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【おすすめ本】 『物語 イタリアの歴史』(藤沢道郎著・中公新書)

タイトルに偽りなし、歴史書というより物語。しかも危険なほど面白い。
全十話で一話につき一人の重要人物。彼らの生涯を軸にその歴史的背景を織り込み、西ローマ滅亡からイタリア統一までを描いている。
読み始めて舌を巻いたのはその力強くも品格ある語り口。
複雑なイタリア半島の情勢をここまで整理して面白い「物語」にしたのは凄い。
各話コンパクトでありながら、ずしりとした重みを感じるのは、構成が緊密で展開に無駄がないせいだろう。何をどのように切り残せばベストか確かな眼を感じさせる。まるで腕のいい庭師の剪定作業を見ているようだ。 
話のテンポがいい上にクスリと笑える箇所も(たまに)あったりするのでページをめくる手が止まらない。実に旺盛にして自在な筆使い。
一話読み終えるごとに、登場した場所や人物のことをネットであれこれ調べるのが至福だった。

ちょっと調べてみたけど知らない人物ばかりだし、第一イタリアに興味ないしという人でも歴史好きならとりあえず買っておけと言いたい。
何より「楽しく学べる」「折に触れ読み返したくなる」そして「イタリアに恋して行きたくなる」いう点では理想の歴史書でありガイド本だ。少なくとも僕は恋してしまった。ああイタリアに行きたい!🇮🇹

・追記
一つだけ残念だったのが地図。
基本文章ばかりで文中の都市や地域がどこにあるのかパッとわからないので地図が「要所要所に」欲しかった。

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