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驚くべき文章のない絵本

男の子が手紙を出しにいく

その頭上を群になった戦闘機が飛び去り、後方の丘を焼く

三世代身を寄せ合うように住む家に軍人3人が押し入る

選挙ポスターに落書きをした老人を警官と犬が追う

男の子がいじめられそうになる

そこで、男の子は激しく『NO!』と叫ぶ。

すると、世界は一変して温かなものになる。

老人と警官が、家族と軍人が肩を寄せ合う。そして、最後は空から贈り物が…

文章がないからこその、『NO!』のインパクト。バンクシーに通ずるような、平和を願う美しい絵に引き込まれる作品でした。


もう一作、こちらも文章のない絵本。

宝の地図が入った箱を開けたら、冒険がはじまる。それがいつしか入れ子になったように時代が変わり…

街の全景から始まり、子供達が冒険に取り組もうとする一室へ、さらに箱に収められた小さな地図が街になり…一枚めくるごとのカメラワークがダイナミックで、3D映画のように座っているのに座っていないみたいなお尻の下がなくなったような、そんな気持ちになった絵本でした。

物語は与えられるものではなく、読み解くもの。

基本的なことを思い出させてくれた2冊でした。



よりたくさんの良書をお伝えできるように、頑張ります!