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アリペイとWechat Payは導入すべき?店側の導入メリットと中国決済事情

2021年時点では新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、一時的に訪日観光客が激減していますが、収束後には再度インバウンド招致が期待されます。コロナ後を見据えて、中国人観光客の集客・獲得に向けて準備を進めている企業も多いでしょう。また市場拡大している越境EC(国際的なオンライン取引)への進出を検討しているECサイト・ネットショップもあるかと思います。

当記事では中国決済のアリペイとWeChat Payの基本概要と店側のメリットをまとめました。


アリペイとWechat Payの概要

現在の中国では下記2つの決済サービスが2大巨頭です。

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Alipay(アリペイ)とは
・中国の巨大IT企業「アリババグループ」が提供する決済サービス
・店頭およびオンラインで利用可能
・QRコード決済
WeChat Pay(ウィーチャットペイ)とは
・中国を拠点とするメッセンジャーアプリ「WeChat」が提供する決済サービス
・店頭およびオンラインで利用可能
・QRコード決済

上記2つの決済サービスは日本の店舗でも導入が可能です。導入にかかる店側の負担はほとんどありません。

▼ Alipay(アリペイ)の導入コスト
導入費用:無料
決済手数料:1.5~3.5%
QRコード読み取り端末:スマートフォン or タブレットに専用アプリをインストールするだけ
▼ WeChat Pay(ウィーチャットペイ)の導入コスト
導入費用:無料
決済手数料:1.5~3.5%
QRコード読み取り端末:スマートフォン or タブレットに専用アプリをインストールするだけ

※加盟店手数料、決済手数料、入金サイクルは決済代行会社によって異なります。

クレジットカード決済の平均的な手数料3%台~であるのに対し(※1)、アリペイと WeChat Payは簡単かつお得に決済サービスを利用できます。決済代行会社はアリペイとWeChat Payの両方に対応しているケースが多く、導入ハードルは低くなっています。※1 決済代行会社やご契約内容によって異なります。


なぜここまで浸透した?「アリペイ」と「WeChat Pay」の背景

中国のキャッシュレス決済化を後押しした、「アリペイ」と「WeChat Pay」。どちらも中国では知らない人を探すほうが難しいくらい、圧倒的な支持を集めています。この2つのサービス、実は決済サービス提供前から潜在ユーザーが存在していました。


■Alipay(アリペイ)誕生の背景

アリババグループ傘下のECサイト「タオバオ(淘宝)」の決済機能として登場しました。大手ショッピングサイトから誕生したアリペイは、ECサイト(ネットショップ)やオンライン決済を得意としています。

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タオバオは、2003年のサービス開始からなんと約2年で「eBay(イーベイ)」を抜き、中国最大のECサイトに上り詰めました。それまでは2002年に中国進出したeBayが、世界最大のマーケットプレイスとして君臨していたが、タオバオに対抗できず2006年に撤退。タオバオが急成長した一つの要因として決済インフラの整備があります。

2000年代はじめの中国では、銀行口座・クレジットカードはごく一部の人しか持っておらず、クレジットカード決済は一般的ではなかった。また銀行振込システムも十分には機能していなかった。このため初期のタオバオは、オンラインで知り合った後、対面で小規模取引を行うという、非常に非効率かつコストがかかる手段をとっていました。

当時の取引例
1)売り手と買い手がタオバオを通じてオンラインで知り合う
2)同市内で直接、売り手と買い手が会う
3)品物を確認
4)代金と交換

そこで導入されたのが、アリペイの前身エスクロー。

タオバオ:エスクローの仕組み
1)買い手がタオバオに入金
2)売り手は入金を確認して商品を発送
3)買い手が無事に受け取りタオバオに通知すると
4)タオバオから売り手に入金される

受け取った商品が不良品だった場合は、買い手に代金が戻されるため、買い手は安心して取引ができます。また売り手にとっても「代金回収しそびれる」懸念がないため、双方にとってメリットがある仕組みになります。

そしてこの仕組みを応用して、2004年12月、「支付宝(アリペイ)」が誕生した。タオバオに出店している店はアリペイを無料で使うことができたため、急速に広まっていきました。


■WeChat Pay(ウィーチャットペイ)誕生の背景

テンセントが運営するメッセンジャーアプリ、「WeChat(微信)」の決済機能として2013年に登場しました。WeChatは月間アクティブユーザー10億人を超え、中国版LINEとも言われています。コミュニケーションアプリから誕生した背景により、食事や交通、割り勘といった、日常生活に密接したシーンを得意としています。

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WeChat Payは、ユーザーが銀行口座を登録するだけで簡単に利用開始できる。手軽さから、すでに中国では100万店舗、日本でも1万店舗が導入しています。WeChat Payはアリペイより約10年遅れで登場したにも関わらず、中国内のシェアは2位を誇っています。

中国では高額紙幣が存在しないため(2019年時点で日本円で約1,700円)大量に現金を持ち歩くことが難しいこともあり、アリペイとWeChat Payは、急速に浸透していきました。


■中国決済を導入する店側のメリット2つ

中国ではキャッシュレス決済の中でも、モバイル決済が86%を占めており(※2)、10,000円以上のお買い物でもスマホ決済を利用している人が多いです。今回は店側の導入メリットをまとめました。
※2参照:【現金とキャッシュレス決済に関する調査】日本・中国・韓国のキャッシュレスの実態を比較!日本はやっぱり現金派!?現金使用額が他国と比較して1位に

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・メリット1 支払いがスピーディー

アリペイやWeChat Payを導入することで、店頭でもスムーズに決済を完了できます。
現金やりとりの必要がないため、説明する手間や言語障壁も軽減されます。2021年時点では新型コロナウイルスの感染拡大により、一時的に観光客が激減していますが、収束後には再度、訪日中国人観光客の招致が期待されます。この機会に準備しておくのも良いでしょう。


・メリット2 新たな顧客獲得、販売促進

販売機会の増加や客単価向上などの販売促進につながる可能性が高くなります。たとえば中国人観光客が手持ちの現金が少ないとします。店舗場合、追加注文や商品の購入を諦めてしまうかもしれません。最悪の場合は入店を諦め、アリペイやWeChat Payが利用可能な近隣店舗に流れてしまいます。アリペイやWeChat Payの導入により、販売機会の損失を防ぐことができます。

またECサイト・オンラインショップの場合は、越境ECへの進出が可能となり、新たな販路拡大・海外の新規ユーザーを取り込むことができます。


■アリペイ・WeChat Payを導入するには?

アリペイやWeChat Payを導入するには、決済代行会社や認定代理店への申し込みが必要です。決済代行会社によっては、アリペイやWeChat Payの他にも海外決済を扱っている場合があります。海外ユーザーのニーズが高い複数の決済手段をまとめて契約できるため、一度相談してみると良いでしょう。


導入時の注意点

「便利さ」「手軽さ」から評価が高いモバイル決済・QRコード決済ですが、安全性については懸念されています。日本よりキャッシュレス化が進む中国では、第三者が個人情報を盗んで、本人になりすまして高額決済を行う被害が報告されました。また店頭のバーコードの上に別のバーコードを貼り付け、売上を横取りする被害も注目を集めました。
中国でモバイル決済サービスが本格稼働したのは2013年、日本に至っては2019年とつい最近のことです。セキュリティ対策は、せっかく拡大した売上の損害を防ぎ、安全な事業運営へつなげることができます。

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