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カメラ片手に、プロの写真家と散歩した話〜四ツ谷編〜 第4話

この記事は何?

・写真を撮ることが好きな素人が、プロの写真家・和田剛さんと街を歩き、撮った写真を見ながらプロからアドバイスをもらい、カメラの腕を上げてしまおうという連載。

いよいよ、四谷編の最終回を残すこととなりました。前回までのお話は以下から読めます。

1)地元民の憩いの場、外濠公園(赤いエリア)
2)学生と勤め人のオアシス、しんみち通り(青のエリア)
3)都会のど真ん中にある異空間、迎賓館赤坂離宮周辺(黄のエリア)
4)高台から四ツ谷を見渡せる、上智大学横のお堀(緑のエリア)

4)高台から四ツ谷を見渡せる、上智大学横のお堀

今回は、西洋の雰囲気漂う迎賓館エリアを抜けて、外堀通りを歩き、ホテルニューオータニから、上智大学西側の、お堀を歩いてJR四ツ谷駅に戻る、というコースをカメラ片手に歩きました。下の地図の緑色の線のエリアです。

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今回も、前回と同様に、カメラマンの和田さんと歩きながら、色々な写真を撮影して、後日オンラインでアドバイスをいただきましたー!

設楽:
いよいよラストのエリアですね。最後は迎賓館から外堀通り経由で、お堀を渡ってニューオータニの脇から上智大学の横の土手を散策しながらの撮影です。

和田:
そうですね。あのあたりは、少し高台になっているお堀などがあって、四ツ谷が見渡せるスポットがいくつかありましたよね。設楽さんはどんな写真を撮ったんですか?

設楽:
まず、このエリアで撮った一枚がこれです。

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これは、僕は意図して首都高に走っている車をミニチュアっぽく撮りたかったんです。でも技術が追いついてなくて全然ミニチュアっぽくないんですが……(笑)。

でも、この高速のカーブの感じが構図としてはいいなと思っているんです。

和田:
そうですね、この高速のカーブの感じはいいですね。

設楽:
でもこの写真って、もっと良くなると思うんですが、こういう構図をもっとよく撮れる方法や技術があったら教えてください。

和田:
この状況だと、例えば僕なら、車がもっと沢山来る状況を待ったりしますね。この写真は、高速道路のラインが象徴的で、それはいいですよね。しかも後ろに赤坂方面のビルが建っているのも、下にお堀があるのも、東京らしさが出てますよね。

この写真は、もう少し車が入った方が面白い写真になるのと、あとは高速道路のラインの入り方に意識を向けるのもいいかもしれないですね。

設楽:
ラインの入り方ってなんですか?

和田:
今写真にあるような蛇行でカーブが入ってきてますが、設楽さんがカメラを構える角度によって、このカーブの入り方が変わってきますよね。だからもっと、この写真は「主題は高速道路である」ということを考えて、高速道路がもっと画面の対角線に入るように構成できると、もっといい写真になるかもしれませんね。

【ポイント】
今撮っている写真の主題は何かを考えて構図を決める

設楽:
主題が高速道路かーー!確かにそうですよね。全然意識してませんでした。

和田:
この構図は、もう少し暗くなって、車のヘッドライトが見えてくると、もっといい写真になるかもですね。設楽さんこのエリアで他に撮った写真も見せてください。

設楽:
次はこれです。これは上智大学の昔は「一号館」と言われていたレンガ造りの古い校舎です。昔ここで勉強してて、ノスタルジーにかられてたら、いい感じで木が写り込んだので撮ってみました。

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この写真で意識したのは、茶色の古びたレンガに、木の陰がいい感じに重なっていていい一枚だと思うのですが、気に入らないのは木の陰がぼやけて映っていて、この木の陰がもう少しキリッと映っていたら、もう少し締まった写真になると思うんですよね。

和田さんは、こういうレンガ造りのような古い建物を撮影する時に気をつけていることはありますか?

和田:
今、レンガ造りの建物って、少なくなってきてますよね。だから、この被写体を選んでいる時点で、それは写真映えするのでいいと思います。だから、そういう意味では、設楽さんがこの被写体を選んだのは悪くないと思うんですよね。午後の天気のいい日に、レンガに当たる木の陰が美しいという部分はこの写真で十分伝わっていますよ。

あとはそうですね、もう少し木の入り方を色々工夫してみるとか、左側の壁沿いに伸びているグリーンの古びた排水管の入り方を意識して撮ってみるのはいいですね。

でも、結構これで伝わっているので、この写真に関して言うと、逆に設楽さんに「何したいの?」って聞きたいです(笑)。

まあ、あえていうなら、ちょっと右に上がっているので、しっかり平面で捉えるために、もう少し右側を下げて、きちんと正面から撮ってみてもいいかもしれませんね。あとは排水管がもう少し内側にあってもいいかもしれません。

