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90年代リバイバルが著しい今、女性アーティストからR&Bを聴き始めてみる

近年再評価が顕著な90〜00年代の音楽やファッション。韓国でも90年代R&Bを想起させるような楽曲やY2Kファッションが目立っています。そもそもR&Bとは何なのか?という方もいらっしゃると思うので簡単に説明すると、R&Bとはリズム&ブルースの略称で、1947年頃に確立した、ブルースやゴスペルが起源とされている音楽です。黎明期はブルース色が強く見られましたが、80年代以降は洗練されてサウンドの質感が大きく変化しました。

本稿では90〜00年代のR&B黄金期にリリースされた、女性アーティストのレコード作品にフィーチャーして紹介していきたいと思います。R&Bというジャンルは知ってるけど、聴いたことないし何を聴けばいいのか分からないという方の力になれたら光栄です。

文:松井遼馬(Ecostore Records)


※姉妹店Face Records ONLINESHOPが取り扱うR&B/ヒップホップのレコード商品はこちらのバナー画像のリンク先から


Janet Jackson / Velvet Rope(1997年発表)


マイケル・ジャクソンの実妹であり、来日公演も記憶に新しいジャネット・ジャクソンによる97年作。ポップス寄りだった前作までに比べて、本作はア・トライブ・コールド・クエストからQティップをゲストラッパーに迎えるなどR&B、ヒップホップ色が強く全体的にダークな印象。セクシュアリティや人間関係の複雑さに言及した歌詞に賛否両論ありましたが、結果的に大ヒット作となりました。筆者のレコメンドはQティップが参加した「Got Till’ It’s Gone」、大ネタ使いの「Free Xone」、本作最大のヒット・シングル「I Get Lonely」。


Destiny's Child / Survivor(2001年発表)


2024年春、来日後サプライズで緊急開催したサイン会で世間を騒がせたビヨンセ。彼女が所属していたことでも知られる女性R&Bグループ、通称デスチャ。正直この時代の女性R&Bグループは多すぎて(男性グループも然り)頭がこんがらがります。本作はビヨンセによる初本格プロデュースであり、全米1位を獲得した言わずと知れた名盤。全体的にダンサブルな構成で、名曲「Survivor」をはじめ、メロウな「Emotion」「Brown Eyes」なども収録。

2021年にはK-POPグループ=NMIXXのメンバーが「Survivor」をカバーしていて、今なおデスチャの人気の高さが窺えます。クオリティも申し分ないのでそちらも是非。


3LW / S/T(2000年発表)


<3 Little Woman>こと、3LWのデビューアルバム。その名の通り、当時デビューしたメンバーは平均年齢15歳という若さ。その若さゆえに、歌声から甘酸っぱさというか、フレッシュさが仄かに感じられてキュートです。ゲストにナズを迎えたデビュー曲「I Can't Take It」をはじめ、フィアレス・フォー「Rockin' It」ネタでDJにも人気な「More Than Friends」など名曲多数収録ですが、個人的にはスローなメロウ・チューン「Curious」を推したい。


Jennifer Lopez / This Is Me...Then(2002年発表)


当時交際していたベン・アフレックに捧げられ、ファンからは「ベニファー」アルバムとして有名な本作。R&B、ヒップホップ色を強調し、客演にLL・クール・Jやナズなどを迎えています。スマッシュヒットとなった「Jenny From The Block」、LL・クール・Jとの共作「All I Have」は必聴ですが、タイトなドラムの上にどこかセンチメンタルな表情を感じる「Still」、エムトゥーメイ「Juicy Fruit」を巧みに使った「Loving You」といった冒頭の2曲が最高なので是非聴いてみてください。


Michel'Le / Hung Jury(1998年発表)


2022年になってスヌープ・ドッグが買収したことでも知られる名門ヒップホップレーベル《デス・ロウ》から98年にリリースされた本作。デビュー作である前作から9年ぶりの作品なだけあって、彼女の成熟さが感じられます。
悪名高いレーベル柄、バックにはギャングスタの面々をこしらえていますが、「Hang Tyme」「Can I Get A Witness」「Crazy」など、レーベルのイメージとは裏腹にミディアム〜スロウな正統派R&Bで満たされた大人の一枚となっています。当時十分なプロモーションがされなかったためあまり認知されていない本作ですが、筆者個人的にはもっと評価されていい作品だと思います。

また、本作は未サブスク化のため是非レコードで聴きたいところです。




お気に入りの作品は見つかりましたでしょうか。今回紹介した作品の一部はFace Recordsオンラインショップで購入可能なので是非レコードで聴いてみてください。

最後に余談ですが、R&Bの中にもジャンル分けは色々あり、筆者はその中でも「ネオソウル」というジャンルが好きなのですが、そのネオソウルにちなんだ記事を以前に書いたのでよろしければそちらも合わせてご覧いただけたら幸いです。

筆者紹介:
松井遼馬(まつい・りょうま)
ブラックミュージックが好きなK-POPオタク。NewJeansはハニ、ソウルクエリアンズはエリカ・バドゥ。

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