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合同会社型DAO(トークン式会社)のその他社員に出資額以上の報酬を出すためのトークン設計を考察!

こんにちは、Daishoです。

今回は「合同会社型DAO(トークン式会社)のその他社員に出資額以上の報酬を出すためのトークン設計」を考察していきます。

本noteは、Rule Makers DAOでファウンダーを務め、合同会社型DAOの法改正に多大に携わり、DAO協会、共創DAO、100万人DAOなど日本のDAO普及に尽力されている弁護士のMACさんとあるやうむのニックさんのVoicyの内容から要点を整理・補足したものになります。

参考にしたVoicyは以下からお聞きになれます。

またDAO協会のガイドラインを参考に、入念な調査の上作成しておりますが、一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な法律問題については、専門の弁護士等の法的アドバイスを受けることを強くお勧めします。

「そもそも合同会社型DAOってなに?」という方は、先に以下のnoteをご覧になると、この後の内容が理解しやすくなります。

このnoteで解決できる課題

  • 合同会社型DAO(トークン式会社)のその他社員に出資額以上の報酬、トークンを出すための方法のヒントがわかる

  • 金銭的価値のあるトークンと金銭的価値のないトークンの違いがわかる

  • 労務出資をする場合のトークン設計がわかる

そもそも合同会社型DAO(トークン式会社)における社員と配当の関係は?

従来のDAO

原則配当は不可能です。
但し、体験価値(宿泊など)を対価とすることの還元は可能です。

合同会社型DAO(トークン式会社)

業務執行社員
出資額を超える収益分配ができます。

その他社員(非業務執行社員)
出資額までの収益分配ができます。
逆に言えば、出資額以上の収益分配をもらうことはできず、配当で収益がプラスにできないので出資するメリットが下がります。

(例)100万円出資した場合は100万円までの配当がもらえる。

つまり、ここでのポイントは以下です。

その他社員は、出資額以上の収益分配をもらうことはできず、配当で収益をプラスにできないので出資するメリットが下がる。

トークンを使って、その他社員が出資額よりも収益をプラスにできるトークン設計をどうするか?を上記のVoicyを参考に本noteで考えていきます。

その他社員に出資額以上の報酬を出すには?

1.金銭換算できないトークンを景品表示法の景品規制に違反しないようにその他社員にエアドロップする

もっとわかりやすくすると、収益分配額に含まれず、インセンティブや二次流通などによって価値が上がる可能性があるが配布時点では無価値のトークンをその他社員に渡す方法です。

収益分配額に含まれず、インセンティブや二次流通などによって価値が上がる可能性があるが配布時点では無価値のトークンとはどんなトークンなのか?

弁護士のMACさんと金融庁との議論による見解では

付与されたトークンやクーポンが金銭換算できるかどうか?で決まる。

だそうです。

では実際に金銭換算できるトークンとはどういうものなのでしょうか?


金銭換算できるトークン

以下のように、一般的な市場で金銭価値が認められているトークンやクーポンは金銭換算できるとみなされます。

  • 1トークン=10円のように市場で価格がついているトークン

  • 1トークン=1円割引にできる割引クーポン的な機能を持ったトークン

  • 特定のイベントやDAO内での取引で、1トークン=1ポイント=1円のポイント機能を持ったトークン

つまり、その他社員権の配当に関して、出資額以上の配当を日本円で返すのは難しく、クーポンやトークンで出資額以上の配当をしていいかどうかは金銭換算できるかどうかによるということです。

金銭換算できるトークンを配当で使用する場合、日本円などと同様に出資額分までしか配当できません。

以下の記事も参考になります。

金銭換算できないトークン

以下のように、一般的な市場で金銭価値が認められていないトークンやクーポンは金銭換算できないとみなされます。

  • サービスや労働の対価として付与し、出資額又は事業収益に連動しないトークン(いわゆるリワードトークン)

  • 市場で価格がついていないトークン

ただし、金銭換算できないトークンをどれくらいの数を還元して良いかは現時点では明確に決まっていないそうです。

もし配る場合は、配当ではなく社員優待のような形が想定され、社員優待を配りすぎると問題になるので、適度なバランスで付与することになります。

Voicyでは具体的な言及はありませんでしたが、
おそらく景品表示法の景品規制が問題になると推測されます。

以下の記事が大変参考になりますので、気になる方はご一読ください。

2.トークン保有量やトークン使用に応じて、金銭換算できない範囲でのインセンティブを付与する

具体的には以下が挙げられます。

  • 1000トークンを保有している人限定のイベントやコンテンツへの招待

  • 1000トークンの使用でイベントや食事会に、コンテンツ閲覧が可能になる

このように市場で価値を測ることができないサービスなどをインセンティブにすることで、実質的に配当以上の報酬を出すことが可能になります。

但し、2つ目の「1000トークンの使用でイベントや食事会、コンテンツ閲覧が可能になる」に関しては注意が必要です。

例えば、

1000トークンの使用で行けるイベントがあったとします。

ただしトークンを持っていない人でも1000円を支払えばイベントに参加できるとします。

すると実質1トークン=1円の価格がついてしまうことになります。

以降の配布で1トークン=1円で金銭換算できるトークンとして、配当に含まれるものとしてみなされる可能性が推測されます。

つまり、その他社員に配当以上の報酬を出すためには「金銭換算できない範囲でのインセンティブを付与する」ことに注意が必要です。

3.労務出資によってその他社員権トークンを付与することで、金銭出資以外でその他社員になれる手段を作る

労働やスキルの対価として、株式やトークンを付与するような労務出資があった場合に

「その他社員権トークンを付与するまでに渡すリワードトークンは、特定のDAOがやるイベントで1円相当として使えます。」

という形で契約関係を結びます。
(おそらく前払い式支払い手段やポイントのような形?場合によっては暗号資産に該当する可能性あり?)

上記で付与されたトークンを現物出資という形でもう一度法人に渡し、その他社員権トークン(NFT)と交換することで、

実質、労務によってその他社員権を得ることができるので、金銭の出資なしでその他社員権を得られることになります。

つまりは、労務分の金額までは配当を得ることができる形です。

裏を返せば、シンプルに働いた分のお金が後から返ってくるだけの設計ともいえます。

強引にメリットを言えば、お金がないよという方でもその他社員権というストックオプションのようなトークンを付与でき、金銭出資に依存しない形でDAOを大きくすることができると考えると、参加の間口が広がるメリットはありそうですね。

まとめ

その他社員に出資額以上の報酬を出すには、現時点で以下の方法が考えられます。

  • 金銭換算できないトークン(NFTやFT)を、景品表示法の景品規制に違反しないようにその他社員にエアドロップする

  • トークン保有量やトークン使用に応じて、金銭換算できない範囲でのインセンティブを付与する

  • 労務出資によって社員権を付与する社員権転換トークンを作ることで、金銭出資以外でその他社員になれる手段を作る

株式会社では社員へ配当を制限なく出せる一方、合同会社型DAOではその他社員への配当に制限があります。

いかにして魅力的なトークン設計をできるかが合同会社型DAOの成功の鍵を握るかもしれません。

免責事項

本記事の内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な法律問題については、専門の弁護士等の法的アドバイスを受けることを強くお勧めします。本記事の情報は執筆時点のものであり、その後の法改正や判例の変更等により内容が変更される可能性があります。著者および本記事の発行者は、本記事の内容に基づいて行われた行動に対して一切の責任を負いません。

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