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住宅産業の事業占有率と言いますか、シェア率と呼んでも良いだろうが、大手ハウスメーカーよりも小規模事業者によるシェアが圧倒的に高い。これは新築共にリフォームも同様であり、普遍の法則でもある。大手ハウスメーカー10社の広告宣伝費はおよそ2兆円規模にも関わらず、概ね市場では30%程度のシェア率である。それでも分母が大きいのでかなりの業績であることは間違いないし、顧客属性も高く、優良な顧客が多い。

ではなぜ、住宅産業は地場の小規模事業者に多く選ばれるのか?テレビなどメディアに出す広告宣伝費等は持ち合わせていない。そもそも少人数で運営しているので、年間1棟~2棟くらいしか建てることができない。今時のオシャレなデザインなどもできない。それでも、創業数十年と地域に根差して顧客の支持を仰いでいるのである。それは「人」であり、顔が見える商売であるということ、経営者や従業員も地域に住んでいるからである。顔が見えているからこそ、人と成りをさらけ出しているので、悪いことも出来ないし、何かあってもすぐ相談に乗ってもらえるだろうという「安心感」が大きいからである。特にリフォーム需要の大半は、緊急性を伴うことが多く、即時対応できる、即時声を掛けやすいと安心感、また、家の中に入ってもらう事になるので、やはり顔が見える安心感という視点は絶大な訴求力に繋がるのである。確かに今時の若い世代向けのITやSNSなどを駆使した、新興企業も進出してはいるものの、無形を預かる住宅産業の安心感としては企業の信用力、人の信頼力を活かした、丁寧な仕事だということです。よって、住宅産業そのものが地域密着型の領分であり、言い換えれば地域密着の商売が出来ていない事業に問題があると言っても過言ではない。

某〇〇さんマークの引っ越し業では、拠点を賃貸でなく購入することで安心感を訴求している。引っ越し業はお客様の貴重品から大事なモノをお預かりして、新地へ届けることで成立しているのだが、やはり事故やトラブルなども後を絶えない産業である。単に安さが売りの価格訴求だけでは、預けるのも不安だし、ぞんざいに扱われる事にも不安であることから、品質やサービス、万が一のトラブル対応も万全な状態の企業が選ばれるケースが多い。そこで、この企業は拠点から逃げないで顔が見える仕事をする為に、地場を購入するという方針展開を全国で行っている。飲食業界も変化していることに気づいていないだろうか。生産者の顔が見える材料、地産地消品種、流通経路など含め、単に安さだけで陳列棚に並んでいるのではなく、価格よりも品質とサービスを訴求しているのである。 

我々の住宅産業では企業の信用力と人の信頼感でこそ成り立っている事業だという事を重要視しなければならない。そうする事によって、新規顧客よりもOB顧客の方が圧倒的に支持を頂けるチャンスが増え、持続可能で継続的な商いができるものである。リフォーム業では「小」が「大」を産むという言葉があるが、水道パッキンや襖の張替えなどの修理修繕、メンテナンスの単価は小さいものの、顧客の生涯価値という観点からは新築一軒分の大きなリフォームや、場合によっては建て替えの需要もある。また、隣接されたご近所への紹介や親類や友人といった紹介受注にも大きく波及するものである。

よってポスティング戦略なども現場の進行中などに役立て、トークポスティングの方が遥かに手ごたえはあるだろう。また、現場周辺の清掃活動なども、人の広告塔として大いに目立つことができる。信頼感を得るための行動が、現場にいつもあるという事を理解しておこう。

マーケティングコピーというか広告メッセージに入れる3要素として、「大儀」(物語)、「実績」、「権威」とある。今では「物語」を独立させて4要素とも言われている。これらは顧客の3分類として「教育者」は「大儀」を「実務者」は「実績」を「懐疑者」は「権威」を確認することによって行動するという心理に基づいて提唱されているのである。

特定のペルソナ戦略を持っていなければ、必ずこのコピーは採用されなければならないくらい大事な要素です。

名刺はカッコつけるものではなく、経営者も顔を見せて文字も大きくしよう。

20201019