設楽:
今回、四ツ谷の回を通して和田さんに色々アドバイスもらって気づいたことなんですが、写真を撮るって、まずは最初に並行を取ることが大事で、そこから崩したいならどう崩すか?それを考えることが大切なんですね。

和田:
そうですね。そうしないと、見る側の視点が、こっちが見てほしい視点に着地しないんですよ。

例えば今ですと、僕が「見る側」で設楽さんが「自分の写真を見てほしい側」じゃないですか。つまり設楽さんには撮った写真で見てほしい部分、訴えたい部分がある。ラインが取れてないと、そこに着地しないんですよ。

ですから、構図の中の余計なものは排除したほうがいいし、整えるものは整えた方がいいんですよね。

前回の迎賓館のエリアで、設楽さんが撮った十字架の写真ありますよね、あの写真は十字架を見てほしいというのが伝わっている写真だったんですが、もしあれのラインがずれてたりしたら、多分そこの意図は伝わりづらくなってしまっていたと思います。

設楽:
見る側に、自分が見てほしいものは何かを考えて撮る、なんてことはあまり考えて撮影しなかったので、それは新鮮です。

ところで、このエリアではどんな写真を撮ったんですか?

和田:
そうですね。実はここのエリアは結構盛り上がって、色々写真を撮ったんですよ(笑)。まずこれは、さっきの設楽さんと同じ校舎を撮った一枚です。

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設楽:
わーー、俺のと全然ちがうなやっぱり(笑)。こういうのをイメージしてたんですよ。木の影と校舎に当たる光のコントラストが強い一枚が撮りたかったんです。やっぱりこういう方が立体感が圧倒的にすごいですよね。

和田:
これは、僕もこのレンガの建物見た時に、すごいなって思ったんです。それで意識したのは、このレンガの建物と、手前にある木の入り方を考えました。あとは2つ排水管が見えると思いますが、これを入れることを意識しましたね。

設楽:
こういう写真を撮る時に意識していることがあったら教えてください。

和田:
そうですねー、この写真の場合は、光と影が紡ぐ模様とか、左側にある木がどう構図に入ってくるか、そして正面できちんと捉えるか?、あとは上を残すか下を残すかを考えて撮影しました。

あと気に入っているのはこの写真です。

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これはホテルニューオータニなんですが、日本の建築物とは思えない感じが良くて撮った一枚です。なんて言ったらいいんだろう、なんかジョン・F・ケネディ暗殺みたいな雰囲気がありませんか?(笑)

設楽:
確かに、1960年、70年代のアメリカの地方都市にありそうな建物って感じが出てますよね。

和田:
あと、個人的に四ツ谷と言えば、赤い車体の丸ノ内線が印象的なので、あえてそこを狙って撮ったのがこの一枚です。

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これは、自分の中での「四ツ谷っぽさ」を出した一枚です。やっぱり四ツ谷というと、新宿とは違った落ち着きがあるんですよね。

あと赤が印象的な丸ノ内線です。銀ベースの丸ノ内線もありますが、僕はこの真っ赤の車両が来るまで待ってこれを撮りました。
個人的に好きなのが、地下鉄の四ツ谷駅って地上にあるから、暗いトンネルから地上に出て明るくなるあの瞬間が好きだし、四ツ谷といえば地下鉄なのに地上の駅、というのが印象的ですよね。

実は僕、上智大学近くのこの土手から四ツ谷を見たのが初めてで、すごくこの構図が新鮮だったんですよね。

設楽:
これ、奥にある高層ビルが新宿で、手前は木々がたくさん建っていたり、建物もちょっと上品な感じなデザインが多くて、しかも手前に丸ノ内線というのが、まさに四ツ谷を象徴する風景ですよね。

今回は、本当にありがとうございました!次回も楽しみにしています。

和田:
こちらこそー!楽しみにしています!


【編集後記】

毎回、撮影が終わったら、その街の名店で、静かに打ち上げをすることにしました。
今回はしんみち通りの奥にある支那そば屋「こうや」で一杯。

ここはラーメン屋なんですが、つまみが充実してて最高です。ワンタンうまかった。

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次作も企画中で、近々アップしますので、お楽しみに!

最後まで読んでいただきありがとうございました。感想など頂けると嬉しいです!


【プロフィール】

和田 剛/Tsuyoshi Wada
フォトグラファー。1974年生まれ。
人物撮影と旅行が好き。
写真をまなぶ人のオンラインフォトスクール「good! Studio」をオープン。
現在モニター募集中。
http://tsuyoshiwada.com

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設楽幸生/Sachio Shitara
編集者。1975年東京生まれ。週末カメラ片手に飲み歩くのが趣味な、写真の素人。Twitterやってます

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東京都八王子市高尾山の麓出身。東京在住の編集者&ライター。ホッピー/ホルモン/マティーニ/アナログレコード/読書/DJ