インタビュー:東京タワーに生まれる日本最大規模のesportsパーク、その新体験とは? TEG代表 原氏に聞くリアルとデジタルの世界【前編】



2022年4月、東京タワーに生まれる日本最大規模のesportsパーク「RED° TOKYO TOWER」。さまざまなIPとのコラボレーションによって、eモータースポーツ、謎解き、シューティングアトラクションなど人気のコンテンツを集結させ、さらに世界最先端のXR技術を搭載したスタジアムで大会やイベントを発信したりと、これまでにない異次元のエンタメ体験を提供する施設を目指しています。

さらに「RED°」ブランドとして、リアルな施設開発やイベント開催のみならず、トークンエコノミーを基盤とし、リアルとデジタルを融合させたメタバースやNFTなどによる新たなオンライン体験を届けるなど、世界が日本に熱狂する「RED° 経済圏」の構築を推進しています。

「RED° TOKYO TOWER」を中心に「RED°経済圏」について様々なことをお伝えするMediumブログ、初めての記事となる今回は、インタビュー企画として「RED° TOKYO TOWER」を開発・運営する東京eスポーツゲート株式会社 代表取締役の原康雄と取締役の秋山大がに、東京タワーを起点とした新しいカルチャーの発信源となる「RED° 構想」について語ります。

インタビューは前編・後編の2回に分けて掲載いたします。前編は、どのようにしてこのプロジェクトが立ち上がったのか、その経緯について伺います。

インタビュイープロフィール
・原 康雄(はら やすお)
東京eスポーツゲート株式会社代表取締役。リクルートにて人事企画、新規事業開発などを歴任。その後、投資・開発・アセットマネジメントまで各種の施設開発・運営を手がける企業の代表を経て、2021年に東京eスポーツゲート株式会社を設立。リアル・デジタル領域における新規事業の開発経験をふまえ、esports/エンタメを軸に日本が誇る文化を世界へと発信するRED°プロジェクトを先導する。さらに、RED° 独自の“経済圏”の構築を目指し、「RED° トークン」を発行するブロックチェーン・スタートアップFIDA株式会社の代表も兼任。

・秋山 大(あきやま だい)
東京eスポーツゲート株式会社取締役。凸版印刷にて事業戦略本部、トッパンアイデアセンターにてデジタル領域の新規ビジネス企画・創出を担当後、アクセンチュア戦略コンサルティング部門にて製造小売り業界のリーディング企業における、主にデジタル/アナリティクスを用いてトップラインを伸ばすプロジェクトに従事。その後VRベンチャーの戦略責任者を経てデジタルリアリティ株式会社を設立し、主に不動産業界向けのXRソリューション提供、大手企業への新規事業創出コンサル、スタートアップへの戦略支援を展開。

―――インタビュー本編―――


コロナ禍でスタートした「RED° 」プロジェクト


──最初にこのプロジェクトがスタートしたきっかけからお伺いします。どのような経緯から東京タワーを起点とした新体験の構想がスタートしたのでしょうか。

新型コロナがリアル・デジタルをシンクロさせるesportsパーク開発のきっかけになった

原 康雄氏(以下、原氏):「RED° TOKYO TOWER」のはじまりのきっかけは、新型コロナウイルス感染症の拡大が関係しています。

コロナ禍によって人々が出歩けなくなって、この2年間人々の心の「熱量」が下がっていきました。

みんなが出かけられなくなったことで東京タワーさんも集客や売上げで甚大な影響を受け、そのタイミングで縁があり回り回って僕に声がかかったというのがきっかけです。

日本が誇る東京タワーですから、名だたる上場会社さんにお声掛けをしていて、そこで唯一僕だけが個人で参加しました。

大手企業さんはそれぞれ保有するIPを活かした提案をする中、僕は1つのIPやリアルだけでビジネスが成り立つものではなく、様々なIPを活かしたりリアルとデジタルで繋がる施設の使い方として仮説的にテーマとして掲げたのがesportsです。たまたま以前、esportsをかけ合わせたホテルの立ち上げに関わっていた経験もあり、この領域に興味と知見があったのもひとつの理由です。
そこでリアル×デジタルという発想についてですが、リアルとデジタルをシンクロさせながら、どう収益化・マーケットの最大化をさせるかということが重要で、それが一番スムーズに実現できるのがesportsだという文脈で、これをテーマに挙げながら構想を進めることにしました。

esportsというビッグワードの再定義をしたい

esportsと聞くと、世間ではなんとなくビッグワードで注目を集めているイメージですが、結局それは何なのか、まだ理解や定義が浸透していないのが現状です。仮想通貨や民泊と一緒で、ワードが先行して盛り上がっている印象ではあるものの、事業モデルや収益化の方程式が充分に確立されていないのも事実です。このままでは日本ではesportsというものに誰も取り組まなくなるし、世界的にはesportsのマーケットは大きく伸びている一方で日本だけが置き去りの状態になってしまうと感じました。

