新型コロナの後遺症で2度死にかけたオタクの話③

前回からのつづき

思わぬ事故からの急展開

怪我での救急搬送

9月一杯、そして10月に入っても、私の食欲は回復しないままだった。
たまに気紛れにキャベジンを飲んでみたりしたが、重たいようなみぞおちの不快感が一向に消えない。
それでもまだ、病院に行こうという発想はなかった。
何故ならそれは私が筋肉先行タイプの食欲旺盛型デブだから。
美意識の高い友人と話をして、

「やっぱりジム行ってても飯食っちゃうとダメだわ。ただのプロレスラーになるんだわ。」
「やっぱそれよな。カロリー制限しかないのか…。」
「何度も言うが、お前はまず酒をやめたら痩せると思うけどな?」
「誇り高き酒クズとしてそれはできねえ(キリッ)」
「このダメ人間!!!!」

という会話に度々なるので、腹が減らないのならいっそプロテインや完全栄養食だけ取ってギリギリアンダーカロリーにならなければ痩せて一石二鳥なのではないか、と、ポジティブをこじらせていたのである。

さて、そんな不具合を抱えたまま、時期はコロナ禍もやや落ち着いた2022年10月中旬。
ちょっとだけ痩せた私は、家族や友人と共に、週に一回のスポーツジムに足を運んだ。
そして、そこで無理に身体を動かしたせいで、足首を捻るという事故を起こしてしまう。

生涯、突き指はおろか捻挫というものを体験したことがない。
自分がどうなっているのかもわからないが、とにかく足が痛くて独力では立てず、土日ということもありタクシーで搬送できる病院がわからないので、「救急車をおすすめします、こちらで呼びますので乗って下さい」というジムインストラクターに従って、素直に救急車を呼んでもらった。

申し訳ない半分、初めて救急車に乗るのでとてもドキドキしていた。

捻挫、骨折、突き指。そんなものは、誰しも一生に一回は経験しておかしくないレベルの怪我だ。
そしてまさかこの怪我が一回目のリアル死にかけ案件に繋がるとは、誰も予測できないだろう。この時点で、体の免疫やら抗体やらが余程おかしかったのが、まさかの、捻挫を契機に明らかになっていくことになったのだ。

逆に言うと、ここで足を挫いていなければ、この後に繋がる不調の『原因』に気づかぬままであったとも思う。

さて、本題からは逸れるが、救急搬送の時に役立った物事があるので、ここにまとめておこうと思う。何かのお役に立てば幸い。

救急搬送時に役に立ったもの

①お薬手帳
まず日頃何かあった時の為にお薬手帳を必ず携帯していたのが役に立った。
婦人科と精神科(不眠症外来)の処方薬で、血栓症リスクのある薬を飲んでいるということもあり、万一しびれを感じたり倒れた時に必要になるかもしれない…という備えをしていたが、結論的にこれが一番効率が良かった。
生年月日・かかりつけ医・お薬手帳とは別に服用している薬・食品アレルギー等全部記入しているので、仮に自分が喋れなくなった時も、家族が「これを見てください」と手渡せばそれで済む。救急隊員の方も「お薬手帳、お預かりしてこのまま病院の先生に手渡しますね」というくらい、ヒアリングの手間は綺麗に省けた。
(お薬手帳には百均で買ったお薬手帳カバーをかけて診察券などもまとめてあるが、カバーを掛けておくと携帯も簡単で便利。)

②ワクチン接種履歴(紙)
救急車の中では、コロナの罹患やワクチン接種状況・接種日について事細かに聞かれるので、お薬手帳のカバーに挟んでいた接種履歴を渡して「これです」というだけで接種日時を正確に伝えることができた。
自分は実際に一度陽性になっているので、感染事実は

「8月●日 新型コロナ陽性」「8月×日 自宅待機解除」

という付箋を貼り付けておいたが、これも役に立ったようである。

ちなみに、今後マイナンバーカードに一本化されるというお薬手帳だが、何とデータの反映が月に一回しか行われないとのこと。
健康保険の兼ね合いでそのタイミングだとのことだが、持病があり、直近で服薬を始めた(or変えた)薬がある場合は、やはり紙ベースの服薬ログを持ち歩くのが一番安全ではないだろうか。

