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【Edu-more plusライター企画】海外子育ての悩みNo.1 我が子の日本語教育について。日本語補習校ってどんなとこ?(シンガポール版)

こちらは、Edu-more plus会員が海外子育て、海外での教育、帰国受験など海外赴任ファミリーの実体験を綴っていただく【Edu-more plusライター企画】の記事です。


海外生活をする上で、保護者の皆さんの誰もが悩むであろう我が子の日本語教育。
そもそも日本語を習いに行かせる必要があるのか…?から始まり、
どうせ習いに行かせるなら言語だけでなく文化的なところも教えたい。
と、だんだんと変化していく親心。

きっと共感して頂けるのではないでしょうか。

そこで今回は、私が住むシンガポールの日本語教育機関でダントツ人気の
「シンガポール日本語補習授業校」(※以下、補習校)の内容を、今現在、実際に通っている児童の保護者さんの生の声と一緒にご紹介します!

この先、お子さんの日本語習得に補習校を考えている皆さんの参考になると嬉しいです。

★Edu-more plusライター:Mihoの中高帰国子女受験の記事はこちら👇

【2024年度:帰国子女受験備忘録】




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シンガポール日本語補習授業校とは

「シンガポールの教育熱は群を抜いている。」
と日本国内外での教育機関で耳にするくらいここシンガポールの教育熱は半端なく、日本の有名どころの大手塾が軒を並べ、その成績もアジアの中でトップクラスというほど熾烈な勉強が毎日繰り広げられているシンガポール。

そんなシンガポール。
塾や習い事のお教室もたくさんあり、日本語を学習できる教育施設も幾つかありますが、その中でもやはりダントツで人気なのは補習校でしょう。
何がそんなに他と違うのかと現在通っている保護者さんに聞いてみると、

「何よりも学校の教室で行われること。」
・「無料配布の小学校の教科書を使い学習すること。」
・「土曜日に3時間しっかり勉強するので、習い事というよりも実際に日本の学校に通級している感じがしていい。」
・「四季を通した文化行事に参加できる。」


とのことでした。
実際の学校を使って四季を通した文化行事もやっている。
それはしっかりした機関だな…。と思われた方もいらっしゃるかと思います。

それもそのはず!
補習校とは、日本政府が在外教育施設として、海外に在留する日本人の子供のために開設した機関であり、学校における教育に準じた教育を実施することを目的として海外に設置された教育施設なのだそうです。<文部科学省HP参照>
余談ですが、この「補習校」がいったい世界にどれだけあるんだろう?と調べたところ、令和5年7月1日現在では世界51カ国・1地域に234校が設置されており、約2万人が学んでいるそうです。<文部科学省HP参照>

なるほど。
確かに自分が習っていたような環境で学習できるのは安心できるし、
使用するテキストが小学校と同じ教科書で、しかも無料で支給されるのは親としては有難い。
しかしながらこちらの補習校、文科省の設置する在外教育施設と言えど、
誰でもが入れるわけではないんです…。

そう、実はなんと!この補習校には「入試」があり、めでたく「受験」を突破した児童しか通えないんですね。
(シンガポール校だけでなく比較的日本人の多い国の補習校には同じように入試があるようです。)

左:ボタニックガーデンでの突然の遭遇。シンガポールではあちこちで大トカゲと遭遇できます。
右:観光名所マーライオン公園での一枚。このポーズをしている人がたくさんいます。

そして去年の12月に、この補習校の2024年度4月の募集が発表されたため、
私の周りも賑わい始めています。

私も初めてその募集要項を見たのですが、す、すごい…!!
中高受験となんら変わらないじゃないですか!?
(私自身が子どもたちの中高帰国子女受験をこなしたばかりです。)

もちろん出願書類を期日までに揃えて提出する必要があり、               
筆記試験があり、親子面接もあり、服装にも気を使います…。

募集要項を読んで、何より「おぉぉぉ〜!」と目を引いたのが、
事前の入学説明会に参加しないと、願書や個人票などの出願書類がもらえない。ということ。
なので出願したいご家庭は入学説明会の参加がマストなわけです。
きっとこの時点で、補習校の方針に同意を得るということなんでしょう。


補習校のその狭き門

学年によっても変わるようですが、1学年3クラスほど、1クラス20名というので、ざっくりと1学年60名はいる計算。
それでも残念な結果な児童がいるということはその倍率は一体どのくらいのものなのか…。

