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【イギリス駐在】今更だけど、ロックダウンを振り返る

EDUBALアンバサダーのKikoです!本帰国してあっという間に1年以上が過ぎています。あの頃はまだポストコロナの余韻がまだ東京のあちこちで感じられていました。が、2024年はどうでしょう。日本の学校関連行事もすっかりコロナ前に戻ったように感じられます。あの時期は一体何だったのだろうか……?更に日本の便利な暮らしにどんどん記憶が上書きされていく毎日。でも、今更だけれど今だからこそ、不自由で不便だったロックダウンin London生活を振り返ってみたいと思います!

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じわじわと、でもその日は突然に

娘の現地校で子ども同士の会話に「Wuhan(武漢)」がのぼり、それは何?と娘から聞かれた記憶があります。巷では謎のウィルスがチラホラ話題に。更にアジア人に対する冷ややかな眼も向けられている、という噂も。

その春は一時帰国を予定していましたがあやしい雲行きに… 毎年日本に帰っていたわけではないので楽しみにしていましたが、母子での一時帰国予定だったので、私1人で対処するには不安が残り、泣く泣くフライトをキャンセル。

2020年3月23日。その日はとうとうやってきました。学校休校。夫も出社が禁止され、スーパーからトイレットペーパー、お肉コーナーは肉という肉(真空パックなので賞味期限が長め)が消えました。小さな商店を回って食材や生活用品、消毒のサニタイザーを買い集めました。

イギリス議会のHPにはロックダウンの歴史が記されています。
3度の大きなロックダウン。今思い起こしても長かったなぁ、と。細かいルールはイングランドとスコットランドなど地域によって違っていましたし、日本との渡航関連のルールにも一喜一憂していた日々でした。
今後について、当時の首相ボリス・ジョンソン氏から発表がある日は、家族でテレビ画面にかじりついてルールの緩和を願って、ハラハラしながら見守っていた日を思い起こします。

生活の何が変わったか

基本的にはstay at home
必要な買い物の外出のみ認めれるが、できる限り頻度を減らしsocial distanceを保つこと
エクソサイズのための外出は一日一度認められるが、一人、もしくは家族単位のみで、友人などとの集まりは禁止
生活に必要な商店以外はクローズに。
学校は休校になり、仕事は在宅ワークに。

イギリスの国民保健サービスはNational Health Service通称NHSと呼ばれています。上記のルールを一人ひとりが自覚し守ることが、NHSの機能を保つために必要だ、というものです。NHSなど医療従事者の子どもは通学が認められ、学校側が預かる体制や買い物時間の優遇など、NHSに対する敬意やサポート体制が築かれました。
自分の行動に責任を持つことがNHSを支え感染拡大を防ぎ、ひいてはイギリスを守ることに繋がる、というルールには、個々人へ訴えかけるメッセージ性の強さ感じました。
結果、普段バス停ですら並ばないイギリスの国の人達が、お店の外でsocial distanceをきちんと守り並んでいたのです!そして賑やかだった街にはすっかり人影がなくなりました……。

初めての生活に戸惑いはありましたが、我が家のケースは、基本いつも居ない(3〜4ヶ月に一度は日本へ出張)夫がずっと家に居たことで、家族の結束が高まり絆が深まった期間になったとも言えます。夫自身も子ども達の普段の様子を知り、一緒に遊ぶ時間が持てる機会になりました。

電車もバスも数ヶ月乗ることもなくなりました。
公園の卓球台も取り外され、あらゆる遊具はロープやテープが巻かれ使用禁止のサインが……。

新しいルーティーン

学校へ通えない子ども達。そんな毎日の明るい兆しとなったものといえば『PE with Joe』。PEとはPhysical Educationの略で、学校の「体育」をさします。平日朝9時にYouTubeでライブ配信されノリノリのJoeと一緒にエクソサイズを日課にした家庭は多いはず!

画面をテレビスクリーンに映して

ラッキーな事に、長女の学校も長男の学校もオンライン授業の立ち上げが早く、朝は決まった時間にパソコンから出欠を先生がとり、家から子ども達のオンライン授業が始まりました。

時間割を壁に貼って
工作の課題。サポートはやっぱり母のタスク…、苦笑

娘はやっぱりお友達が恋しくて、恋しさが故にタイピングのスキルが上達!チャットにズームに、あの手この手でお友達との繋がりを求めていました。

ランチタイムがそれぞれズレていましたが、休み時間にはバトミントンや近所のスポーツ施設の壁を利用してテニスの壁打ちのお付き合い。

突然夫が園芸に目覚め、人参🥕、とうもろこし🌽、ズッキーニ 、エンドウ🫛などを栽培しだしたり(笑)。

この量…
数ヶ月後のズッキーニ !イギリスではcourgetteと言います

小麦粉などの粉類も不足。お友達ネットワークは大きな情報源で、オンラインで購入できるお店を教えてもらいました。

貴重な粉物!

