新型コロナの後遺症で2度死にかけたオタクの話②

前回からのつづき

後遺症外来での判定

何ともいたたまれない気持ちで、しかし確実にホッとしながら診察室に入った。
あの女性も間もなく呼ばれているだろう。そう思いたかった。

この総合病院の後遺症外来は、呼吸器科の先生が受付しているとのことで、ヒアリングはとても丁寧だった。

先生いわく、

「新型コロナにかかると、微熱とか咳とかの後遺症は2週間から1ヶ月くらい続く人が多いんだよね。」
「1ヶ月もっすか…。」
「今の症状は?」
午後になると上がる微熱ブレインフォグ乾いた咳、あと食欲不振ですね。とにかくボーっとして仕事に差し障るのが本当に困ってます。」
「対処療法しかないのが現状だけど、実は陰性になっても炎症やウイルスが残っているケースがあって、肺炎が未だに残り続けてるのが怖い。心電図とレントゲン、血液検査とMRIは撮らせてください。」
「承知しました。とにかく辛いし、もう先生がベストと思う検査全部やってください。」
「かしこまり。」

で、採血とか心電図とかMRIとかをすげえぐるぐる回ったが、この病院のスタッフさんは、忙しいけどすごく感じもいいし余裕もある。

血液を5本抜かれてる間、沈黙は流石にツラいなと思っていたら採血担当の女性スタッフさんがすごい気さくに世間話や何かをしてきてくれて。
ベテランっぽい女性の方で、実際に針を刺されても全く痛くなかったので、率直に、

「初めてですよ…私にこんなに痛くない採血をしたのは…。」

と言ったら、

「あら…うふふっ。日記にそう書いといてね!」

と言われた。

よく考えたら私のセリフは完全にフリーザ様のそれだったし、一瞬、エッ?!このクラスのベテランになると血液を見ただけでツイ廃だってバレるの?!と思って超ヒヤッとしたけどそんな訳あるか。

一旦全部検査が終わったところで再度診察。

「うん、幸い、肺に影はない。肺炎は残ってないよ。よかったね!後はお薬出しておくから、7日きちんと飲み切って、一週間後に詳しい検査結果を聞きに来てね。」
「あい。」

というわけで、そのとき処方された薬がこちら。

  • カロナール錠200mg

  • アセトアミノフェン錠200mg

  • カルボシステイン錠500mg

  • アドエア125エアゾール

  • うがい薬

そっか、炎症が長引いてるんだな、と思った。
そして初めて使った吸入、確かにすごく咳が楽になる。
うがい薬が出ているのは、咳が出ているからだろうと思っていたら。

薬局にて:

薬剤師「吸入使ったことあります?これ、使用後にうがいしないと口の中にカビが生えることがありますので気をつけてくださいね。それでうがい薬が出てるんですよね。」
私「なにそれこっわ!!!」

知らなかった…。薬の説明はちゃんと聞きましょうといういい教訓になった。
余談だが、一週間後に開示された血液検査の結果・MRIの精査結果についても、所見は『異常なし』だった。
ただ、「コロナとは関係ないけど、子宮筋腫の疑いっていう所見が書かれてるね。これ知ってた?」と聞かれ、MRI精査ってすげえなって思った。伊達に高額じゃない。そんなところまで完全に分析してくれるのか…。
(ちなみに小さな子宮筋腫は、元々かかりつけの婦人科で「ある」と言われているので、映るべくして映っているものだった。すごい。)

9月から10月にかけて

残り続ける不具合

今までのが、8月後半までのお話。

確かに、咳と微熱は薬でとてもよくなった。
ブレインフォグも、時間の経過と共に全く気にならなくなっていき、一週間たたないうちに咳も消えていったが、医師の指示は絶対だというポリシーがあるので貰った薬はきっちりと飲み切る。

だが、どうしても消えない不具合があった。
弊社はテレワークと出勤の半々を取り入れているのだが、9月上旬に出社した時、久々に顔を合わせた同僚に声を掛けられる。

「新しいラーメン屋できたんだけど、昼いかない?」
「うーん。なんか、コロナになってから胃腸の具合が悪くてさ…。こってりした物とか、あと量も食べられなくなってんのよね…。」
「そうなんだ…。後遺症ある人はあるっていうもんね。」
「ついでに食べると速攻で腹を下して、外食すると帰社する前に人間の尊厳を失いかねないけど、そんな自分でも一緒に行っていい?」
「コンビニ飯か社食のうどんでも食ってろタコ。」

自慢じゃないが、そこそこのことでは胃腸など一切壊さない自分が、どういう訳か、長期にわたる胃腸の不具合に延々悩まされていた。
とにかく、量を食べられない。そして、食べたらわりかし速攻で腹を下す。
それでも、自分はポジティブにこう考えた。

「なぁに、元々際限なく食い過ぎるタイプのデブなんだから、かえって食う量が減っていい。勝手に身体がカロリー摂取を抑えてくれるなら、今のうちに胃袋を縮めとけばいいんだ。そのうち治るだろガーハーハー!」

勘のいい方はもうお気づきになっただろう。
これが、完璧なフラグというものである。
そして、後々割と危ない感じで回収されることになるフラグだったのだ。

そして一か月間、昼は素うどんもしくはかけそば、コンビニサラダもしくは果物とプロテインドリンク、夜は、
「なんかあんまり食欲ないし…ごはんとおかず、半分旦那にあげるよ。」
「そっかー。旦那太るなー。」
という、低栄養状態を続けてしまった。

スポーツジムに通う友人達との打ち上げ食事会でも、

「いっやーコロナ以来あんまり食が進まねえんだよな、あっさりしたもんが食いやすくていいは!あ、ハイボールもう一杯!!」
「うんまあ、確かに俺もコロナ後2カ月は割と不調出てたからな…っておいお前、酒は飲むんかい!」

という感じだったので、ほぼほぼ無自覚だったといっても過言ではない。
ただ、日増しに、胃の腑の辺りで重たい不快感が強くなっていくのだけは感じていた。
それでも病院に行かなかったのは、『今までに胃を壊したことがなく、かかりつけ医もなければ、通院するタイミングや加減が解らなかった』という理由である。
どうせ胃薬が出て終わりなら、市販のキャベジンでも飲んでおこうかな、という気持ちだった。

かかったこともないのに、先入観で消化器内科の医師の診断を決めつけるのダメ絶対!!

つづく。


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