コツコツ働くカメと、知性を活かすタニシもしくはハリネズミ
もしもし、かめよ、かめさんよ。
世界のうちでおまえほど あゆみののろいものはない。
どうしてそんなにのろいのか
イソップ寓話の「ウサギとカメ」は「油断せずにコツコツ努力しろ」という教訓を教えてくれる。似たような寓話に「アリとキリギリス」があるが、これらの話がたくさんの教科書や絵本で紹介されてきたのは、「勤勉」のエートスを教えてくれるからだ。
「ウサギとカメ」のように動物同士が競争する話は世界各地に存在し、さまざまなバリエーションがあるらしい。そのひとつに相手をだまして勝つタイプの話があるそうだ。たとえば、日本の昔話には「キツネとタニシ」という話がある。キツネとタニシが競争するまでは同じだが、タニシはキツネの尻尾にくっついて、キツネがゴールすると先に到着していたようにふるまう、という話だ。
十二支の由来に関する昔話も、干支の順番を決める競争で、一足早く出発した牛の背中に潜んでいたネズミが一番になる話だった。グリム童話にもハリネズミの夫婦が共謀して競争したウサギを騙して勝つという話がある。いずれの話にも共通するのは、「普通に競争すれば勝てない弱いものが、知性を活かして勝つ」ということだ。
しかし、どこか釈然としないところもある。要領が良い。ズルしている。ダマしている。出し抜いている。努力していない。楽している。ルールの穴をついている。卑怯だ。そんな感じがする。
コツコツ働いて勝つ「カメ」と、知性を生かして勝つ「タニシ」もしくは「ハリネズミ」。お金の「知識」にはこのふたつのタイプがある。
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