白か黒か、グレーはない

 ご存知、なんでも鑑定団は、「どこかのおじいちゃんが大事にしているお宝の市場価値をスタジオに居る鑑定のプロたちが査定し、その真贋を明らかにすることによって、おじいちゃんの感情の昂りや、心が折れる様子を視聴者が楽しむ番組」です。番組としては面白いかも知れませんが、システムとしての欠陥に気付いているでしょうか?それは、本当にお宝の市場価値を知りたいときに、鑑定額を予想する必要があるのか、という事です。
 著名な作家の作品には必ず相場があります。つまり、持ってきたお宝が本物であれば、自ずとその額は決まってくるはずなのです。例えば、持ってきたお宝の相場が500万円だとします。それに対して、予想額が100万円ということはあり得るのでしょうか。あり得ません。偽物であれば数千円とか数万円程度のそれなりの額になるはずです。つまり、お宝には黒か白しか無いのです。グレーは存在しません。それなのに、おじいちゃんは「期待を込めて100万円!」とか、自分の勝手な価値基準で素っ頓狂な予想をして、勝手にドキドキしているのです。そのおじいちゃんが、「コレクターだ」などと自称してしまったのならば、目も当てられません。なぜならその作家の相場を知らないという無知を晒してしまうのですから!もちろん、思い入れがある分も予想額に影響しているのでしょうが、おじいちゃんの思い入れは作品の市場価値を1ミリも変えることはありません。
 つまり、あの鑑定予想額の発表という作業は視聴者を楽しませるためにしか無いということなのです。テレビとしては正解としか言いようがありませんが、思い入れを含めた価値を発表させられて、無機質なデジタル表示の市場価値を眼前に掲げられるあの光景に、おじいちゃんが得をすることは無いのです。かわいそうなおじいちゃん。
 さて、テスト明けの皆さん、テストにグレーはあると思いますか?そんなもの、ありません。配点2点の問題が50問あれば、100点になります。30問正解すれば60点になりますが、それはグレーですか?それは、白黒の積み重ねなだけであって、グレーでは無いのです。部分点をもらえたとしても、それは採点基準の話であって、はっきりと正解でない以上は黒でしょう。
 おじいちゃん同様、「60点なら良いな」などという見せかけのグレーを期待してもしょうがないのです。合計点なんて気にせずに、黒を一個づつ、はっきりと白になるまで勉強し続けることの方が、あなたの市場価値を高めることになるのです。

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