ソリストの後は末席で
これも少し前の話。(リアルタイムでなかなか書けない)
ある日のレッスンの空き時間、なぜか急に4大コンチェルトを弾きたくなりスマホのちっこい画面でネット楽譜を見つつさわりだけ弾いて遊んで、帰宅後ちゃんと楽譜を見て弾こうと本棚を探したものの一冊も出てこない。
そして思い出した。
どうせ私にもう弾く機会なんか訪れないと思って全部実家に置いてきたんだった。
オケをバックに演奏するソリストなんかに自分はなれない、別になりたくもない。
私ごときがこんな大曲を誰かにレッスンする機会も多分ない。
常日頃から自分にそういう言葉を浴びせかけていた。
元より劣等感の塊な上、この10年ほどは結婚と出産を経て、自分の価値も得られる未来も幸せもどんどん低く見積るクセがついていた。そして人生はどんどん停滞していった。
ああ、いつの間に、どれだけ勝手に簡単に自分を諦めてきたのだろう。
自分がネガティブなのは自覚してるつもりだったけど、それでもショックだった。
皆から「シンプルすぎてアラがバレバレの曲をなんでわざわざ卒業試験で弾くのw」と笑われても、絶対これを弾きたい!と選んだベートーヴェンのコンチェルトさえ置いてきてしまった事は、緩やかに自分を殺そうとしてたとしか思えない。
やはり手元に置いておこう。人生何が起こるかわからない。と思えたのは留学までしたのにダメダメのまま放置してたフランス語の勉強を再開して、仏検でも手応えを得る事ができたからかもしれない。
今世中に私がコンチェルトのソリストを務めるかどうかはわからない。だけど万が一その機会に恵まれたら、ソリストとして演奏した後のプログラムは、オーケストラに混じって末席で演奏する人になりたいとおもっている。
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