どの国の補習校もシンガポールと同様かは分かりませんが、ここシンガポール補習校は4月入学の他にも6月と10月に編入試験があります。

こう聞いて、編入が年に2回もあるのなら、新小学1年生の4月入学に無理に合わせなくても編入試験で受ければいいや。と考える方もいらっしゃるはず。
しかしながら、その考えが後で後悔するであろう補習校受験。

なぜなら、欠員が出ない場合は試験自体が開催されず、
編入試験が受けられないということも珍しくないそうなんです…。
かと言って、たとえ編入試験を受けられたとしてもそれはかなり狭き門のようです。

⏬ちなみに編入試験を受けた保護者さんの生の声はこちら⏬

私が試験会場で数えた限りなので非公式なのですが、
当日60人くらい会場には受験生がいて受かったのは11人でした。
小1〜中3までいたので今回の編入試験で編入したのは1学年0〜3 人です。

こう聞くと受験を受けられるのであれば新小学1年生で入るのがベスト!
というのは間違いないようです。
人の出入りの多いシンガポールでも欠員補充が出ないこともあるくらい、
補習校の倍率は高いんですね。

また、補習校は日本人会が運営しているため、                     
もし残りひと枠に同点の子が2人いた場合は日本人会会員が優先
だという話も聞きました。
そのため、保護者さんはこの日本人会に入会するのかしないのか。          まずはそこから悩むようです。
ちなみに日本人会員になると年会費はかかってきますが、補習校の入学金や月々の授業料が非会員より安く設定されているという点や、日本人会施設の図書室や比較的安価な日本食レストランの利用もできたり、他にもイベントや文化行事などもあるので、総合的に見るとメリットはあるのではないかと思います。


補習校に通って実際どうですか

補習校で良かったなと思える点

さて、なんとも入るまでに大変そうな補習校ですが、実際入学して学習し始めたらどうなのかと現在通っている保護者さん数名に聞いてみたところ。

・私的にとても良いです!子供はいつもすごく楽しそうに通ってます。
学校の中で授業を受けるのもいいし、担任やクラスの子やも毎回同じだから、普通の学校のような感じで良いです。
行事が多いのが魅力的。

・学習も1コマだけでぎゅぎゅっと濃縮してしてくれます。
学校は日本の行事イベントがたくさんあって楽しいようです!
お月見集会や、書道したり、来月は何だろう?節分もするようです。

・図書館を使えるのが楽しいようです!
おかげさまで息子は本の虫になりました。

・日本の文化や行事を体験できる事がいいですね。
例えば日本のお月見、運動会、七夕、書道、節分など。
由来についても教えてくれます。

・習い事の塾とかと違って学校の中でお勉強できるのがいいですね(^^)  
あとは始まる前に友達と図書館とか行って楽しんでます。
(本も借りられますし。)

こう聞いていると、
やはり言語のみでなく日本の文化行事を織り交ぜて「日本の心」を養うにも補習校はお子さんに最適のようです。

しかしながら、その『最適』に付き合う保護者は覚悟を決めねばならないのは必至で、出願前の案内には、

保護者の義務:
『家庭は第二の教室、保護者は第二の担任』とあり、
宿題を見るのはもちろん、家庭内での日本語の徹底、
さらに、保護者会役員や学級委員等を通して役割を果たす。
図書当番や行事の手伝いなど、保護者としての応分の役割を果たす。

