インタフェースデザインの心理学 「人はどう見るのか」
「インタフェースデザインの心理学」で紹介されている100の方針を実例とともにまとめました。この記事では1章の「人はどう見るのか」に関連する12方針を見ていきます。
人はどう見るのか
脳の約半分は目から入ってくる情報の処理を担当している。
私たちは目が物理的に受理する情報をそのまま見ているわけではなく、目が受理したイメージが脳に伝達され、脳が変更や解釈を加える。
001 目が受け取る情報と脳が私たちに伝える情報は微妙に違う
脳は目に入るものすべてに絶えず「解釈」を与えている。
脳は外界を素早く処理するために「近道」を創り出す。
002 対象の「あらまし」をつかむのは中心視野より周辺視野の役目
対象物の詳細な認識では主として中心視野を使うが、場面全体のあらましを つかむには周辺視野を使う。
画面の特定の部分に注目してもらいたいときには、点滅するものや動画を周辺視野に 置かないようにする。通知はそれを逆手に取り注目を集めている。
003 人はパターン認識で物を識別する
たとえ「パターン」と呼べるほどのものがない場合でも、目と脳はパターンを見つけたがる。グループ化 や空白によってパターンを作る。
004 顔認識の専門の脳領域がある
視覚野(脳部位)は非常に広く、脳全体に占める割合が大きいのですが、この視覚野以外の場所に、顔の認識だけを専門に行っている領域がある。
人は顔を素早く認識し反応する。したがって、注意を引きたければ顔を使うとよい。人が見ているところを思わず見る傾向もある。
005 単純な視覚的特徴のみを処理する 脳の部分がある
注目してもらいたければ、ひとつの要素だけを変えるの がベストということになります。たとえば色だけを、あるいは形だけを変えればよい。
006 人は過去の経験と 予想に基づいて画面を見る
左から右に読む言語なら、ユーザーは画面を左から右に見る傾向がある。
とはいえ、いちばん左上の角から見始める人はいない。ロゴ や余白、ナビゲーションバーなど、今関心のある事柄とは関係の薄いものがあることを 知っているため、端は避けて画面の中のほうを見る傾向がある。
必要な情報を得るのに視線を行ったり来たりさせなければならないような配置は避ける。
007 人は手がかりを探す
部屋のドアを開ける、あるいはウェブサイトで本を注文するといった作業をしようとしているとき、私たちはほとんど無意識に周囲を見回し、役立つモノを探す。
したがって、そうした作業を行う環境をデザインする人は、その環境にあるモノが見やすく、 見つけやすいものであり、作業のための明確な手がかりをもつよう、配慮しなければならない。
008 人は視野の中の変化を見逃すことがある
人間はあることに集中していると、想定外の変化が起きた場合、それをあっさり見逃してしまうことがある。
あるものが画面上にあるからといって、それを必ず見てもらえるとはかぎらない。また、見たからといってそのものに注意を払ったとも言い切れない。
009 人は近くにあるものを同じグループだと思う
デザインの4原則「近接」にあたる。
線や囲みを使って各要素の分離やグループ化をする前に、まずは要素同士の間隔を調整してみる。それで十分な場合は、ページ上の視覚的な「ノイズ」を増やさずに済む。
010 赤と青を一緒に使うと 目への刺激が強すぎる
線や文字の色を変えて表示したり印刷したりすると、色によっては線や文字までの距離(視距離)が違っているように見える場合があり、この効果は「色立体視(chromostereopsis)」と呼ばれる。
こうした色の組み合わせを使うと読みにくく目が疲れるため、避ける。
011 男性の 9%、女性の 0.5% が 色覚異常
色に特定の意味をもたせようとする場合、複数の体系を用意すると親切。
たとえば「色」のほかに「線の太さ」という体系も併用すれば、色覚異常の人でも「線の太さ」で判断できる。
もうひとつの方法は、さまざまなタイプの色覚異常に対応できる色の組み合わせを用いる。シミュレーターサイトやプラグインを使って確認する。
012 文化によって色の意味が変わる
色には意味があり、何かを連想させる効果もある。たとえば赤は「赤字」や 経営難、時には危険や「止まれ」を意味する。緑は「お金」(アメリカの場合)や、「進め」を表す。このように色には意味があるので、慎重に選ぶ必要がある。
次回
ご一読ありがとうございました。
次は3章「人はどう記憶するのか」についてまとめます。
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