リアルな公立学校教員の給与事情:基本給から手当、控除まで徹底解説!
1.教員の給料と手当について
公務員である公立学校の教職員の給与について知りたいというお話をいただきましたので、以前、教員として勤務していた際の私の実情を交えて、教員の給与に含まれる手当や控除、さらにボーナスについてお伝えします。
公務員としての安定性はあるものの、給与明細の内訳を見ると実際の手取りは異なる印象を持つ方が多いようでうす。
この記事では、その具体的な内容とともに、給与の構成についてご紹介します。
教員の給与は、基本給となる「給料」に加え、いくつかの手当で構成されています。
給料は、経験年数や年齢に応じて増加していきますが、手当によっても毎月の支給額が変動します。
以下が一般的な給与の構成です。
給料
「2級120号俸」など「級」と「号俸」によって給料が決まります。
1級:助教諭や養護助教諭、実習助手
2級:教諭や養護教諭、特別支援教諭
3級:副校長や教頭
4級:校長
この級を横軸、経験年数に基づく号俸を縦軸に、各都道府県ごとに独自の給料表があり、職員の役割や責任に応じた給与が支給されるように設計されています。
また、地域ごとの経済状況や生活費の差異に対応しています。
主な諸手当
寒冷地手当
寒冷積雪の度合いの厳しい地域に勤務する職員に対して、冬季における暖房費用、 衣料の購入等、一時的に増加する生計費を補給するため、毎年11月から翌年3月まで支給されます。
※ 地域の区分及び世帯等の区分に応じた額(8,500円~26,060円)
特殊勤務手当
へき地手当等
このへき地手当は、地域によっては月々10万円を超えることもあります。
私は支給を受ける地域での勤務経験はありませんでしたが、教員時代には、4年間〇〇島で勤務し、へき地手当のおかげで車が購入できたという話や、へき地手当が支給される学校から支給のない学校へ異動した結果、年収が100万円減ったという話をよく耳にしました。
手当には他にも多くの種類があります。
たとえば、賃貸住宅に住んでいる場合に支給される「住居手当」、定時制の学校に勤務した場合に支給される「定時制通信教育手当」、また単身赴任の際に支給される「単身赴任手当」などが挙げられます。
お知りになりたい事があれば、ぜひコメントをお願いいたします。
2.控除と手取り額の現実
主な控除項目
公立学校の教員給与の控除項目の主なものは、大きく分けて「公立学校共済組合」に関わるもの、「都道府県公立学校教職員互助会」に関わるもの、「税金(住民税、所得税など)」の3種類です。
これらの控除は、支給額から差し引かれるため、実際の手取り額に影響を与える重要な項目となります。
「公立学校共済組合」各種掛金
公立学校共済組合の掛金は、組合員や被扶養者の病気、負傷、出産、死亡等について給付される「保険給付」、組合員が、病気もしくは負傷により休業したときや、やむを得ない理由により欠勤もしくは休業し、所得が減少してしまう場合に給付される「休業給付」、組合員や被扶養者の非常災害による死亡や住居、家財の損失に対する弔意や見舞いとして給付される「災害給付」の財源となっています。
掛金の決定は、毎年9月に行われ、各掛金の算出に使用される「標準報酬の月額」は、報酬を基に算定した「報酬月額」を「標準報酬等級表」に当てはめて決定されます。
定時決定算定シート(Excel 形式:27 KB)
実際に入力しながら、ご自身の標準報酬の算定ができます。
標準報酬等級表(PDF 形式:119 KB)
共済介護掛金
40歳に達した月から徴収されます。
(標準報酬の月額)×7.96÷1000共済短期掛金
「共済短期掛金」と「福祉事業掛金」の合算して徴収されます。
「共済短期掛金」
⇒(標準報酬の月額)×46.6÷1000
「福祉事業掛金」
⇒(標準報酬の月額)×1.41÷1000厚生年金保険料
(標準報酬の月額)×91.5÷1000年金払い退職給付掛金
(標準報酬の月額)×7.5÷1000
「公立学校教職員互助会」各種掛金
教職員互助会とは、相互扶助の理念に基づき、教職員同士が掛け金を出し合い、給付事業や福祉事業、保険事業等を行う団体です。
掛金は、教職員の給与から自動的に控除され、互助会の給付事業や福祉事業、保険事業等の財源として活用されています。
互助会費
(給料(教職調整額を含む)+扶養手当)×10÷1000互助会保険料
利用する保険商品による
3.期末手当と勤勉手当(ボーナス)
教員は年に2回、期末手当と勤勉手当を受け取ります。
これは一般企業のボーナスにあたるもので、給与の一部として計算されることが多いです。
4.実際の給料明細
以下は、私が教員として勤務していた時の実際の給料明細内容です。
なお、ここでの手当や金額については、勤務地や勤務形態(学校種別や地域区分など)によって異なる場合があります。
また、寒冷地手当や児童手当のように、毎月計上されるわけではない項目も含まれているため、月ごとの支給額は変動します。
この時点での年間の総支給額(いわゆる年収)は8,400,000円程度で、差引総支給計額(いわゆる手取り年収)は6,700,000円程度した。