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ド派手なチャリティ

アメリカに引っ越して半年ほどたった時の話。
仕事と勉強ばかりの毎日でしたが、ふと「あれ。私アメリカにいるのに、ゴシップガールみたいな生活してない」と気がつきました。
妄想していた華やかな生活と、家と図書館の往復の日々の違いに疑問を感じ、勢いに任せてこちらのナイトランに友人と2名分申し込みました。

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https://nightnationrun website より
チャ、チャラい...
コンセプトは「アメリカの陽気さを体験する」。どうせなら思い切り味わうぞと当日は集合時間の1時間近く前に現地到着。そこで手渡されたタンクトップがこちら。

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I Run For After Party! /  私はアフターパーティーのために走る!と書いてあります。あとは光るメガネとペンライト。潔さに脱帽しつつスタートラインに立つ。カウントダウンが始まり一斉にスタート!

と思いきや
誰も走らない。歩くか、止まって自撮りするか、踊るか。
踊る?マラソンで?

数百メートルごとにいるDJの音楽にあわせて控えめに体を揺らしながら、大勢での夜の散歩。お年寄り、ベビーカーに乗った赤ちゃん、色んな人種、太った人もモデル体型の人も、気にせずピタッとした同じTシャツを来て歩く。Tシャツの文字はブラックライトで光るタイプなのに、ブラックライトがないから光らない。フォトブースに行くか自分で光らせるしかない。適当。引っ越してきてから英語でのコミュニケーションがうまく行かず、自信を失いかけていた私は「ココにいていいんだよ」と言われた気がして嬉しかった。夏の夜風が心地よかった。

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ゆったりとゴールを通り過ぎるも、達成感よりも高揚感が勝つ。だってこのあと始まるパーティーのために走った(歩いた)んだから!

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https://nightnationrun website より

予想以上に盛り上がるアフターパーティー。ステージの上では、ダンサーやDJによる派手なパフォーマンスが続き、観客席は巨大なボールが飛び交う。余談だけど、アメリカでは公共の場でお酒を飲むのは禁止なので、全員シラフ。酔わずにここまで弾けられるのすごい。「こ、これがアメリカか、、、」と圧倒されつつ回ってきたボールを後ろに回したり、ペンライトを振ってみたり。そこで、ふとステージの上に表示された文字に気がつく。

Spreading Childhood Cancer Awareness / 小児ガンの認知拡大

え。これチャリティだったの?
1分位の簡単な小児ガンの説明がDJからあるも、すぐ曲に戻る。深刻さゼロ。
え。チャリティってこんなにチャラチャラしてていいの?
こんな風にバカ騒ぎして不謹慎じゃないの?

そこで私はふと、先日の友人とのLINEを思い出しました

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その後、返信が来なくなったのでした。

DJが流す爆音を聞きながら、気がつく
仲間になってくれたかもしれない人を、私は遠ざけたんじゃないか
そりゃ、そうだよね。返信しにくいよね...

私は児童養護施設や学習支援のボランティアを10年以上続けてきました
課題を丁寧に説明し、草の根の活動を続け、共感してくださる方から寄付を集めたり、自分の得意領域であるデータ分析を行ったり。それなのに10年も続けていてスケールしないのは、課題が難しいからだと思い込んでいたけれど、もしかしたら高い高いハードルを作り上げ、参入障壁を作っていたのも原因かもしれない。

派遣教師として学校に赴任した時、コンサル時代に買った服、靴、バッグは全てクローゼットの奥にしまい込みました。支援員として相応しくないと思ったからです。元々興味がなかったので苦ではなかったけれど、NPO活動を始めた時に、「今後ブランド物を持つのは辞めよう」と決めました。寄付を募るのに相応しくないと思ったからです。

だけど、そうやって私自身がどんどん自分を追い詰めることで、ボランティアやNPOに興味がある人が、気楽に始めることが難しくなるのでは?
「やっぱり、そこまでの覚悟がないとダメだよね...」と思わせていたのでは?

楽しそうに踊る人たちを眺めながら、参加費×人数-経費で寄付額を計算し、ふにゃふにゃと肩の力が抜けていくのを感じました。

私が自分に向けていた厳しさは、もしかしてなくてもよかった?
社会貢献ってもしかして、もっと緩くてもいい?
私、本当はミーハーなんだけど、これ解放してもいいのかな?

帰宅後、さっそくブランド戦略設計のプロである別の友人に感じたことを吐露する。

友「そうかぁ。じゃあ、ゆかちゃんが思う、今の日本の社会貢献業界ってどんなイメージ?キーワードたくさんあげてみて」
私「うーん。つらい、地味、自己犠牲、ストイック、排他的、課題を強調」友「確かに。NPOに就職した人は、一生アルマーニ着れないイメージ。着たら炎上しそう。ゆかちゃんがさ、戦うべきはその見えない障壁なんじゃない?」
私「!!」

そうして私は、もっと身近で身軽なボランティアや社会貢献活動があってもいいな、そういう活動を広げたいなと思ったのでした。
「楽しそう、気軽、華やか、オシャレ、解放的、初心者もOK、課題解決後の未来に注目する」みたいな社会貢献活動があってもいい。
「にわかに厳しい業界は廃れるから」と新参者に優しいオタクの友人の言葉を思い出しながら、私は自分のスタンスを変えることに決めました。

だから私は、これから少しずつ、ポップにマイペースに、ゆるいチャリティーをしたり、社会的養護や教育機会に関して発信したりしていきたいと思います。同じ気持ちの人に出会えるといいなと思います。

※ 当事者に直接関わるような活動に携わる場合は、気軽ではなくプロのアドバイスに従い慎重に行うべきだと思います。




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