ゲーム大国の日本なのに、ことesportsになった瞬間に世界と圧倒的な差が生まれているという。原因は、諸説あるんですよ。PC文化の海外とコンソール(ゲーム機)文化の日本という、ゲーム環境の差もそのひとつです。あとは法的な文脈とか、日本で盛り上がらない理由はいろいろあると思います。

もう一段esportsが世の中に広がっていくために、東京タワーという日本のアイコンを舞台にして、僕たちなりにesportsというものを再定義して、こういう楽しみ方するんだよ、ということも提案していきたかったんですね。

esportsの文化の発信をこの場所を起点に進められるとすごく面白いなというのが最初の構想でした。

こういういきさつで、esportsの聖地をつくろうという想いの中でスタートした事業ですが、今ではリアルの施設開発にとどまらない動きへと構想は広がっています。
事業を進める中でいろいろな出会いがあり、もう一段この市場を大きくしていくとなったときに、トークンというテーマに行き着きました。東京タワーでの施設開発を進める中で、思いもよらない、いろいろな領域の人が集まってきたんですよ。

ちょっと横道にそれますが、僕、東京タワーが好きなんですよ。

見ていると昔を思い出すとか、黄昏を感じるとか、日本の象徴とか、みんなそれぞれ東京タワーに対して感情がありますよね。日本の中でもアイコン的な場所であるからこそ、もっと多くの人が実際に足を運んで楽しめる場所になれるといいな、という想いがあります。
トークンエコノミーというデジタルを起点にした体験を提供して、esportsやエンタメの「アソビの熱量」のようなものが循環し、それが東京タワーというリアルな場所と連携していけば、さらに東京タワーそのものも盛り上がっていくのではないか。そんな仮説を、事業を進める中で思いついたのです。東京タワーはある意味、日本の象徴ですから、このプロジェクトを成長させていくことが、同時に日本を盛り上げることにもあるのではないかと考えています。

人々を結びつけた象徴的な東京タワー

──みんなの想いと、日本の中でも象徴的な場所である東京タワーがつながっていくことが、すごく共感できるお話ですね。

原氏:みなさんそれぞれ、東京タワーをなんとなく好きと思っているはずですし、それが日本の象徴であるかのような感覚を多くの人が持っており、関わる人たちがひとつになって、ここを盛り上げたいという火種が生まれている気がします。

先日も海外のグローバルなゲーム会社さんとの打ち合わせがありました。日本に限らず、世界中の人が、ここ東京タワーに集まろうとしていて、プラットフォームというか、そういう求心力の集まる場所としての魅力があると思うんです。

esportsをきっかけにして、様々な分野からみんなが集まって来てくれるので、それ一つ一つを事業にしていきたいですね。

それはライブでもいいし、ファッションでもアニメや漫画でもいい。あらゆるエンターテイメントを、ある意味で再定義するような心意気です。まずは、esportsから頑張るというのが僕らの思いですね。

──esportsと東京タワーをつなげた背景として、原さんの中ではどんなつながりがありましたか?

原氏:そうです。実はいろいろな文脈があって、まずesportsって、一部の人が夢中になっているというイメージがなんとなくあります。これは個人的な観点ですが。

esportsに対する一般のお父さんやお母さんのイメージは、極端に言うと「ゲームってさ、なんか子供にとって悪くてさ、やめてよ」という感じですよね。

いろいろなことを大人は思うんですよ。ゲームをすると視力が悪くなるからとか。昔の日本っぽいイメージですよね。

でも、世界を見たら違うんですよ。esportsやゲームをすることでコミュニティが形成されてコミュニケーションが生まれたり、チームで戦う戦術論を自分の中で学べたり、あとは体系立てて物事を考える論理的思考能力がつくかもしれないなど、そういうふうに世界は変わりつつある状況です。

日本だけはずっと昔のままの状態。でも東京タワーという文脈でesportsを語れるとしたら、東京タワーのイメージがesportsに対する概念を変えていくことができると思うんです。実際に、それを目の当たりにしたエピソードがあります。

あるesportsプレーヤーが、2日間「RED° TOKYO TOWER」でイベントをやりました。そこに来てくれた中学生に弊社のメンバーが話を聞いたら、今日来るときに東京タワーに行ってくると言ったら、親御さまも「いってらっしゃい」と快く送り出してくれたそうなんですね。それは、何かすごいなぁと僕は思いました。

あとesportsはオンラインでの大会が基本だと思うのですが、新型コロナが蔓延してからは、様々な点でオンラインは注目されるようになりましたよね。

通信回線の問題はあると思いますけど、今は普通に地方予選とつないだり、距離も時差も関係なく世界中とつないだりすることもできますよね。

今はスカイツリーが電波塔の役割を担っていますけど、東京タワーは元々電波塔でしたし、そういう意味ですごくイメージとしてつながるという背景もありますし、日本一を決める大会を東京タワーで開催することは、サッカーの決勝戦を国立競技場でプレーするような感覚と似ていますよね。

