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カメラ片手に、プロの写真家と散歩した話〜四ツ谷編〜 第3話

この記事は何?

・写真を撮ることが好きな素人が、プロの写真家・和田剛さんと街を歩き、撮った写真を見ながらプロからアドバイスをもらい、カメラの腕を上げてしまおうという連載。

今回は第3回ですが、前作は以下から読めます。

1)地元民の憩いの場、外濠公園(赤いエリア)
2)学生と勤め人のオアシス、しんみち通り(青のエリア)
3)都会のど真ん中にある異空間、迎賓館赤坂離宮周辺(黄のエリア)
4)高台から四ツ谷を見渡せる、上智大学横のお堀(緑のエリア)

3)都会のど真ん中にある異空間、迎賓館赤坂離宮周辺で撮影

四谷での撮影第3回は、迎賓館赤坂離宮周辺での撮影でした。日本とは思えない異空間が広がる迎賓館エリア、周辺の雰囲気も西洋の感じがする建物や景色が点在するエリアです。
場所は下の地図の下部、黄色いエリアのあたりが迎賓館赤坂離宮周辺です。

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しんみち通りから新宿通りを渡り、裏道を通って迎賓館周辺まで歩きました。そこでの撮影模様を今回はお届けいたします。

設楽:
前回のしんみち通りは面白かったですね。今回は裏道をたどって、四谷の名所の一つ、迎賓館エリアで撮影です。このあたりは高い建物が少なくて、写真映えしそうな景色が多そうで楽しみでした。

しかも裏道もいい感じの建物がありまして、このエリアでは迎賓館に行く途中にあった幼稚園兼教会のような建物で、こんな写真を撮りました。

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和田:
いやーーー、設楽さんこの写真いいですね!!!

設楽:
え、本当ですか?嬉しいな(笑)。なんか迎賓館に行く途中にあったキリスト教系の幼稚園?保育園なんですよ。空が青かったので、手前の藪を入れて撮ったんです。十字架の白が空の青に映えてていいなーと思っています。

和田:
いやーこれはね、今のところ今回の撮影でベストショットですね。この写真は、何がいいかと言うと、四谷といえば、やっぱり「十字架」なんですよね。

設楽:
確かに。上智大学のイグナチオ教会を中心に、キリスト教的な文化が匂う街ですよね。

和田:
この写真がいいなと思うのは、「日本っぽさを感じない部分」ですね。この写真、冬空でなければ、フィリピンにある教会みたいな雰囲気を出せてますよね。手前の樹木の黒さと、十字架の白のコントラストがすごくいいですね。
これもしトリミングするとしたら、縦にして、左の十字架入れてみると、さらによくなるかもね。

設楽:
え、こういうことですか?

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和田:
そうそう、こういう感じ!これもうなんか新人の自称フォトグラファーみたいな写真になりますよね(笑)。

これはとても大切な話だからお伝えしますが、この写真が今の所一番秀逸なんですよね。その理由としてまず1つは、この視点を見つけた、という観察力ですね。それがとても素晴らしいです。
僕も同じ道通ったんだけど、「これどこだろう?」と思ってドキッとしてます(笑)。

あと、これって、キリスト教系の幼稚園か保育園ですよね。手前って多分中が見れないように隠すためのブッシュ(茂み)ですよね。この黒い部分と、奥の十字架とさらに奥の空、この奥行きを出している部分が素晴らしいです。この遠近感が出ていることが、この写真のいい点ですね。

そして3つ目が、キリスト教というのが四谷のモチーフで、それを捉えている点ですね。

あと4つ目は、この協会の十字架、並行が取れてないのが逆にエモーショナルですよね。前回の交差点の写真では並行をきっちり取ったほうがいい写真に見えましたけどね。今回のは平行じゃない部分が、情緒的に感じますよね。

【ポイント】
当たり前の風景に、当たり前じゃない構図があるかもしれない、と意識しながら歩いてみる。

設楽:
本当言われたこと全く意識してなくて、後から言われてあーそうなんだという感じです。でも言われた感覚とか技術を、忘れないように次に活かしたいと思います。
ところで、ここではどんな写真を撮ったんですか?

和田:
ここも色々な場面で撮ったんですけど、例えばこういうのを撮りました。

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設楽:
これ、迎賓館の手前の広場のカフェですよね。

和田:
これはいわゆる、自撮りの写真ですね。自撮りの撮影は大きく分けて2つあって、鏡の写り込みで自分を撮る方法と、影で撮る方法がありますよね。今回は後者の方法で撮ってみました。

この写真で伝えたかったことは、こんなにきれいなオープンカフェなのに、こういう状況なので誰もいない、そういう時代のトレンドを映そうとした一枚ですね。

【ポイント】
自分も構図に取り入れるとき、影も使える場合がある

設楽:
あー確かにそうですね。ここのオープンカフェって、本来ならば、こんな天気のいい土曜日だったら、もっと人がたくさんいるはずですよね。
こういう発想をして、それを技術で写真という表現に落とし込む、これがなかなか素人には難しいんですよね。

和田:
これは、第一回で公園のブランコで遊んでる女子高生いましたよね、あれとの対比のつもりで撮影した一枚です。

設楽さんはこの迎賓館のエリアでどういう写真を撮ったんですか?

設楽:
今回の四谷は、この企画の初回で全然自信がなくて、ダメな写真ばっかりだなって思ったんですが、これだけ唯一いい写真撮れたかも!って思ったのがこの一枚なんですよ。

当日空がすごく青くて、迎賓館の周辺が抜ける青空で、そこにそびえる枯れた木、みたいなコントラストが良かったから撮影したんです。

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和田:
おーー。この写真もいい写真ですね。手前に木がありますよね。その木と同じように、後ろにビルが建ってますよね。

設楽さんは、木と空を撮ろうとしたんですが、僕がこの写真をいいなって思ったのは、木とビルが林立している感じですね。
これ、狙って探してこの構図撮れたらすごいなって思うんだけど(笑)。

設楽:
いや、残念ながら狙ってないです(笑)。

和田:
でも、これは木とビルが整然と秩序だって立ち並んでいるようで、すごく良い構図だと思いますよ。これといい、前の十字架の写真といい、今回は設楽さんなかなかいいんじゃないですか?

設楽:
そうですか。ありがとうございます。

次回は四谷の最終回、上智大学の西側にある土手エリアを散策しながら写真を撮りたいと思います。

【プロフィール】

和田 剛/Tsuyoshi Wada
フォトグラファー。1974年生まれ。
人物撮影と旅行が好き。
写真をまなぶ人のオンラインフォトスクール「good! Studio」をオープン。
現在モニター募集中。
http://tsuyoshiwada.com

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設楽幸生/Sachio Shitara
編集者。1975年東京生まれ。週末カメラ片手に飲み歩くのが趣味な、写真の素人。Twitterやってます

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東京都八王子市高尾山の麓出身。東京在住の編集者&ライター。ホッピー/ホルモン/マティーニ/アナログレコード/読書/DJ