君の不安を終わらせに来た
元気がない。
なにって、世界の、国中の、みんなの元気が。
誰も明日が分からない。
分からないけどなんとか抜け出したくて、でもどうしようもなくて。頼りにしている誰かは画面の向こう。声は届けど寂しいばかりだ。
地震とか津波とか、そういう分かりやすい類の悲劇ではない。目には見えない、じわじわと心と身体を蝕んでいく病。
不安だ。
昨日の不安が今日も、そして明日も続く。その事実自体が不安だ。
立ち向かう心構えはあっても、それがどこまでもつかは分からない。今日踏ん張れたことが、明日はできないかもしれない。
「あと少しの勇気」が欲しいとき、人には思い出しやすい合言葉が必要だ。
”誰にも言えない孤独だとか
君の不安を終わらせに来た
君が生きるなら僕も生きるよ
ロックンロール イズ ノットデッド”
ロックンロール イズ ノットデッド
/作詞・作曲 山口隆
これは私が出会った合言葉だ。
「生きよう」とか「頑張ろう」とか、息苦しい言葉が蔓延する中で、”君が生きるなら僕も生きるよ”と言ってもらえた。
私はそれが嬉しかった。
生きることに気楽でいられる。苦しくても不安に立ち向かうことができる。
私が手にしたのは、サンボマスターのトリビュートアルバム『ラブ フロム ナカマ』だ。結成20周年を記念したこのアルバムには、総勢12組のアーティストがカバーしたサンボの名曲たちが収録されている。
CMやドラマ主題歌に起用された曲ばかりなので、どれかしら聞いたことはあると思う。
こんな時だから、せっかくだし、今まで食わず嫌いだったあなたも、ちらっとだけ聴いてみてほしい。
【収録楽曲】
ロックンロール イズ ノットデッド/SUPER BEAVER
できっこないを やらなくちゃ/BiSH
光のロック/ヤバイTシャツ屋さん
青春狂騒曲/MONGOL800
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ/Fear, and Loathing in Las Vegas
夜汽車でやってきたアイツ/銀杏BOYZ みねたかずのV
ラブソング/My Hair is Bad
世界をかえさせておくれよ/打首獄門同好会
さよならベイビー/10-FEET
二人ぼっちの世界/岡崎体育
美しき人間の日々/Ichiro Yamaguchi+Setsuya Kurotaki
そのぬくもりに用がある/奥田民生
私はSUPER BEAVERがカバーするということで、このアルバムを知った。
ビーバーをはじめ、ヤバT、モンパチ、ベガス―――参加するアーティストたちに共通するのは、「歌詞」への絶対的な信頼だ。
言葉の持っているパワーを曲に乗せて増幅させていく。心の叫びをありのまま再現するサンボのスタンスと合致しているからこそ、彼らの歌う曲は良い意味で”サンボのまま”だ。
世界中の誰もが不安で、イライラして、やりきれない今日。
私たちが触れ合う言葉はいつの間にか、悲しみや嘆き、悪意と怒りに満ちてしまっていないだろうか。心ない言葉でぶつかり合い、傷付け合うことに慣れてしまっていないだろうか。
ぼろぼろになった心を癒し、ときに奮い立たせる言葉たち。
それが、サンボ歌詞の正体だ。
”君の不安を終わらせに来た”
20年間、まぎれもない「あなた」に向けて歌い続けたサンボだからこそ生み出せた名曲たち。
命に染み渡る言葉に、あなたも触れてみてはいかがだろうか。
記事は基本無料公開にしようと思うので、やまびこの明日のコーヒー代くらいは恵んでやってもいいぜという方は、お気軽にご支援ください。気長にお待ちしております。