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ハンドメイズ・テイル、 絶望と希望

資本主義は完全なシステムではないが、少なくとも共産勢力や宗教団体による支配よりはマシである、ということをぼくたちは数々の歴史の闇から学んでいる。しかし、貧富の差や環境問題などがクローズアップされ、大義と心中することによって自分の不遇な人生や日々の私的鬱憤を晴らそうとする狂信的な非モテのおばさんや非モテ素人童貞おじさんなどが激増し、まかり間違って権力の中枢に潜り込んだりすると、シャレではなくリアルに、一党独裁政権による地獄のような国家が誕生する可能性がある。そんなディストピアを描いた連続ドラマ『ハンドメイズ・テイル』は、寒さが染み渡る今年の2月ごろからHuluで配信が始まり、私は季節と同様、背筋を凍らせながらこのドラマを通勤電車で食い入るように視聴していた。

まず、不妊ウィルスが全世界に蔓延するなか、妊娠できる女だけを集めて支配者層に「侍女」として分配し、子を産む道具として扱う、狂信的な宗教国家がアメリカ全域を支配する、というシナリオが、非常に衝撃的である。そしてその過程を描いた映像もまた非常にリアルで、本当にこんなことが起きてもおかしくないのでは!?とドキドキしてしまう。主人公の女性はたまたま妊娠できる体質であったため、当局に目をつけられてしまい、夫は銃で撃たれ負傷し、娘はどこかへさらわれ、自身は「司令官」の侍女にされてしまう。まさに絶望のどん底に突き落とされるのだ。

しかし、そこからこの「侍女」は、あらゆる手段を使って奪われた娘を奪い返し、夫と再会し、この狂った国家から亡命することを画策し始める。圧倒的な絶望の中で、わずかな希望を決してあきらめない彼女の姿は、子供達にとってのアンパンマンのように、勇気と希望をぼくたちに与えてくれる。シーズン1ではわずかな希望がみえた!というところでto be continuedとなるのだが、シーズン最終話を見終えたぼくは不思議と清々しい気持ちになった。やっぱり日常に埋没して諦観のうちに生きる、というような人生は、「司令官」の館で性奴隷となり強制的に出産させられるような運命を甘んじて受け入れるような、屈辱的な選択肢なのであり、いかなる犠牲を払おうともそこからの脱出を試みることが、とても大事なのだ、ということに、改めて気付かされたからだ。

それにしても、このようなハラハラドキドキが止まらない海外ドラマを見た後で、たまたまテレビで目にする日本の連ドラのクオリティといったら、、、。まぁでも、あれはあれで、ファッションショーとかアイドルのライブのようなものだという前提で眺めれば、楽しめないわけではない。とにかくハンドメイズ・テイルのシーズン2がいつ配信されるのか、とても楽しみである。あと、この主人公の「侍女」を演じているエリザベス・モスという女優がとっても素敵なのでファンになってしまった。

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