2014年8月の記事一覧
第20回:歩みを停めたコバンザメと、渇いた大地の風の色
「宇宙戦艦ヤマト2199」第21話で、フラーケンとハイニは、次元潜航艦UX-01の甲板で、ガミラス社会の現状について、話をします。二人の前には、収容所惑星の渇いた大地が広がっています。社会の闇から闇を、自由に渡り歩く彼らでさえ、皮肉めいた口調にならざるを得ない光景が、そこにありました。
フラーケンをはじめとしたクルーと森雪、ノランらが並んで立つ艦は、3DCGではなく、人物とおなじ質感の絵で描か
第19回:虚空に踊る赤い泡と、彼女と彼女が目覚めるとき
「宇宙戦艦ヤマト2199」第20話で、岬百合亜は艦内の通路に倒れる星名を見つけます。彼のまわりには、赤い、シャボン玉のような球体が浮かんでいます。星名の血でした。慣性制御が切れ、無重力状態になった艦内で、彼の身体から、命を運ぶ赤い液体があふれ出していました。
艦内の通路で、彼女が彼を見つけ、ふわりと倒れるまでの場面の「原画」は、アニメーターの馬越嘉彦さんが担当されています。完成映像では、鼻筋の
第18回:七色の前夜、「M」のかたちで彼は微笑む
「宇宙戦艦ヤマト2199」第19話の終盤、ドメル幕僚団のゲットーは、バルグレイ艦長に見送られ、戦場へと向かいます。バルグレイの顔には厚い忠誠の心が浮かび、手は指の先まで力強い敬礼のかたちをとっています。彼の誠実な姿はそのまま、その誠意の向かう先であるゲットーの、人としての大きさを伝えていました。口元はいつだって「M」の字、第13話では爪を磨きながらゲールをあしらっていた男の、これまで描かれることの
もっとみる第17回:炎上するモミアゲと、世界のかたちを決めるもの
「宇宙戦艦ヤマト2199」第18話で、ゲールはゼーリックの大演説を目撃します。おおきな手はエネルギッシュに動き、目からは涙が滝のように流れ、口からはアベルト・デスラーを悼む言葉がエモーショナルにつむぎだされてます。独特な節回しのついた声が、音声のみ、あるいはモミアゲを震わせる姿の映像つきで、バラン鎮守府につどう艦隊のあいだを広がってゆきます。
どこかの艦の格納庫では、名もなき兵士たちもその声を