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日本は減点方式の教育システムだから、世界で勝てない

日本の教育体制がミスを許さない社会、同質型を好むマインドセットを構成する

こんな話を聞いたことがある。

日本野球が国際大会で勝てないのは、チャンスの場面やピンチの場面で、自分に回ってくるなと思うマインドが常にあるからだ、と。

また、こんな話も聞いたことがある。ある日本のオリンピック選手は、オリンピック期間中は毎日吐き続け、早く大会が終われと願っていた、と。

自分の力を世界に見せつける絶好の晴れ舞台であるにも関わらず、どうしてもネガティブなマインドセットになってしまう日本人。なぜか。それは、日本の教育システムが減点方式であることが要因ではないかと考える。

日本の教育システムは減点方式?

日本語表現辞典によると、減点方式とは以下のように定義されている。

物事の判定や評価において、悪い点・失敗などの要素に応じて点数を差し引いていく方法を意味する語。

私の経験の中で減点方式の象徴だと感じた例を二つ挙げる。

1. 部活動での失敗
2. 授業の空気感

部活動での失敗

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私自身が部活動で経験したことではあるが、皆さんも一度は部活を経験したことがあるならば、こんな経験はなかっただろうか。顧問の先生から、あるチームメートが試合や練習でミスをした時に、連帯責任で全員に走れと言われた。また、強豪校であれば、部員の数も多く100名の熾烈なライバル争いの中で1軍まで登りつめたものの、たった一度のミスで3軍まで降格してしまった。これらは、全てミスを許さない環境であり、自分がミスをするごとに評価が減っていくシステムである。残念ながら、日本の中等部・高等部では多くのこうした環境が見受けられる。このシステムによって、ミス=絶対におかしてはいけない事として、子どもたちの頭にすり込まれ、大人になっていく。


授業の空気感

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授業では、「この問題を答えてもらおうか?」と先生がよく授業で生徒を指す。だいたいの問題はそこまで難しくない問題が多い。そのため、空気感としては、こんな問題正解して当然だろ、のような感じになる。そこで間違えたりしたら、クラスから笑い者にされる。このような流れをクラスの皆は全員わかっている。だからこそ、俺を指すな、私を指さないで、と祈るように、先生から目を逸らす。これもミスを許さない環境と言えるだろう。


ミスを許さない教育システムの功罪

ミスを許さない教育システムは、第二次世界大戦後、日本の高度経済成長期を迎え、同じ製品の大量生産が求められた。このような環境の中では、同じ製品を常に同じように、ミスのないように正確に製造する必要があった。つまり、ミスをしないための教育が求められたのである。もともと日本人の特性として、長い歴史の中で、規律を守ることに長けていたこともある。当時の市場の需要と日本の教育システムは相性がよかった。こうして、日本はGDP3位まで成り上がった。

しかし、現代社会は、あらゆるものが機械化され、今後もAIやARなどの進化がある中、人間の役割は新しい価値を見つける、生み出すことに変わっている。新しいことを普及させていくには、たくさんのトライ&エラーが必要である。ミスを恐れていては、新しい価値は生まれない。また、国際社会でもある。各国の主張があり、立場がある。中国が多少のミスを省みずに発言力を高めている状況だ。日本の主張も強めていかなければならないが、保守的になることが多い。これらはミスを許さない教育システムが無意識のうちに私たちの身体に染み込んでいるのである。

何のためのアクティブラーニングか、ICTの活用か、を改めて考える

昨今、教育業界では、アクティブラーニング、ICTの活用の2つがビッグテーマになっている。先生から一方的に板書し、授業を展開するのではなく、ディスカッションを増やし、生徒一人一人が自ら考え、意見をみんなで交換する。生徒がタブレットを使い、インターネットで、より多くの情報を得ること、詳細に生徒の苦手分野を特定すること。他にも様々なことが可能になる。しかし、「なぜ」今これらが必要なのか、を全教師、全教育業界に精通する人々が理解しなければならない。究極的には、世界で勝つための教育であり、ミスを許容する文化の醸成、すなわち加点方式の教育システムの確立を目指すことにある。

GIGAスクール構想によってインフラ面が急ピッチで整いつつあるが、形だけのアクティブラーニング、局所的なICTの活用では意味がない。今必要な教育とは何かを認識し、新しい手法を施したとしても、教育方針に一貫性がないといけない。

そのような意味では、あまり注目がされていないが、部活動の考え方やホームルームへの取り組みについても、やり方を見直す必要があるように思える。

まとめ

現代社会は、国籍問わず、様々な人々が国を跨いで仕事をしたり、移住したりする。また、国々と連携し、自国の産業を発展させていく必要がある。そして、一つ一つの産業では、至る所でAIやらVRやらで自動化がされている。このような時代の変遷の中で、国際社会における競争力を高めていくには、重要な場面で、結果を残す、存在感を示す、勝負強さを身に付けることが必要である。それらを育むために、ミスにも物怖じしないマインドセット、何事にもチャレンジしていく姿勢を育成することである。

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