読書記録 『箱舟に8時集合!』

今回はウルリヒ・フーブ著『箱舟に8時集合!』という児童書。
まずは岩波書店に掲載されている「この本の内容」を読んでほしい。

「このチョウチョをぶっつぶす」
表紙に描かれている素朴な感じのペンギンからは想像できない物騒な一言ではないか。私はこの一文に衝撃を受けてこの本が読みたくなった。

「箱舟」という言葉からピンとくる人もいると思うが、本書は聖書にあるノアの箱舟の話をベースにした物語である。
辺り一面、氷と雪しかない所に住む3羽のペンギンのもとへ、ある日一羽の白いハトが箱舟への乗船チケットを持ってやってくるのだが…。

文章全体にユーモアがあって大人が読んでもくすりと笑いがこみあげてくる。そして挿絵。素朴ながらペンギンたちやハトの表情がとても豊かに描かれていてとても良い。ペンギンたちがとても愛おしく思えてくる。(彼ら、性格はちょっと悪いんだけれども。)

児童書ということもありシンプルかつ短いお話なので、大人だと1日で読み終わってしまうと思う。でも何度でも読み返して味わいたくなる。
結末は、あらすじからはちょっと予想できない展開かもしれない。気になる方は試しに読んで見てほしい。