esportsをより盛り上げていこうと思ったら、やはり東京タワーはすごくいい場所なんじゃないかなと。そう言う意味でesportsはつながるんですよね。

元々は東京タワーのさらなる活性化という課題の中で、考案しましたが、僕が漫画やアニメをテーマに設定することは難しいなと感じていました。

僕らしく、東京タワーを盛り上げられるものとはなんだろうと、いろいろと頭を巡らした結果、esportsとつながりました。

esportsは業界も未成熟でこれからですし、産業はこのままではシュリンクしていくかもしれない。その一方で、東京タワーという最高の舞台がある……。

そこをリンクさせるものとはなんだろうと考えていたら、esportsという一つのキーワードにたどり着いたんですね。そのesportsをいかに盛り上げるか考えていたら、トークンと結びつき、それによってesportsの施設開発だけではない広がりがでてきたという、そういう歴史的背景です。

esportsをビジネスとして盛り上げたかった

──つながっていく広がりみたいなところは、そのお話の中で、気がついたらみなさんとつながっていったのでしょうか?

原氏:はい。我々の手がけるトークンエコノミーのエバンジェリストである川本さんと出会ったのは、2021年の8月ですよ(笑)。

──これは東京タワーがみんなを集めてくれているような、そういう象徴的な感じもしますね。

原氏:はい。東京タワーだからだと思います。決して何か僕だからとか、東京eスポーツゲートだからというわけではなくて、東京タワーだからだと思うんですね、本当に。

──困っていたリアルがあって、デジタルが連携する流れになった構想として、リアルとデジタルがつながることでどんな強みが生まれるのか。どのようなビジョンを原さんはお持ちでつなげたのか、すごく興味があるところなので、ぜひそこの部分を構想も含めてお話いただけますか。

原氏:もともと僕は、これまでの経歴の中で、デジタル領域の事業にもリアル領域の事業にも携わっていたのですが、そこで感じたのが、リアルとデジタルは想像以上に分断されているということです。

世の中は、リアルとデジタルがあってシンクロしているのですが、実情はそれぞれの領域のプレイヤーが独立して存在している状態で、連携してないんですよ。

そもそも、リアルな人たちとデジタルの人たちで思考回路が違うからですよね。水と油ぐらい違う。まだまだ実体としてリアルとデジタルがシンクロしている状態からはほど遠いと思うんです。
新型コロナウイルスで思い知らされたのは、リアルだけだと事業が成り立たないということでした。絶対に無理だと気づかされました。

一方で、リアルが不調で人が動かなくなっても、デジタルの世界のゲームというマーケットがすごく伸びていったことも教えてくれました。

僕が昔やっていた格闘ゲームのような1対1で対戦する世界じゃなくて、今のオンラインゲームはコミュニケーションの場にもなっている。そこで友達ができたり、そこで絆が生まれたり、出歩けなかったからみんなそこに行ったんですよ。

それが教えてくれたんです。、この東京タワーという場所があれば、デジタルとリアルの垣根を越えた、本当の意味で結びつけられるものを作れるんじゃないかと。

当初は何をするかは決まっていませんでしたが、まずシンクロさせるというところからスタートしたという形でした。

最初はシンプルにeコマースとか、esportsだからベッティング領域とか、そういう企画の話をしながら、一つずつつなげていって議論していったら、こうしていろいろな人と出会ったということですね。

それと時を同じくしてNFTアートがブームになったり、Facebookがありがたいことにメタバースに力を入れだしたり、メタバースやNFTなど、esportsやエンタメに親和性の高い新しいカルチャーを絡めていこうとなりました。

しかも、ありがたいことにリアルでデジタルをシンクロさせると言ったその中核として、トークンが盛り上がってきたんですよ。元々、シンクロさせると言いながら、接着剤的な役割をもつものがありませんでした。その中で、トークンエコノミーという接着剤を活用していく構想を描いていきました。

秋山氏:そうですね、そうした中で我々の事業でのリアルとデジタルを考えると、esportsというスポーツと呼ばれているものはどこの国でもリアルで一番熱量高いイベントが行われるものじゃないですか。

リアルなスポーツをオンラインで見るデジタル観戦というのがありますが、それをデジタル上でもつながって遊べるようになったのがesportsだとも思うんですよね。

でもやはりスポーツを中心にするとリアルな場所が一番熱量が高まるんですよね。そう考えると、esportsというのはリアルの場所でも熱量を高められるし、デジタルの場所でもものすごく熱量を高められるし、さらにデジタルの中にもリアルでつながる要素があると思いますね。

それと原さんからあったトークンやメタバースの話は、技術的にちょうどいいタイミングで出てきたというところなので、そこを最大限に活用すれば、我々の事業ドメインは新しい体験の提供をまっさきにできるポジションにいるのだ、というようなことを考えています。そういう意味の盛り上がりを、esportsはリアルと交差させながら作っていけるのではないかと考えています。

なので、デジタル領域とリアル領域でわかれるのではなく、メタバースやトークンでシームレスにつながっていくようなことを考えています。

本インタビューは後編に続きます。
後編ではリアルとデジタルの融合が生み出す新しいユーザー体験に迫ります。どうぞ公開をお楽しみに!

(インタビュー・文 高橋ピョン太)


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