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2022年度入試の動向と対策  ~本番その日まで学力は伸びる~

年が明け、いよいよ首都圏の中学受験が始まりました。 2021年10月から日本テレビで放送された『二月の勝者-絶対合格の教室ー』を視聴していらっしゃった方も多いでしょう。 首都圏の中学受験の実態をリアルに描いた原作マンガがドラマ化された内容で、「中学受験生がいる家庭はドラマ以上にもっと大変」や「少し大げさな表現では」といった意見がネット上で飛び交いました。 これから中学入試を受験しようと考えていらっしゃるご家庭では、入試本番までのロードマップが具体的にイメージできたのではないでしょうか。

昨年度、新型コロナウィルスの拡大が懸念されるなかでおこなわれた2021年度入試から1年経ち、2022年度入試はどのような傾向となるでしょうか。 今回は2021年度の入試を振り返りながら、2022年度入試の動向をまとめ、本番その日まで学力を伸ばすための直前期の過ごし方についてご紹介します。

1.受験者数は増加傾向

首都圏の2021年度中学入試は、新型コロナウィルスウィルスによる経済的な影響で受験者数が減るのではと予想されていました。しかし、実際の受験者数はリーマンショック後から続いている右肩上がりの増加傾向のままで、例年数千人が受験する埼玉の私立中学校の1月入試の受験者数も前年度とほぼ変わりませんでした。

今年の入試では、受験者数は更に増加する傾向になるのではと推測されています。2021年に実施された首都圏模試、SAPIX、四谷大塚、日能研の模試受験者数が前年度に比べ数千人多いそうです。 少子化の流れで小学6年生の生徒数は減少しているものの、中学受験をする生徒は増えているということです。

2.受験者増の背景

これまでの私立中学の受験といえば、お父さんやお母さんが私立中学出身であったり、中学受験をする家系であるから受験をしなければいけないといった理由が多かったように感じられます。  多くの一般家庭では、小学校時代にはスポーツや習い事、または家族と一緒に過ごす時間や実体験、何より小学生らしい生活を送ることを最優先してきたように思います。  しかし、新型コロナウィルスウィルスによる長期休校措置がとられた際に私立校と一般的な公立校の間で、生徒への授業サポートにおいて大きな格差が生じました。 既に授業にIT化を取り入れていた私立中学校ではオンラインで授業をおこなうことができましたが、公立中学校でオンライン化を導入していた学校は数%で、子どもを公立校に通わせる保護者の間では不安感が生まれました。

私立校との対応の差が注目されたことをきっかけに私立中学校・私立高校への意識が高まり始めました。加えて、これまで仕方なく受け入れてきた高校受験の内申制度への不安や不満が募り、中学受験という選択をされるご家庭も増えてきているようです。
また、『生徒や保護者が中高一貫教育をも選択できるように』と1999年に設置された公立中高一貫校。公立中学校と同じ教育費で質の高い授業がうけられること、選考基準が小学校の調査書と適性検査であることから高い人気を維持しています。
「中学受験費用と安定した中高6年間の生活」と「高校受験費用と不安定な中学3年間の生活」を両天秤にかけて、これまで専業主婦やパート勤務であった母親の収入を増やすことで可能であるならば「中学受験」を選択するケースも少なくないようです。

これまで中学受験のハードルと言われてきた「費用」の壁も少しずつ低くなりつつあります。通信教育の中学受験コースやオンラインツールを活用した勉強コンテンツが充実し、個別授業や家庭教師費用に価格競争が生まれ、必ずしも大手中学受験塾に通わなくても中学受験をすることが可能になっているのです。
小学6年生から塾に通い始め中学受験をするケースや12月まで習い事やスポーツを続けながら中学受験をする生徒も増えてきています。

こういった流れに対応するかのように、私立中学校でもいわゆる「中学受験勉強」をしていなくても対応できる新しいタイプの入試がどんどんと設けられています。 このような傾向は2022年の受験者数の増加や受験生の多様性につながるかもしれません。

3.志望校の二極化

2021年度入試では、最難関校の受験者数にはあまり変化が見られなかったものの、難関校の受験者数は減少傾向にありました。一方で、偏差値40~50前後の中学校の受験者数は増加傾向にあり、安全志向が見受けられました。 早い段階でお子様に無理のない志望校を絞り込み、塾主導ではなくお子様に合わせた中学受験をおこなったご家庭も多いということではないでしょうか。

4.午後入試・複数回入試の活用

多くの私立中学校の入試日が2月1日、2月2日に集中していることから、前半戦が2月2日まで、後半戦が2月3日からと多くの中学校の試験日程が前倒しになっている傾向があります。

 受験生一人あたりの平均出願校数は平均して6~7校。 近年、複数回の入試日を設定する中学校が増えてきている影響で、東京・神奈川に居住する受験生の約3割~4割は午後入試を受験しています。

