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レコ屋スタッフの記念すべき1枚目 Part2:「あの音をレコードで聴きたい!」こそすべての始まり

こんにちは、エコストアレコードです。

毎週水曜日に配信する連載企画。今月は当店スタッフが初めて手に入れたレコードについて紹介しています。

初めて聴いたレコードは、数十年経っても「どこで」「なにを」聴いたのかよく覚えているものです。それだけ強く印象に残ります。レコードライフに飛び込んでみたい、そんな皆さんのために私たちの体験を伝えます。



私は今でこそ様々なご縁もあってレコード業界に身を置いている立場ではありますが、元々の自分自身の音楽的ルーツといえば音楽好きの母親の影響もありつつ、能動的なものとしては「高校に入って友達とバンドを組む」というのがきっかけでした。同じクラスで仲良くなった友達同士で楽器経験もろくすっぽ持たないまま「女子にモテたい」という極めて正当かつ不純な動機で集まったメンバーの中で一人ずば抜けて音楽知識に長けた友人がおり、彼からロックやメタル、ヴィジュアル系、クラシック(もともと絶対音感を持つほどのピアノの腕前)など様々な音楽を教えてもらう中で個人的にはNirvanaやOasisなどに代表される90年代のUS、UKのバンドに魅了されていきました。

そして、そんな友人の影響もあり自分自身でもいろいろと掘り下げていくうちにたどり着いたのが「シューゲイザー」という名で呼ばれる音楽、そしてその金字塔ともいうべきこのアルバムでした。あまりにも偉大過ぎる作品なので今更この場で取り上げるのが少し恥ずかしい気持ちもありつつ、個人的には非常に重要な一枚です。

この作品について、もはや様々なところで語りつくされているのでその内容については他に譲りますが、このアルバムは当時中古で購入して所有していたCD(国内盤)だとマスターボリュームが著しく低く、プレイヤー側でかなり音量を上げないとなかなかその全容を捉えることができませんでした。彼らの音楽自体がそもそもそういう音像であるということは頭では理解しつつもこの「音量小さい問題」は当時、自分の中でかなり重大なものであり何回聴いても正解が見えず、そのことがかえってこの作品を魅力的にさせる要素ともなりました(当時 研究本を買って読んでいたほど)。

そこから数年が経過し、友人達のなかでもレコードを買い始める人が少しずつ現れはじめ、私もその友人達に付き添う形でレコードショップに通ううちにターンテーブルを購入することになります。今のようなレコードブームが訪れる少し前、2007年頃のことです。「音が良い」と噂のレコード。最初に針を落とすべきはどの作品だろうと考えを巡らせたとき、ふと「Lovelessってレコードだとどんな音がするのかな?」という思いに至りました。当時あれほど追い求めていたにも関わらず煙に巻かれていたようなあの感覚。その答えが待っているような気がして向かったショップで出会ったのがこのレコードでした。

My Bloody Valentine / Loveless, 1991年リリース


この時手に入れたのは180g重量盤の新品リイシューだったのですが、当時はオリジナル盤やマトリクスといった概念など当然知るはずもなく、それでも念願の初レコードとしてこの作品に針が落とせるという喜びとともに帰宅。早速針を落とした結果、「過度な期待はしないでおこう」と高まる気持ちを抑えたことが杞憂に終わるくらい明らかに当時聴いていたCD版とは異なるその音圧に思わず絶句。当時使用していた安価なターンテーブルとスピーカーでもその差は歴然でした。長年追い求めた答えにようやくたどり着けたような、そしてまた新たな謎が生まれてしまったような、これまでになかった新たな音楽体験でした。そしてこの体験こそが現在まで続くレコード底なし沼への片道切符となるのです。

ちなみにこの作品は近年の世界的レコードブームの影響もあってオリジナル盤は非常に高騰しており、このリイシュー盤についても一時期はかなりの値段が付いていたこともあり最初に買うレコードしては若干ハードルが高いかもしれませんが、最近は新たな再発盤も出ておりそちらも音質は素晴らしいのでおすすめです。あなたもぜひ、未知なる体験を求めにレコードの世界に足を踏み入れてみませんか?

筆者紹介:
松原 哲(まつばら・さとし)
皆さんがより円滑に作業が行えるようにするため社内をあちこち動き回っています。飲みのお誘いは基本的に断らないスタイルです。


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