オートくん

農業を豊かな暮らしのために生かすことを生業にしています。農業分野のプロの研究者をやって…

オートくん

農業を豊かな暮らしのために生かすことを生業にしています。農業分野のプロの研究者をやってました。頼まれ事を断るのが下手。本来の専門とは外れたしごとを押し付けられ引き受け続けた結果、一人で異分野シナジーが発揮できる(みたいな)研究者になってしまいました。

マガジン

  • 論文解説:氷山の水面下をくわしく分かりやすく

    昔の論文タイトルは、「〇〇に関する研究」が多く、論文はそのテーマについて勉強するものでした。今は、研究で得た知見が論文タイトルになっていて、論文タイトルを見て情報を収集します。これは科学が細分化し、論文が量産される時代には効率的ですが、問題もあります。知見の裏に隠れたテーマは本文を読まないとわかりません。そもそも、論文は専門家向けに必要最小限のデータと文章で書かれています。つまり氷山の一角で、水面下には多くのデータと知見が隠れているわけです。その隠れた部分を専門外の人に分かりやすく紹介しようと企画しました。  私の師匠は言いました、「研究なんてものは、本来、貴族の趣味だったんだよ」と。だからというわけでもありませんが、私は多分に趣味的な研究を、勤め人の仕事らしく包装して論文にしてきました。つまらないタイトルの裏に、たまらない真意を隠して。

最近の記事

本当にあった無肥料で高収量が続く農業(2) 摘要

本文一般向けリライト耕作を続けると土は痩せる 土壌炭素は土壌肥沃度の指標だ。森林や草原を開墾し、耕作を続けると土壌炭素は減少する。言いかえれば、年々収量が減ってくる。とくに熱帯では減り方が速い。そのため、古い農地を放棄し、新たな農地を開墾することになる。アマゾンの熱帯雨林の破壊が進むのはこのような事情によるもので、耕作による土壌炭素の減少を止めることが緊急かつ重要な課題となっている。 窒素施肥は土を肥やさない 土壌炭素の減少には窒素施肥が影響している。窒素施肥は作物の

    • 本当にあった無肥料で高収量が続く農業(1)タイトル

      タイトルApplication of High Carbon:Nitrogen Material Enhanced the Formation of the Soil A Horizon and Nitrogen Fixation in a Tropical Agricultural Field (和訳)熱帯農地における高炭素:窒素比資材の投入は土壌A層の形成と窒素固定を促進する 我ながら、これでは全く主旨が伝わらないと思う。 真の主題実はこのタイトルは査読過程で変更さ

      • 無肥料で増収して食料自給率を向上する

        食料安全保障には自給率向上が必要食料輸入は厳しさを増している 食料安全保障の観点から、食料自給率の向上が喫緊の課題となっている。気候変動や紛争により世界の食料が不安定さを増すなか、日本の経済力は年々低下し、輸入の厳しさが増しているからだ。ところが自給率を向上しようにも、日本は化学肥料を輸入に頼っている。農業現場は人手不足で、自給率向上どころか、耕作放棄地が増大している。実は、これらをまとめて解決する方法が1つある。施肥をやめればいい。論より証拠、まずは実例をみてもらいたい

        • 星空が見える場所に住みたい

          いつの頃からか、星空を眺めることに関心をもつようになっていた。 とても幼い頃から。でも、実際に星空を眺めたことは、ひとつひとつ鮮明に覚えているほど、数少ない。 子供の頃、両親が共稼ぎだった私は、幼稚園から小学校を卒業するまで、夏・冬・春休みは母の郷里に預けられていた。中国山地の分水嶺の瀬戸内側、周囲を山に囲まれた村の夜空には、天の川がまさにミルクのようにくっきりと流れていた。 時が過ぎ、結婚が決まって、未来のパートナーをその村に案内した。私達は古風な考えを持っていたので、

        本当にあった無肥料で高収量が続く農業(2) 摘要

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          2本