とありました。

補習校に入れて大変だなと思う点

保護者がそれなりにコミットしないといけない現実。
実際にその辺りはいかがなものか聞いてみたところ、こんな意見が出ました。

・出される宿題を親が見ないといけないので大変。

・土曜の午後が丸々潰れるのが残念。
我が家の1番の問題は、宿題嫌いの長男に毎週たくさん出してくださることです。

・毎週学校まで通うのが大変です…。
ほぼシンガポールの端から端のためタクシーで往復しちゃうので出費が…。

・休みが日本の学校と同じなのでメイン校のスクールホリデーとズレてしまう。

・学習は毎週土曜の午後の3時間を日本人小学校のクラスを借りてするので、ガチな勉強で、もちろん宿題も出るので、その対応にどれだけ親が関わるかですね。

やはり保護者のサポートなしには補習校での学習は成り立たない。
そんな現実があるようです…

左上:日本人小学校での一枚  右:自分の名前を見つける息子
左下:パノラマビューで素敵な写真の撮れるマリーナバラージでの一枚。


そういえば以前、ヨーロッパ系のご主人を持つ友達が長女を補習校に通わせている時に、「本当に毎週毎週娘と喧嘩ばっかりよ。宿題もちゃんと見ないといけないし。土曜日は補習校の日と決まってるから他の予定も入れられない。大きくなったらこの有難さを分かってくれるのかしら。」
とボヤいていたのを思い出しました。
バリキャリで働いていた彼女。
どんなに忙しくても、『我が子に日本のアイデンティティーを大事にしながら成長して欲しい。』という願いがあったようです。

きっとその長女さんは、成長と共に母の有難さを感じるに違いないと思います。

実際、私もこれまでにアメリカ育ちのハーフの知人から、
「僕は名前がFUJITAって言うでしょ。だから、だいたい初対面の時に日本語話せるの?って聞かれるんだよ。それが今ではコンプレックスになってね。どうしてうちの母は僕が子供の頃に頑張ってくれなかったんだろう…って本当思うよ。」と聞きました。

親の心子知らず。子の心親知らず。
そんなところでしょうか…。

気になる補習校の面接の実態

さて最後に、受験と言えば一番気になる面接についてお聞きしてみると、

・緊張して臨みましたが実際には優しい先生が面接官で、突っ込んだ意地悪な質問はありませんでした。

・志望理由や、入学後の学校のルールについてきちんと守れるかどうか、宿題が多く出るが、メイン校と補習校、その他習い事もあるたかなりの負担になる事を理解しておくようにと確認されました。

・皆さん、綺麗な格好で面接に来られてました。

・普通に1-2割Tシャツの親子とかもいました。笑 
私は無難な普通の紺色ワンピースでした。

・試験前の説明会で面接の服装についてが質問ありました。長袖スーツにネクタイまでガチガチにする必要はありませんが、節度を守っていれば大丈夫との事でした。

・親子別々での面接で、子供は8人くらいのグループになり、別の教室に連れて行かれました。

ということで、一般的なお受験のような難しい質問が出るようなことはないようです。 

どちらかというと児童本人の気質や性質などを見る以上に、保護者が補習校のルールに沿った行動をちゃんと取れるかどうかを確認する面接なのか、という印象を受けました。

ちなみにその他の補習校のルールや禁止事項をあげてみると、

・ボランティアには積極的に参加。(まず面接の時に出来なさそうにするとアウト)
・お迎えは必ず親が来ること(メイドさんは不可)
・宿題の提出は必至
・校内での飲食禁止
・校内の自販機の使用は禁止
・宿題用にA4サイズの封筒に必要な枚数の切手を貼って来週までに持ってくる。

などなど。

こういった、海外生活が長くなると、「なんで?」と聞き返したくなるような細かいルールを、しっかり守れるような保護者でないと、たとえ合格して入れたとしても、きっとその後が辛くなるんだろうなと思います。

余談ですが、筆者の子供が通っている日本人小学校でも、
『提出時は必ず10ドル札3枚を封筒に入れて出してください』と指示される事があります。
確かに『ルールが細かいな…』とは思いますが、前向きに考えると、こういった細々とした事柄が、日本語という言語だけでなく、同時に「日本人ぽさ」も海外で学んでいけるんだろうと思うし、そして、そういった感性を海外でも身につけていれば、日本に戻った時にスーッと周りの環境に馴染めるのかもしれません。

まとめ

さて、ここまでシンガポールの補習校にフォーカスして、実際に通っている保護者さんの声と共ににいろいろ綴りましたが、いかがだったでしょうか。

もし読者の皆さんの国にも補習校があるようでしたら、              ぜひその同じところや違うところなどを教えて頂けると嬉しいです。

総合的に見て安定した日本語学習を期待できる補習校。
そうは言っても、集団行動が好きな子や苦手な子とそれぞれタイプがあるので、お子さんの向き不向きも考えながら、無理のない学習環境を揃えてあげたいものですね。


何かと不安や悩みのたえない海外生活。
1つ1つ上手に解決しながらEnjoyしていきましょう!

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