6月に読んだ本・漫画

・水車小屋のネネ 津村記久子 (毎日新聞出版)
18歳で家を出て独立した山下理佐と、一緒に家を出た妹・律がヨウムのネネと出会ったのをきっかけに様々な人と出会い、助け合いながら成長していく物語。賢いネネとのやり取りが面白かったし、ほっこりする話だった。「自分はおそらく、これまでに出会った人々の良心でできている」という言葉はとても素敵だった。


・きつねのはなし 森見登美彦 (新潮文庫)
読むのは3回目ぐらい。京都を舞台にしたホラー短編集。狐のお面や芳蓮堂という古道具屋、胴の長いバケモノなど共通して出てくるものが謎が多くて本当に気味悪かった。どれもハッピーエンドでない感じがより怖さを引き立てている。


・原因と結果の経済学 中室牧子・津川友介 (ダイヤモンド社)
ゼミでデータを扱うのでしっかり分析できるようになるために読んだ。データの落とし穴をわかりやすく解説していて参考になった。因果関係と相関関係の見極めはできるようになりたい。


・ともぐい 河崎秋子 (新潮社)
明治時代に山で猟師として暮らす熊爪の生き様を描いた作品。幼い頃から獣を狩ってきた熊爪の強い熊を倒したいという執着や生命の美しさや儚さがよく描かれていた。ラストシーンも衝撃的で感動した。


・室外機室 ちょめ (双葉社)
日常の中の非日常を描いた短編集。話が面白いし絵も綺麗でとても面白かった。「21gの冒険」が特に面白かった。


・零落 浅野いにお (小学館)
ヒット作を生んだ後、次の漫画をなかなか書けずにいる漫画家の過去と現在を描いた作品。漫画・漫画家に対する主人公の考えや恋愛観は面白かったし、何よりラストシーンが衝撃的で喰らった。


・Ctrl+T mini 浅野いにお (小学館)
いにお先生の作品集。プンプンのネームやカラーイラストは見応えがあった。最後の99の質問はバカらしくて面白かった。



・宝島 ロバート・L・スティーブンソン 鈴木恵訳 (新潮文庫)
冒険小説の原点とも言える作品。森見先生の作品によく出てくるので読んだ。古いだけあって、今の感覚で読むとありきたりな展開ばかりで面白くはなかった。もっと小さい頃に読みたかった作品だった。


・夜に星を放つ 窪美澄 (文藝春秋)
人間関係でうまくいかない人々が徐々に成長していき再び心を通わすようになるまでを描いた短編集。それぞれの作品に星座が関係していて、登場人物たちが夜空を見上げるシーンが印象に残った。どれも優しく心温まる作品だった。


・おやすみプンプン全13巻 浅野いにお (小学館)
小学生の頃に愛子ちゃんに一目惚れしたプンプンが成長していく姿を描いた作品。ようやく読めた。前半は恋や友情、ギャグ要素ばかりだったが10巻あたりからが怒涛の展開で引き込まれた。鬱漫画とはよく言われるが、私は読んだ後とても爽やかな気持ちになった。


・ようこそ、ヒュナム洞書店へ ファン・ボルム 牧野美加訳 (集英社)
独立系書店を営むヨンジュがさまざまな人に出会い、支えられていく心温まる小説。仕事や恋愛に対する価値観の話が心に響いた。「辛い時は休んでいい」というメッセージを強く感じた。


・アーモンド ソン・ウォンピョン 矢島暁子訳 (祥伝社)
失感情症である主人公・ユンジェがシム博士やゴニ、ドラなどとの出会いを通して成長していく話。感情がないゆえに周りから奇異の目でみられたり、母と祖母を亡くしても悲しまない姿は不憫に感じたが、少しずつ感情が芽生えていく様子がとても面白かった。訳も自然で違和感がなかった。


・星落ちて、なお 澤田瞳子 (文藝春秋)
河鍋暁斎の娘・とよが女性絵師として、父の軛に苦しみながらも確固たる意志を持って絵を書き続ける話。こういった歴史小説は初めて読んだので難しい漢字ばかりで読むのが辛かったが、とよの絵にかける思いや時代の流れ、関東大震災後の支え合いなどが書かれていて面白かった。


・ばけものれっちゃん/きのこたけのこ 浅野いにお (小学館)
いにお先生の短編集。イラストは全く同じだがモノローグで印象が変わる漫画や、デデデデぽい作品などが読めてとても面白かった。


・虹ヶ原ホログラム 浅野いにお (太田出版)
いにお先生っぽい、不条理と人々のリアルな苦しみ、人生の素晴らしさが描かれている作品。怖いストーリーだが読むのがやめられないほど面白かった。


・木 幸田文 (新潮文庫)
「PERFECTDAYS」で主人公が読んでいたのを見て、ようやく読んだ。木や自然に対する作者の面白い疑問や感想が述べられた作品。言葉遣いが美しく、ありありと光景を思い浮かべることができた。


・サンダー3(1~6) 池田祐輝 (講談社)
1、2話を試し読みして衝撃を受けてからずっと読みたかった漫画。GANTZじゃんみたいな批判はあるが、かなりオリジナリティがあるし、これからの展開が気になる作品。面白すぎ。


・黙って喋って ヒコロヒー (朝日新聞出版)
ヒコロヒーさんによる儚く切なく、胸が苦しくなる恋愛短編集。普段の雑な感じからは考えつかないような綺麗で丁寧な表現に驚いた。さくさく読めるし、「もっと続き読ませて!」と思った。ただストーリーはありきたりなものが多い印象。特に最後の作品は「愛がなんだ」過ぎた。


・センスの哲学 千葉雅也 (文藝春秋)
「センス」の良し悪しとは何かを哲学的な観点から分析していくお手軽な哲学書。作品の構造を0と1で捉えることや、大意味ではなく小意味の絡み合いを楽しんでみるといった話は新鮮で面白かった。

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