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EDI・DP 「インフレなのに大幅な値下げが起きたのはなぜか?~加熱式たばこの税制改正と価格競争~(安田洋祐)」

こんにちは!エコノミクスデザインです。

エコノミクスデザインは、アカデミアサイド3名、ビジネスサイド1名の計4名が2020年に「経済学をビジネスに活用すること」を目的に共同創業した会社です。

エコノミクスデザインは、主に2つの事業を行なっております。

  1. エデュケーション事業

    1. ビジネスに活用できる経済学を中心とするビジネスマン向けオンラインスクール「The Night School」の運営

    2. DX・AI等にまつわる経済学分野のリカレント教育関連の企業研修等

  2. コンサルティング事業

    1. エコノミクス・アドバイザリー・サービス:課題解決に関連する学知の提供・データ作成及びそれに関連するサービス

    2. エコノミクス・デベロップメント・サービス:学知に基づく仕組み(アルゴリズム・関数・指標等)の設計・開発及び提供

この記事では、エコノミクスデザインでディスカッションペーパーを公開することになった運びとその第一弾である「インフレなのに大幅な値下げが起きたのはなぜか?~加熱式たばこの税制改正と価格競争~」の一部を公開します。
全文の閲覧とダウンロードはHPから。



ディスカッションペーパー公開の目的

エコノミクスデザインでは、以下3つを目的に、ディスカッションペーパーを発信いたします。

複雑な現代社会への課題提言:
EDIは現代社会の複雑な経済・ビジネス課題に対する提言を行い、持続可能な未来の構築に向けた議論を促進します。

研究者の新しい視点:
EDIの研究者が社会課題を研究者視点から提起し、ビジネスパーソンや社会との共同議論により新たな解決策を模索します。

経済成長への貢献:
社会課題・ビジネス課題の解決を通じて、日本経済の成長に一助となる解決策の立案を目指します。


Vol.1 インフレなのに大幅な値下げが起きたのはなぜか?~加熱式たばこの税制改正と価格競争~(2023年11月21日公開)

安田洋祐(大阪大学大学院経済学研究科 教授・エコノミクスデザイン共同創業者プリンシパル)

【概要】

日本のたばこ市場は急速に変化している。たばこ事業者は、旧来の紙巻きたばこ部門と、新しい加熱式たばこ製品部門で互いに競争している。最近、加熱式たばこ市場ではこれまで見られなかった激しい価格競争が起こり始めた。たばこ市場全体の歴史から見ても稀なこの現象がなぜこのタイミングで起きたのだろうか。本稿は、主な要因の一つとして、昨年度まで段階的に実施された加熱式たばこの税制改正を指摘する。たばこ税率およびその算出方法は、競争に大きな影響を与える可能性がある。租税方式の変更がたばこ事業者のインセンティブをどのように変えたのか、価格競争が経済厚生や税収にどういった影響を及ぼすのかについて解説する。

はじめに:突然の値下げ

この数年、世界経済を物価の上昇(インフレーション)が襲っている。日本経済にも昨年頃から本格的なインフレの兆候が現れ、直近の消費者物価の上昇率はすでに3%を越えているi。しかし、財・サービスの値段がどんどん高くなっている中、意外にも大幅な値下げを伴う価格競争が起こりつつある商品がある。それは加熱式たばこだ。

はじめに値下げに踏み切ったのはJT(日本たばこ産業)だ。同社の加熱式たばこ「プルーム・エックス」向けの「メビウス」シリーズを2023年3月20日にリニューアルして、新たに誕生した8銘柄の価格をそれまでの1箱20本入り570円から500円へと大幅に改定した。次に動いたのはBAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン)だ。8月1日には同社の加熱式たばこ「グロー・ハイパー」向けの「ケント」シリーズを500円から450円に、同時期に「ネオ」「クール」シリーズも540円から500円に改定した。10月1日には、同じく「グロー・ハイパー」向けの「ラッキー・ストライク」シリーズが450円から400円に改定された。どれも小売価格を10%前後引き下げる大幅な値下げである。

現在、加熱式たばこの国内市場は紙巻きたばこと同様に、JT、BAT、PM(フィリップ・モリス・ジャパン)の3社による寡占市場となっている。最もシェアが低いJTがまず動き、次に2番目のシェアを持つBATが反応した形だ。業界最大手で、加熱式たばこ「アイコス」を通じて加熱式たばこ市場の60~70%シェアを持つPMは現時点ではまだ値下げには動いていないものの、すでに3社のうち2社を巻き込んだ価格競争が起きているのだ。仮にPMも値下げに踏み切れば、業界内の全3社を巻き込んだ、本格的な価格競争へと突入することになる。

もちろん、インフレはあくまでも平均的な物価の上昇という経済状況を指している。すべての商品が値上げされるわけではないので、例外的に値下げされるものがあっても不思議ではないだろう。しかし、価格競争がニッチな市場で起きているのではなく、売上規模が約5兆円の(売上本数にすると約1400億本)、たばこ市場という巨大市場で起きているという点は注目に値する。以下では、価格競争の原因とそれがもたらす影響について考察していきたい。


続き

こちらでは一部を公開しましたが、全文の閲覧とダウンロードは以下HPから可能です。
ご興味あれば、ぜひご覧ください。

https://econ.news/papers/

エコノミクスデザインでは今後、社会貢献を目的にディスカッションペーパーを発信して参ります。


終わりに

エコノミクスデザインでは、様々なメンバーが自身の担当領域に関する案件に従事し、企業の課題に対して、経済学を用いたコンサルティングを行なっております。
現在、多くの研究者がエコノミクスデザインに参画し、様々な分野の研究者が案件に従事しています。

また、今では、上場企業やグローバル企業を含む、数十社以上の企業にコンサルティングを提供するまでに成長しました。

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