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マレーシア教育移住って?

ここ数年、ツイッターや知恵袋などでは、#マレーシア留学、#マレーシア移住、#マレーシア教育移住、などをよく見かけます。エージェントもかなり増えました。しかし、母子留学や教育移住などのブログやツイッターをしている方は小学生の親御さんが多く、小学校から大学まで通した経験をしている人はほとんど見かけません。うちは今になれば上手くいった方だと言えますが、その時々で子どもも親も苦労や悩みがあり、安易に留学を勧める記事や番組は無責任だなと思っています。エージェントをしている方で、マレーシアで大学まで子育てを終えた方は私が知る限り一人もいません。マレーシアで留学エージェント業は国の認可が必要なく、少し英語が喋れて車があれば、実際誰でもできるので、自分の子どもインターに入れた経験からエージェントを始める方や、自分の子が全くインターを経験してないのにエージェントを始める方もいます。しかし、学年が上がり、進路を考えたり、帰国を考えたりする年齢のお母さん方は、小学校低学年からのインターを勧める方はあまりいません。また、マレーシアにはたくさんのインターがありますが、エージェントは、一人入学させれば学校からのキックバックがあるので、それが少ない学校や、バックマージンのない、小さな学校や設備はそれほどでもないけれど教育の質が高い学校はあまり紹介されません。バイリンガル子育て、マレーシア教育など、ブログやYoutubeで発信している方もいますが、

小学生や中学生から入るにはどの程度の英語力が必要? 

小学生からインターに通わせれば本当にバイリンガルになる? 

中学生、高校生になった時の日本語力は? 

海外インターから日本の高校や大学に戻るには? 

大学へ進学するならマレーシアと日本以外どこに行くの?

日本の教育の方が優れている部分は? 

その後日本に戻る時のデメリットは?

ネットを見ると、お誕生日を楽しんでいる様子や、インターでの外国人に囲まれて楽しそうな様子ばかりですが、実際子どもの同級生でマレーシア留学を挫折した日本人学生は約半数です。セカンダリーを卒業してしまうと帰国子女枠ではなく、日本とは教育年数も違い、しかも必要科目数が足りなくて日本の大学に進めないお子さんもいました。そういう実情を知って選ぶのと、知らずに来るのは大違いです。大学生までなってみないとわからない教育移住について書いていこうと思います。

1. マレーシアに来た理由

子どもが小学校入学前から、マレーシアには遊びに来ていて、イギリス帰りのマレー人のご家族と知り合い、マレーシアのインターのお話をうかがったのがきっかけです。小学校から音楽の授業でバイオリンを弾かせる。すごいなぁという単純なものですが、日本の私立より充実した教育内容にびっくりしました。まだまだエアアジアが日本に就航する前、「どこ行ってたんだっけ? タイ?シンガポール? 」というくらいマレーシアの知名度が日本ではなかった頃の話です。ただ、後になって、そのインターが、欧米人率のかなり高い、学費もマレーシアでトップクラスの学校と分かり、さすがにそこには英語力やビザの要件も満たせず入学させることは出来ませんでしたが。その頃は、留学をそこまで具体的に考えておらず、日本で区立の普通の小学校に入れましたが、英語がどうこうより、6年間で公立教育のレベルの低さを実感し、しかし、受験で小学生から塾通いの生活より、全く違った道もあると、小学校を卒業して半ば無理やりマレーシアに連れてきました。

2. マレーシアでの学校遍歴

日本の小学校を卒業してから、まず最初に選んだ学校は、IB教育をしているインターでした。選んだ理由は、ローカルと外国人の比率のバランスがいいこと。第二言語として英語を話す出身国が多かったので、子どもにも負担が少ないというのが1番の理由です。また、日本でもIB教育の普及を推進しているので、それらの学校ならマレーシアでの成績をそのまま持って帰れるという利点もありました。それまでに見学した学校もいくつかありますが、プールなどの設備も一通り揃っていて、ガーディアンビザを出してくれて、通学バスがあり、人種の偏りがない、と絞っていきました。学費は当時のインターの中では真ん中くらいだったと思います。まだインターがたくさん設立される前で、KLとセランゴールあわせて30校前後でした。

そこで3年学び、英語力が十分ついた10年生で別の学校に転校。こちらはケンブリッジ式の学校です。教員の98%はイギリス人(マレー語/中国語/スペイン語など言語教師のみその国のネイティブ)、オープンキャンパスで校長先生ともお話しし、今回は「この学校がいい」という本人の意思もはっきりありました。学費は前の学校の倍にはならない程度、マレーシアでは上の下くらい(そのころになるとインターが続々増えて50校くらいになっていました)。マレーシアでは外国人教員が多ければ多いほど学費が上がります。

*ただし、英語の発音と、教育の質は必ずしも一致しませんし、子どもと先生の相性はまた別なので、前の学校にも教え方の上手な先生はいました。

ケンブリッジ式やIBでは、10, 11年生に日本でいう文系理系に分かれ、専門科目を取ります。よく高校生からマレーシアのインターに、というお子さんもいますが、アメリカンやオーストラリアンでない限り、高3、12年生がないので、中学生の時点で入学しないと、日本からではよほど英語力が高くなければ受け入れてもらえません。改めて書きますが、日本のような高校卒業というシステムではなく、ケンブリッジ式もIBも、その他アメリカンスクールもオーストラリアンスクールも、インターナショナルな試験を受けなくてはならず、その成績で大学に入るか、大学準備コースを取るので、中学校を卒業してからの留学は全ての科目を英語で理解できない限りはほぼ下の学年に入れられます。生徒の成績は翌年の募集に直結するので、テストをパスしなそうならその学年での入学を認めず、受からなそうな子にはその科目を取らせない学校も多いです。子どもはこの時点で11科目とっていますが、同じ学校でも必要最低限の5科目という子もいましたし、学校により準備されている科目も違います。

11年生でセカンダリーを終え、その学校で12,13年生(シックスフォーム)に進む、という選択肢もありましたが、子どもはそこから別の学校で、A levelだけのコースを受けることにしました。ケンブリッジ式やIBで大学に入るためには、セカンダリーの卒業では足りず、1年半〜2年の大学準備コースが必須です。

その後、A levelで取った科目は全てパスしましたが、A levelは前半後半に分かれていて、コロナのために前半の試験が開催されず、スコアの低い科目の取り直しも難しかったのと、子どもがオーストラリアの大学を希望したのもあり、ファウンデーションに入学しました。

セカンダリーをIBとケンブリッジ式、大学準備コースをA levelとファウンデーションです。マレーシアのインターと一口に言っても、それぞれの学校でも、教育システムでも違いがあるので、「マレーシアでは」「マレーシアのインターは」という言い方は全てに当てはまるわけではありません。私が経験した学校、友達のお子さんが通っている学校、知っている範囲で、マレーシアの教育を書いていこうと思います。


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