の専門家に調整のアドバイスを聞いて、修正作業をする
というStepが必要です。
中国語子音の種類
日本で教えられている子音の種類と発音の簡単な説明です。
「ラジオまいにち中国語講師」の加藤徹先生のネット上の中国語発音教材からの引用です。WEBサイトと大学でのオンライン授業用のユーチューブの動画教材二つがあり、どちらも著作権FreeでOpenしています。ee! chaiでは教室開校時より使用させて頂いております。
![](https://assets.st-note.com/img/1689827799306-pq2jkJs8Iy.jpg?width=1200)
https://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/chinvu3.html#01
子音を音声にするためには母音が必要で, どの母音を代表として使うかも分かりやすくして、有気・無気も色別で表しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1689827917550-BYMJgBho2t.jpg?width=1200)
無気は息を抑えて発音する、有気は息をしっかりと出して発音します。
※ 無気・有気は呼気が少ないか多いかの違いです。
※ 無声・有声は喉(声帯)の震え具合の違いです。音声が発せられるかどうかの問題です。ですから子音は音声なしでも発声はできます。子音の練習で何らかの母音をつけて練習するのは母音がないと音声つまり発音にならないからです。
なお無気音は日本語の濁音に似ていますので、濁音で発音しがちですので、注意が必要です。
中国での子音の呼び名と分類
日本での呼び名では舌とその使い方で表現していますが中国ではそれだけでなく舌の位置も表示しています。
日本語と中国語両方の呼称を一緒にしますと、子音で舌をどのようにすべきかが、よりはっきり掴めます。
声母 shēngmǔ : 日本語、 中国語
b・p・m :唇音、 双唇音 shuāng chún yīn
f :唇音、 唇齿音 chún chǐ yīn
d・t・n・l:舌尖音、舌尖中音 shé jiān zhōng yīn
g・k・h :舌根音、舌根音 shé gēn yīn
j・q・x :舌面音、舌面前音 shé miàn qián yīn
zh・ch・sh・ri :捲舌音、舌先后音 shé xiān hòu yīn
z・c・s :舌歯音、舌尖前音 shé jiān qián yīn
なお中国では唇音をbpm・双唇音(上下の唇)とf・唇齿音chúnchǐ yīn (唇と歯 )に分けています。
調音とその方法。言語音発声の仕組み(メカニズム)
子音は口腔内で空気の流れが妨げられて発せられる音で、口の開き方 に加え、舌の使い方、舌の位置、息の出し方などが関係します。
そのため子音の発音を学ぶ際、音を作る調音!と調音の方法の知識が必要で す。
調音 とは?
調音(ちょうおん、英: Articulation)は、言語音を発音するため、舌や唇などの調音器官を動かし・・・、気流に影響を与え、さまざまな種類の音声(子音および母音)を作り出すことをいう。
調音部位と調音の方法
調音部位は、発音の際に口腔や喉頭などの特定の部位で音を作り出す位置を指します。どこで調音が行われているかを示したものが調音部位です。
調音の方法は、音を発音するための具体的な舌や唇の動き、声帯の振動、そして口の形など、発音器官がどのように協力して音を形成するかを指します。
発音器官で調音がどのように行われているかを示したものが調音方法です。
この「調音」よって、音声の特徴を理解し、発音の違いを明確にすることが可能です。
調音部位と調音方法
以下は横軸が調音部位で縦軸が調音方法になります。‥音は色別で分けています。ピンク(唇音)、青(舌尖音)、グレー(舌根音)、緑(舌面音)
黄色(捲舌/そり舌音)、オレンジ(舌歯音)。
![](https://assets.st-note.com/img/1719196664362-knD5sld8ko.jpg?width=1200)
横軸は調音点・・・両唇・唇歯、歯茎、捲舌(そり舌、とも)、歯茎、硬口蓋、軟口蓋
縦軸の調音方法の各音は国際音声記号(IPA)で使う音声学用語です。
加藤徹先生の音韻学メモからの引用です。
まず3つのグループ。破裂音・摩擦音・破擦音です。
破裂音:小爆発のような瞬発音。
息をせき止めて破裂させる一瞬の音です。 口を閉じ、結んだ唇を急に開
きます。
摩擦音:狭いすきまから息を摩擦する持続音
声道内に狭い隙間をつくり、空気がその狭めを通るときにこすれる噪音を
発します。
※ 声道は肺から出る呼気にのって流れる音声の通り道。口の中を通って
抜ける道と鼻へ抜ける道があります。
破擦音・塞擦音sècāyīn:破裂音と摩擦音のハーフ破裂音に摩擦を伴わせる
※以下がコトバンクの中国語塞擦音の説明です。
いったん呼気の通路を固く閉めてから,少しずつ開いて出す子音.中国語
共通語ではz,c,zh,ch,j,q など.発音の最初の部分が“塞音”に近似
するので“塞擦音”という.旧称は“破裂摩擦音pòliè mócāyīn”.
