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ブランディングでブランドは生まれない

FUJIFILMの決算時発言が炎上している。
FUJIFILMのカメラ、日本国内で供給が足りていなく、プレミア価格が続く。最中に敢えて供給を増やさない旨を発言。その上、ライカの様なプレミアムブランドを目指す為、高級商品の充実を図ると宣言。
しかし本来FUJIFILM商品はニッチマーケットが得意。それ故にカメラ業界でも独特なポジションを得ていた。確かに一部プロやハイアマで使われる中判カメラで、圧倒的な存在感を持つ。しかし本領はセンサーの小さなAPSやチェキなど、ライトな若者に人気であった。特徴ある機能やデザイン、比較的安価な価格設定が受けていた。それがこの発言。FUJIFILMファンから総スカンを喰らっている。

FUJIFILMの経営陣はブランドを勘違いしている。ブランドは高品質と歴史とストーリーが必要だ。そこで初めて顧客がブランドと認めるもの。
日本人の多くは勘違いしている。高級な材質で(高性能ではない)デザイン重視(俊逸なデザインとは限らない)高級な雰囲気(あくまでも雰囲気)で売っている事がブランドと。

ストーリーを少し説明したい。
難破した船の荷物が海岸に打ち上げられた。とある鞄は中がほぼ無傷であった。現在も人気のブランドバッグである。
とあるメーカーが高価格帯新車種を新ディラーで発表。爆発的に売れた。しかも走行中の静寂性が素晴らしいと評判に。これに慌てた高級車の代名詞メーカーが、この車種を買い込んで分解徹底研究したとか。
皇室献上された日本酒。お召しになった皇族の方々が美味しいと呟かれたとか。

最近ブランディングという言葉が横行しているが、コンサルの詐欺的手法だと思う。数年前、日本各地でブランド米と呼ばれる新品種が流通された。今、コシヒカリを上回るブランドが残っているか?そこからブランド米として認知されるお米があれば、それは数十年後の話で、ブランディング戦略は何も寄与していないだろう。

30〜40年前、日本でブランドブームが起こった。アパレルもこぞってブランド立ち上げに疾走。しかし今に残るアパレルはほぼ無い。車メーカーも高級車を携えて新ブランドディラー発足。とあるメーカーのディラー以外は、細々と残るか消滅した。
そんな時代を経てブランドの意味を知った。本物の高品質を作り続け、歴史を重ね、そこからストーリーが生まれる。そして初めて市場がブランドと認める。
そこを目指すのは結構な事だ。しかし目の前の戦略で、それを演出しようとは浅はか。
ブランディングという言葉に踊る経営者は、企業を滅ぼすだろう。
FUJIFILMの現場の技術者は優秀と思う。しかし。

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