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【森鴎外の思想】あきらめのススメ

国語便覧が好きだった枝瀬です。

拙記事「【漱石の手紙】牛になりなさい。」で
コングラボードをいただきました!


いつもお時間割いて読んでくださり、
ありがとうございます!

しめしめ、
文豪の名言シリーズ、ウケがいいな、
PVもスキ数もかせげるぞ!

うししし、という下心を
満載に秘めながら(笑)、

今回も文豪シリーズで
攻めてみようと思います。


あきらめの哲学

夏目漱石が芥川龍之介にあてた手紙の
有名なフレーズ「牛になりなさい」は

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
時流や周囲の声にまどわされることなく
自分のやりたいことを根気強く追求しなさい。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

というメッセージだと
僕は理解しています。

漱石を取り上げたのなら、
彼と対をなす大文豪 
森鴎外を紹介せねばなりません。

貫禄ありすぎ!

森鴎外、
実は「作家」が本業じゃないんです。

本業は官僚(医者)。

陸軍軍医の最高位を務めた
官僚のトップでありつつ

仕事のかたわらで書いた
小説や戯曲、評論が
世間の高い評価を受けたという・・・、

生徒にもよく話していたのですが、
天才ですね。大天才です。

ところが、
天才には天才の苦悩があって

官僚としても作家としても
板挟みというか、しがらみに巻き込まれ、
文壇や職場の無理解に苦しみます。

おまけに
妻との関係もよろしくなかった(苦笑)

そういうところが
人間臭くて読者の共感を誘うのですけど、

今回の記事では、その点は置いといて、
彼の思想を表す有名な言葉を紹介します。

私の心持を何という言葉で
言いあらわしたらよいかというと、
resignation だといってよろしいようです。
私は文芸ばかりではない。
世の中のどの方面においてもこの心持ちでいる。
それで余所の人が、
私の事をさぞ苦痛をしているだろうと
思っている時に、私は存外平気でいるのです。
勿論 resignation の状態というものは
意気地のないものかもしれない。
その辺は私の方で
別に弁解しようとも思いません。

 森鴎外『Resignation の説』

「Resignation」は
ドイツ語で「諦め」という意味。

『あきらめの哲学』という書籍も
あるのですが、

森鴎外の思想の通底には

Resignation=諦観

があるとよく論じられます。

葛藤保持力

「あきらめ」をどういう風に理解するかは
識者によってまちまちなんですが、

僕は、これを
「葛藤保持力」と名付けています。

森鴎外という人は

理想と現実のはざまにある
「葛藤」という感情を
強く自分の中におさめられる
器の大きい人
でした(と思う。)

「葛藤保持力」が弱いとね、
すぐにキレてしまうんです。
あるいは他人や社会を猛烈に攻撃してしまう。
(強すぎる他責思考)

それは、
すなわち枝瀬のことなんですが(苦笑)、

葛藤していても
それを胸のうちに秘めて、
行動を続けられる人って

ある種
「絶望」しつつ(期待しすぎない)、
「希望」に向かって進んでいます。

「絶望」と「希望」
これも矛盾していて
いわば「葛藤」なんですけどね。

鴎外の文学やエッセイを読むと、
いつも彼の「葛藤保持力」の強靭さに
励まされます。

理不尽3割なら良い先生

…ここだけの話、教育現場って、

理想と現実が乖離している

代表的な業界ではないでしょうか?

本当にそう思います。

文科省や教育委員会や
我々教員(苦笑)は「理想論」ばかり語ってます

聴く人によってはある種、白々しいですよね。

その実、

教員のなり手がいないんです。
「定額働かせ放題」とか揶揄されて
文科省がNHKに抗議したり。
現実は、もうめちゃくちゃ

矛盾してるな~、
乖離しているよな~
葛藤します。

でも、
この葛藤で、キレたら負け

100%他責思考に陥っても
教育業界は前進しませんよね。

葛藤を強く自分のうちに秘め、
できるところからやっていく。

そのできることは
蚤の一歩かと見まごう程の
小さな小さなレベルですけど、

それしか手はない

僕の前職の社長が
すごくいいことをおっしゃっていて

「理不尽3割なら、それは良い先生です」
って。

今の教育業界は
理不尽を駆逐・根絶やしにするつもりで、
メディアが騒いでいるような
気がしなくもないのですが、

理不尽ゼロの世界なんて
あるんでしょうかね・・??
(独り言)

森鴎外ほどの大天才でさえ、
現実の理不尽さに
あえいでいたのですから、

我々凡人も、
3割くらいは理不尽を受け入れないと
それこそ現実と理想の乖離で
タコ吹いてしまうわけで。

おもしろいのは
先述の社長

「理不尽が4割だと、ダメな先生です」

ともおっしゃっていた(苦笑)。

多少、理不尽でもいいんじゃない?

ここらへんの匙加減は
非常に難しいところですが、

昨今の
先生や親、メディア、
子どもに接するすべての大人は

理不尽や葛藤をゼロにすべく、
子どもに遠慮しすぎてます。

眠い時は眠い!
疲れたときは疲れた!
昨日と今日で言っていることが違う!

まあ、3割くらいの理不尽(大人の事情)は、
怖がらず、子供に押し付けても
いいんじゃないかな、
って個人的には思ってます。

4割はダメだけど(苦笑)。

ちょっと内容が散らかりましたけど、
「あきらめの哲学」にもとづき、
泣く泣く、ここで筆をおきます。

最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました。


#66日ライラン  参加27日目。

【追記1】「だい(枝瀬泰)@元高校教師」と同一人物です。

原則、平日(月・水・金)3回で教育系の発信をしています。

【追記2】
共同運営マガジンはじめました。
ぜひご参加ください!

【追記3】
ついでにkindle本出版してます!
こちらも是非、お読みいただけたら嬉しいです。


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