この課では破擦音として説明します。
ほか2つです。
側面近接音:舌の両脇から空気を通す音
鼻音:音声の声道が鼻腔を通って鼻へ抜けて音を出します。口を開いて、音
を出す際に鼻腔も通るため、鼻からも音が出ます。
各子音別の本課では、模範音声も紹介しさらに詳細な説明を加えます。
この調音の方法は音声学に基づく表現が多く学習者に敬遠されるため、きちんと取り上げるテキストは少ないです。外国語を学ぶ時、大人が聞いて真似は母語の影響(干渉とも言います)があるため、いわば日本語の発音で中国語を発音している、日本人訛りの状態です。
ですので、中国語発音を「正しく!聞いてもらい易い発音で身に付ける」ためには欠かせない知識ですので、分かりやすくするために、医療用とは違う見ても!違和感のない画像でご説明します。
一例です。gkhの舌根音です。
舌根音 gkhの調音:舌の根を盛り上げて喉の奥から息を擦らせます。
※ 下記の図の口腔内で舌の盛り上がる線があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1704805201470-uPbMpQkSaV.jpg?width=1200)
調音部位 :gkh は軟口蓋音とも言います。舌根音は舌の奥の半分の「舌根」もしくは「奥舌(後舌)」を上アゴの奥の部分である軟口蓋に持ち上げて発音します。ですので舌根音(ゼッコンオン)と称します。
調音の方法:発音器官で調音がどのように行われているか
![](https://assets.st-note.com/img/1704805201326-8gQX60mQc9.jpg?width=1200)
gk : b p と同じ破裂音です。舌根もしくは奥舌を軟口蓋に一度付けて、気流をいったんせき止めて遮断し破裂させる音。破裂ですから一瞬の音です。
h : 息でのどをこする摩擦音です。舌根もしくは奥舌のやや前の部分と軟口蓋の間にすき間ができて、そこに乱流性の噪音(そうおん)が生じます。
※ 騒音はただやかましい音です。噪音は楽器の音に使われます。高低の振動が不規則な音のことを指します。
正確な子音の発音には知識とトレーニングが必要!
子音をマスターするには、口と舌のフォームの知識と音声の微妙さを調整するトレーニングが欠かせません!
子音を精確に発音するカギは舌の動かしかたにあります!
子音の種類の呼び方は、調音部位(昔は「調音点」と言いました)にもとづきます。
「唇音」は、唇を使って調音する子音、という意味です。
b p m f の調音部位は唇です。それゆえ「唇音」と呼びます。
唇音以外の子音の名前を見てください。唇音、舌尖音、舌根音、舌面音、
捲舌音、舌歯音。「舌」の字だらけですね。
中国語の子音を精確に発音するカギは、舌を正しい動線にそってスムーズ
に動かすことです。そう、ポーズではなく、動きなのです。
初心者は、自分の舌の動かしかたに神経を集中してください。
明治大学加藤徹先生の中国語発音学習教材から引用https://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/chinvu3.html#01
中国語を発音するときは子音の部分をゆっくりめに発音するよう心がけましょう。 日本語では、ほとんどの子音は「一瞬の小爆発」です。ところが中国語では、子音は時間をかけてゆっくりと発音します。日本語の子音のように、一瞬のうちに短く発音してはなりません。
「子音の発音に時間をかける」。このコツを守るだけでも、ずいぶん発音のレベルが違ってきます。
■ 日本語と中国語子音の発音の大きな違い
日本語の「母音優先」、中国語の「子音優先」
子音は母音と共に発声して音声になります。日本語の感覚ですと、「あ」の母音があって「か・さ・た・な・・・」と子音と一体化しています。舌の使い方で子音の音を調音し、口の形は母音で合体した音声になっています。
では中国語の子音は?
