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神経伝達物質とは!

そもそも神経伝達するための物質とはどういうものなのでしょうか?
どこから出て、どこへ行くのか。
なぜ身体から出るのか。
名前だけは聞いたことがあっても、実際にどうなってるのか知りたくはありませんか?
ではここから長い長い神経の旅へ出ていきましょう。

【どのように伝達していくのか?】

前項のとおり、神経細胞はニューロンとよばれ、細胞体から出ている樹状突起と、一本の軸索を持っています。
樹状突起は情報の受け手、細胞体は情報のまとめ役、軸索は情報の出し手。

ニューロン

▶︎一連の電気信号を発するまでの流れとして

軸索が情報を出す→神経細胞及び神経線維に電気が走る→樹状突起に行きつく→神経終末
→神経終末から隙間(シナプス/化学シナプス)を通り→神経終末内の小さな袋(シナプス小胞)から「物質」が放たれる→すると次の細胞で再び電気信号が発生する
生理学では軸索の中を電気信号が走ることを伝導。
シナプスで物質を介して次の神経細胞に情報を伝えることを伝達と呼んでいる。
「物質」=正確にいうと神経伝達物質。


補足:情報というのは一本の神経で伝えられることもあれば、数本の神経を経由して伝えられることもある。
というのが前回までの情報でした。

では神経伝達物質というのはどのように発見されたのでしょうか?
言及していきたいと思います。

【神経伝達物質の発見】

オットー・レヴィ

▶︎運動機能に欠かすことのできない「アセチルコリン」を発見した人物とは?
1921年にオーストリアのオットー・レヴィによって発見されます。
なんと最初の神経伝達物質は、今季のnoteのテーマである自律神経の中で見つかっています。
ではどのような実験をしたのでしょうか。
それでは実験の内容を見ていきましょう。
まずカエルの心臓AとBがあります。
Aの迷走神経を電気で刺激すると心拍が抑えられる。
そしてAの心臓を浸した液体を、別の心臓Bに流入させると、Bの心拍も抑えられます。
どういうこと?と疑問に思った方も少なくないのはないでしょうか。
しかしこれは単純な話で、Aから出た液体をBに流用したというだけの話なのです。
では話を戻しますが、Bでは迷走神経を電気刺激していないのにどうして抑えられたのでしょうか。
Aの迷走神経を刺激した際に、何らかの「物質」が溶液内に放出されたという可能性を見たレヴィは、その「物質」がBにも影響を及ぼしたと考えました。
レヴィが見つけた物質は、のちに「アセチルコリン」であったことがわかったのです。

レヴィの実験



▶︎アセチルコリンの効果・・・
心臓でその働きを弱め、心拍数を下げる。脳では血流を増やします。
脳を活性化させる働き。
アセチルコリンが足りないと認知症の促進。
アセチルコリンとは、運動機能にとって最も重要な神経伝達物質であるということが言えます。

▶︎「ノルドアドレナリン」という神経伝達物質を発見した人物


ウルフ・フォン・オイラー

ーウルフ・フォン・オイラー
ノルドアドレナリンという二番目の神経伝達物質を発見した人物で1946年に発見がされています。
ノルドアドレナリンは、交感神経で発見。
だから2番目に発見された神経伝達物質も自律神経で見つけられたわけなのです。

【ノルドアドレナリン発見者の日本人】


上中敬三


ー高峰譲吉と上中敬三ー
1946年に発見されたノルドアドレナリンより半世紀以上ほど前、1901年。
彼らは牛の副腎からアドレナリンという物質を摘出し、結晶化していたのです。
アドレナリンは現在の副腎髄質ホルモンのことだが、発見された当時はホルモンという言葉でさえありませんでした。
しかしアドレナリンの構造や機能がノルドアドレナリンと似ていたため、オイラーがアドレナリンを発見するまでは、交感神経の伝達物質はアドレナリンと予測されていたため、最初の発見者はオイラーとなりました。
しかし日本人というのは、いつも勤勉であると驚かされるばかりです。

【ノルドアドレナリンの予備知識】
次の説明に入る前に、予備知識としてノルドアドレナリンについての補足になります。
ノルドアドレナリンはモノアミンと呼ばれる低分子の構造体です。
アセチルコリンとモノアミンとも異なる3種類目の伝達物質と四種類目の神経物質があることを証明したのも日本人で東京医科歯科大学名誉教授の大塚正徳氏です。

▶︎3種目の神経伝達物質

GABA(γ-アミノ酸酪酸)・・・これはアミノ酸の仲間で、1966年に神経伝達物質であることが承認されました。
今ではチョコレートの宣伝などにより聞く機会も多いのでよく、ドラッグストアなどで目にする機会も多いかと思います。
実際には、GABAというものは脳や脊髄の抑制性の神経伝達物質として多く知られています。
そんなGABAを大塚氏はロブスター(GABAが多く含まれる)の神経節から摘出し、サブスタンスPというペプチドが神経伝達物質として働くことを認めました。

▶︎サブスタンスPとは!

サブスタンスPはアミノ酸が11個もつながった構造物です。つまりは高分子化合物になります。
アセチルコリン、ノルドアドレナリンなどはいずれも低分子化合物に当たります。

余談として…
神経伝達物質には、他にもガス状物質というものがあります。これは競技者にとって欠かせないものとなります。
神経伝達物質といえば、液体の物質が一般的なイメージだが、一酸化窒素(NO)という気体が発見されました。
NOは神経伝達物質として働くとともに、心臓の血流を増やしたり、免疫などにも関わってるものです。そして血管を増幅させてくれるのもこのNOになります。
狭心症の治療などで使われるニトログリセリンはNOと似た構造をしているのも特徴です。

いかがだったでしょうか?
まだまだここは序盤中の序盤です。
ここではまだ挫けず、ここからさらに理解を深めていってください。
それではまた来週もお会いしましょう!
お楽しみに!

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