ディテリオレーションという英語の概念がある。直訳すると、悪化や劣化、崩壊などである。いずれ製品やモノは劣化して腐敗するものであろう。すなわち経年劣化と呼んで良いものだろうか。恐らく年数に応じて朽ち果てるものであろう。

しかし、日本語には「経年美化」という言葉がある。季節が繰り返すことによって風雨や紫外線などによって劣化することで「味わい」が出る。「色みも落ち着く」そして「風合い」も感じることができる。総じて英語では「アンティーク」と呼んでいる。製品によっては、新品なのにわざと機械や化学技術によってエイジング加工?アンティーク調に施して販売するものもある。

広辞苑には「経年変化」という言葉は記載されているが、経年劣化も経年美化も記載されていない。このような現象が見られるのが、日本にある寺社仏閣が有名な建築物になるのだろうが、これらの建築物が、全て「自然素材」から構成されており、ケミカル類は一切使用されていない事である。日本には数多くの寺社仏閣があり、伝統文化なるモノが継承されている。この伝統という継がれる意味合いに、経年美化という言葉が曖昧な表現で伝わっているのだろう。

「味」がある一品。「職人の魂」がこもっている一品。「品」がある一品。まだ他にもあると思いますが、これらの判断基準はどこにあるのか。明確な定義こそないだろうが、恐らく「経年美化」と同じではなかろうか。人間も同じかも知れない、やはり人生の大先輩が語る一言は重いと感じる時がある。

漢字というのは中国から伝わった表意文字と言われるもので、大半が自然のままを絵にして文字として整えたものである。例えば「人」と「木」の組み合わせで「休」と書き、「休息」を取るという意味であるが、その時代では「木」に「人」が寄り添って、又はもたれかかって、又は木陰の下で休んでいると捉えて良いのでしょう。つまり、人が一番落ち着いて休息を得ることができるのが「木」の傍であり、「木」に寄りかかっている時なのであろう表現である。

全ては儒教の教えからでもあると思われるが、自然と触れ合っている時こそ、爽快感というか心地よい気分になるのはその為であろう。我々自体が自然の一部であるように。

化学の発達によって文明の進化によって、利器の発明によって、何を得ようとしているのか理解できないわけではないが、せめて「住宅」だけは一番のパワースポットであって欲しい。そういう「趣」(おもむき)を感じる歳になって来たのだろうか。。。

因みに筆者の住宅はとてもすき間風が多いのである。

風が強い日は各部屋の建具がガタガタ震えうるさくて眠れないのである。仮にもっとすき間があれば通りきってしまうので、ガタガタとも言わないと思うのだが。。。

春はもうとっくに来ていますよ。我が家では春一番も、冬の訪れも家の中でわかるのです(笑)

20210510