まずは加藤先生の動画の最初の1・2分をご覧ください。
中国語は「子音それぞれの固有の口の形がある」それから母音を発すると述べています。
【前書きー1】で、
ピン/拼・Pīnは「缀合zhuìhé・つづり合わせる」で、つなぎ合わせるつまり、子音(声母)と母音(介母と韻母)を綴り合わせる、もしくは組み合わせるという意味です、と記述しました。
そして拼音(ピンイン)は、声母と韻母を組み合わせて音節を構成するプロプロセスですから, 「組み合わせの過程を踏む」のが拼音拼读の読み方です。
過程を踏む読み方とは、ピンインの始まりは子音・母音に分解して子音を口に出し、確認し、続いて母音を併せる読み方を行います。
子音・母音に分解することで発音が正確になります。それをつづり合わせますから、ピンインをアルファベットの文字通りに読めます。つまり
Step1
最初の子音の確認は子音に合った、決められた母音で行います。 Step2
本来読むべき母音を綴り併せて読みます。
★ そうしますと最初の子音の確認はどう取らえたらよいでしょうか?
始まりの子音の発音は正しい発音のための前準備!になります。
声母(子音)の口と舌、息の出し方の「構えを取る」ということです。実際の発音は、その後、音声にして読むべき母音を組み合わせて発音します。
この構えでは練習時は決められた仮の母音で発音しますが、そこで行う作業は子音の口の形、舌の位置、使い方、呼気の出し方などのいわばフォーム確認をしているようなものです。
そして母音は本来の母音で発音しますから、子音・母音を連結、つなぎ併せている発音です。
日本語との決定的な違いです!
日本語では母音の口の形を作ってから、つまり母音が構えで、発音時にも母音のフォームは変わりません。子音と母音を一体化させて発音します。しかいピンインの発音は構えは子音のフォーム作りで、実際の発音はピンインで表記されている母音で発音します。くどいようですが、子音と母音を併せて読みます。
※ 声のプロがおこなう日本語の発音練習で、劇団四季の「母音法」は有名です
ピンインを正確に発音するカギは子音にあり!
日本人は日本語の影響で「子音、母音を一体化」した発音ですから、ピンインを読む際にも、母音で口を構えます。
つまりピンインで記述されている声母(子音)の決められた母音を使う構えになっていません。確かに発音は、日本語耳では同じように聞こえますが、それはピンインを正確に読んだ発音ではありません。
★ ですから発音の際、子音の口の構えをしっかりと作りましょう。ピンインの冒頭が声母(子音・ピンインの最初にくるアルファベット)ですから、そのアルファベットを見たら、まず口と舌で子音の構えを作り、つづいて瞬時に読むべき韻母(母音)を加えた音声にしましょう。
※ 構えと表現するのは動きに入る直前の静止状態を表しています。武道や格闘技の構えをイメージしてください。中国語発音では音声にはだしませんが、子音の発音の型をおろそかにしてはいけません。
発音は母音と連続する「動きのフォーム」全体になります。
例えば次の課で学ぶ唇音ですが、このような準備動作が必要です。
唇音は、調音部位として唇を使う発音です。b p m は上下の唇を使う両唇音で、f は上の歯と下の唇を使って発音する唇歯音です。
コツは、母音を発音する前に、上下のくちびるをぴったりあわせる「ため」の時間を意識的に作ることです。
https://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/chinvu3.html#05bopomofo
この「ため」の時間が構え!になります。そしてさらに動きですが
中国語の子音を精確に発音するカギは、舌を正しい動線にそってスムーズに動かすことです。そう、ポーズではなく、動きなのです。
この動きがフォームになります。例えばバッティングフォームといえば、バッティングの動き全体を表現します。ですので唇音bのフォームと言いますと音声も発した唇音bの口と舌と息の使い方の動き全体をさします。
そうしますと母音を組み合わせて発音する時どうなるでしょうか?
中国語や英語を発音するときは、まず子音本来の口のかたちを作って子音を発音し、そのあと続けて(その子音にあうように歪めた口のかたちで)母音を発音します
中語語では母音は子音に合わせた発音に変化します。このようにして子音優先の音声フォームになります。ですので子音だけを取り上げて練習することを行います。
では次回から各論に入りますが、まずは唇音の発音で実際どうなっているかを学びましょう。
次は5課:子音-1 唇をしっかり結ぶbpmf:唇音(しんおん)です。
■ 中国語発音、ピンインの読み方・拼读講座
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