第一志望校の併願校として利用されることが多かった午後受験や複数回受験ですが、上記で述べた志望校の二極化によって、一つの志望校に何度もチャレンジするケースも増えつつあります。 中学校側も、「2月1日に受験したお子様」「複数回受験しているお子様」は自校を第一志望校として志願してくれているとして、繰上げ合格の際に優遇するなどの措置を説明会などでお知らせしている場合があります。

本命校の受験に合わせて、1月に東京から埼玉や千葉の中学校を受験する人数も例年通りと考えられますが、これまで進学実績の高い公立高校が多く公立人気だった埼玉や千葉でも、私立中学への関心が高まっており、私立中学校を第一志望校として受験する人数が増加傾向にあります。 十分な対策をせずに受験すると思わぬ結果となり、2月の本命校の受験まで影響を及ぼすこともありますので注意しましょう。

5.面接の復活

2021年入試では新型コロナウィルスの影響で、例年受験者や保護者との面接をおこなっていた中学校では中止するケースが相次ぎました。 2022年度入試においては従来通りの面接試験を予定している中学校が多数です。 面接は合否に直接関係するものではないと考えられていますので、小学6年生として面接官の質問に真面目に答えようとする姿勢があれば心配し過ぎることはないでしょう。 マスクをつけたままの面接になると考えられますので、声の大きさや目の動き、姿勢などは一度ご家庭でビデオ録画するなどして確認してみると安心です。 初対面の人と話すことが苦手なお子様や緊張しやすいお子様は塾や個別指導で、本番と同じ家族ではない第三者に面接をお願いすることも検討してみてください。

6.『本番その日まで学力を伸ばす』ための直前期の過ごし方

「本番その日まで学力は伸びる」どころか「入試が始まってから学力が伸びた」経験をした中学受験の先輩は多くいらっしゃいます。 そこで、直前期でも学力を伸ばすための方法についてまとめてみました。

①【子ども自身が受験に対して本気モードになる】

人生で初めて「受験」に挑む11歳~12歳の子ども達。 子ども達なりに懸命に頑張ってきたのに結果が伴わないという現実があるということに実感が湧かないのも無理はないでしょう。

子ども達自身が「入試本番で合格最低点以上を得点することで学校に合格できる」という感覚を実際に体験して初めて、1点、2点につながる知識を本気で覚えようとしたり、ケアレスミスの理由を突き詰めて考えたりできるようになります。 『本気モード』に入った子どもの集中力や吸収力があれば本番までに学力はまだ伸びるでしょう。

 お子様の性格を一番よく知っている保護者の方が、1月受験や複数回受験を上手く組み合わせて、「合格」の喜び、「不合格」の悔しさを本番前に体験させて子どもを『本気モード』にしましょう。

②【解答に根拠を持たせる】

 小学校4年生から塾に通って勉強してきた子ども達は多くの知識を学んできているはずですが、その多くは単なる「言葉」であって意味や背景が分からないまま暗記し忘れてしまい、また暗記するの繰り返しだったのではないでしょうか。  直前期に学力が伸びるためにはバラバラだった「言葉」が網羅的につながり知識に変化することが必要です。  志望校の過去問を解いたり一問一答で知識を確認する際には、「どうしてその解答を選んだの?」と声を掛けたり、「関連する情報を他に知っている?」と知識を拡大していく問いかけをしてみるとよいでしょう。 何となく正解してきた問題が本番で出題された場合でも、確信をもって答えられるようになります。

③【充分な休息と集中】

1月に入り、小学校を休んで塾などで朝から夕方まで勉強に励むお子様もいらっしゃるでしょう。  長時間の勉強で注意して欲しいポイントは「必ず休憩を挟むこと」です。 株式会社ベネッセコーポレーションの実施協力で東京大学 薬学部の池谷裕二教授が中学1年生を対象におこなった実験によると学習時間を細かく分けた「45分」で「60分」と同等以上の学習効果を発揮 “長時間学習”よりも短時間集中の“積み上げ型学習”が有効であったという結果が得られました。 集中力を高めるためには、休憩して頭を休ませる時間も大切だと言われています。 入試本番でも教科と教科の間には休憩時間があります。その休憩時間でリフレッシュできるように、直前期に脳の使い方も練習しておきましょう。

まとめ

2022年度入試の動向はいかがだったでしょうか。 今年も厳しい戦いになることは間違いありませんが、長かった中学受験のゴールはもうすぐです。 最後に保護者としてできる子どものサポートは、これまでの子どもの頑張りを褒めてあげることです。

親子共に体調を万全にして最後まで諦めずに頑張りましょう。

最後になりましたが、本年もいろいろな情報を発信していければと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

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