マクドナルドのドライブスルーに果敢にトライしたり(笑)

列が長蛇になると道を塞いでしまうので、係員により通過を促されてしまいます。2軒目のマックの3度目のトライで並ぶことに成功!

生活を見直そう

当たり前が覆され、挨拶の仕方も変わり、リモート化や非接触型のサービスも増え、新たな当たり前がつくられて……。

これを機に、子ども達の習い事を取捨選択し、日々の運動の重要性を認識し、終わりの見えない生活の中にいても向上心を持つことの大切さや、何と言っても友だちや学校の存在の大きさを痛感し、改めて日々の生活を見直しました。

夫は家族の環境を整えてくれました。自身も自宅内のワークスペースを2回引越ししていましたが…。昼間は慣れるまでは家族のサポートに回り、主に子ども達と一緒に運動して遊んでくれました。仕事はまとまった時間が取れる夜に集中してやっていました。
娘はタイピングが早くなるなどPCスキルがあがり、早起きしては読書の時間を持ち、興味のでてきた手芸やお菓子作りにハマりました(母は付き合わされました、苦笑)。ロックダウン寸前にスタートしたバイオリンもオンラインで継続しました。
息子は…、んー、年齢的にもやっぱり友だちと直接触れ合う事が一番!それでも絵を描いたり、レゴでコマを作ったり、パパと外でサッカーやバスケをしたり。自転車もすぐに乗れるようになりました。ルールの緩和と共に、新しい事にもチャレンジでトランペットを始めたのもロックダウンがきっかけです。

近所のプロジャズトランペッターから指導


母は主に食担当。粉を手に入れてからは、パンを色々試行錯誤したり、敢えてお昼はお弁当箱に詰めてみたり。バルコニーで食べたりピクニックしたり。子どもの手芸工作のお付き合いや、リビングで寝袋お泊りに付き合ったり。

新しい日常

学校の分散登校が始まり、満面の笑みで足取り軽く登校する娘や息子の姿は忘れられません🩷

他の家庭との接触はアウトドア、インドア共に、時期によりできたりできなかったり。
学校に行けたり行けなかったりの繰り返しが日常となり、実際に学校のクラス内でクラスターが発生すると急に学校から引き取りのお呼び出し。一方で戸外のバースデーパーティーは復活し始めました。
毎日が正にコロナと隣り合わせの日常。

PEの授業。スキーだってなんだってできる!笑

遂に我が家も娘がセカンダリーの大事な試験目前にコロナ発症……。ついで私に、夫、息子へと連鎖。夫の症状がなかなか重く心配もしましたが薬といったらパラセタモールの一択。私は味覚障害が半年くらい続きました。
PCRテストの受け方や、学校復帰のルールもこれまた当事者になると新しい事だらけ(泣)。

PCRテストで陽性になつとこのような指示が。

クリスマスはどうなる、などその時々の課題に直面しながら、長い長い期間を耐えながら、でも前進を信じ、ようやく2021年3月withコロナの日常が戻ってきました!?

一年巡って3月。また桜の季節です。

最後にコロナ禍でのイギリスの印象的な出来事の紹介です。

毎週木曜日の夜8時になると『Clap For Our Cares』という、医療従事者などを称える拍手や歓声が街中に鳴り響きました。
インターネットやSNSを通じて広がったこのキャンペーン。この時間になると街中の人がバルコニーや外に出て、最前線で懸命に対応するNHSで働く人、公共交通機関のスタッフ、スーパーで働く人たちへ感謝の意を示し、住民が一斉に拍手をするのです👏
困難な局面を共に乗り越えようとするイギリスとしての一体感を感じる大きな瞬間でした。

更に窓辺には子どもが描いたと思われるレインボーをモチーフにしたNHSへの感謝のポスターがあちこちに。我が家も外から見える位置に貼りました。

自分のためではなく他の誰かのために。チャリティー文化が深く根付いているイギリスならではの発想から、当然のように生まれたキャンペーンなのでしょう。

当時出されたバンクシーの作品
『ゲームチェンジャー』

当たり前が何かを考えさせられた新型コロナウィルスによるパンデミック。各国各家庭様々ないろいろな思いがあると思います。
自身の感情に向き合いながらも現実を真摯に受け止めて、それでも前進する力の大切さ、自分以外の他者の存在の大きさを思い知りました。
長い振り返りになってしまいましたが(苦笑)、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。



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