③家族との情報共有
本当に些細なことなのだが、普段保険証をどこに持っているのかを旦那に伝えておくことで、付添人が私のカバンから保険証を出さねばならないシーンで「保険証どこ!?」がなくて済んだ。
薬や食べ物のアレルギーや持病、かかりつけ医などは、処置を受ける自分だけではなく救急隊から旦那氏へのヒアリングも入っていたので、少なくとも家族が何を飲んでいるのかくらいは把握しておくべきだな…としみじみ思った。

救急病院での応急処置

コロナ禍の谷だったことも幸いしてか、搬送先はすぐに決まった。

どうでもいいけど、東京消防庁で採用されているオレンジの毛布がめちゃくちゃ保温性が高くてすごくあったかくて重さも適度にあり、冷え性の自分はものすごく感銘を受けて、是非とも素材を知りたかったのだが、流石に搬送されている当本人の自分がそれを隊員に質問する度胸はない。
故に空気を読むことにしたが、ご存知の方がいらっしゃったら是非教えて頂きたいと思う。ウールだろうか。カネカロンだろうか。とにかくあったかい。ぶっちゃけ欲しい。

救急病院では、医師と看護師が防菌フル装備で出迎えてくれた。
ここでもコロナ関係の質問は繰り返されるが、医療現場はそれくらい慎重にならないといけない状況なのだろう。医療従事者の方々には全く頭の下がる思いでレントゲンを撮ってもらい、骨に異常がないということで、湿布を貼って固定して明日に地元の病院に行ってください、ということで引継ぎのレントゲンCD-ROMと書類、ロキソニンテープ100mgを頂く。

足首を固定する際。

医師「このまま固定しちゃいますけど、構いませんか?」
私「なんかもうわからないんで、こう、いい感じにお願いします!」
医師&看護師「「ブフォ!!!!!!!!!」」

いや、だって、素人には固定の感覚とかどうすればいいとか全然わからないし…。
お医者さんの判断でやって頂くのが最善だと思って…。

(ちなみに、この時はまだ、処置を受ける一時間で自分以外の急患はいない状態だった。救急搬送困難だったらどうしよう…と思っていたけれども、時期的なものだったのかもしれない。)

かかりつけ整形外科へ

翌朝、会社に事情を説明し、朝一番で地元の整形外科に駆け込んだ。
勿論普通の家に松葉づえなどという装備はないので、旦那氏の肩を借りながら、数百メートルの距離をタクシーで…という状況。

1年ぶりくらいに診察を受ける先生は、とにかく元気のいい男性の整形外科医の先生で、救急病院からの引継ぎを確認しながらレントゲンの撮り直し・ギプスの作成・松葉づえの使い方のレクチャーを受け、丹念に処置して貰った。

「あの…これって、再来週くらいには治ります?」
「何言ってんだよ、こんなに腫れてりゃ昨日ずいぶん痛かったろう。靱帯損傷、全治2ヵ月。」
「そんなにひどかったんですか?!?!??!?!」
「そんなに軽いと思ってたの?!?!?!」

確かに、早朝痛みで眠れずに起き出してしまう程度には痛かったが、前日、ツイッターで『捻挫って痛いですよね、お大事に』と聞いていたので、まあ捻挫とはこんなもんなのかな!ガハハ!としか思っていなかったのだ。
甘かった。

予想外の重傷で、しばらくスポーツもできないし、通勤も外出もままならない。それどころか家での生活さえ不便すぎる。
めちゃくちゃ凹んでいるところに持ってきて、先生が一言。

「君は…確か、前回の受診は、『家で、床に落ちていたチラシを踏んで滑って転んだはずみに、素足で酒瓶にフルキックして歩けなくなった』が原因だね…。」
「先生やめて!!!!!!!!そのカルテ消して!!!!!!!」

そして、その『酒瓶フルキック事件』の時にも使用したということで、

  • ロキソニンテープ100mg

  • ロキソニン錠

  • ムコスタ100mg

を処方してもらって帰宅した。
余談となるが、酒瓶フルキック事件の時の先生のコメントは、

「お酒は無事だったの?それだけはよかったね…。」

だったのをよく覚えている。

つづく


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