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モダン・タイムス

 金曜日に運転免許の更新に行って来た。
 一応ゴールドドライバーですはい。
 天気のせいか、体調があまりよろしくなかった。年のせいか。車を運転しながらふと思う。ここ日本では儒教の影響なのか「年寄りは敬いなさい」と教えられるのだが、初老と言われてもしょうがない年を食った小生から言わせて頂くと「敬わなくてもいいから優しくお願いします」ただそれだけだ。     簡単な例で言うと介護施設で働いていた頃、同僚は「介護をさせて頂く」と言っていたのだが「介護致します・介護します」でいいんじゃないかと。「介護させて頂く」とまで卑屈にならなくても。。。だがこの「させて頂く」というのは標準になっているようだ。

 6年ぶりに到着した運転免許試験場。無機的な建物に見えた。ぞろぞろと沢山の人が入って行く。幾つかの窓口を並び並びしながら流れ作業の如く手続き&簡単な講習は終わった。勤めている職員の人達は毎日この「流れ作業」をこなしているのか・・・小生にこういう仕事は耐えられるだろうか。
 昔のこの免許試験場には食堂やら休憩所があって喫煙もし放題だった。
 今はそれらは全部無くなった。

 数十年前の大きな工場へ勤務していた頃を思い出した。社員食堂でご飯を食べている際は、ベルトコンベアーに乗っているような気分になった。
 正直社員食堂の食事はおいしいとは思わなかった。ただ生きる為だけに食べていたような。食べるものがある。ある意味贅沢な話ではあるのに。

 試験場の様子を見ていてチャップリンの映画「モダン・タイムス」も思い出した。DVDを持っているが何度見ても面白いと言うか、チャップリンの強烈な現代文明への風刺が痛快だ。圧巻はあのチャップリン扮する工場従業員の食事シーンなのだがこれ、現代でも形を変えて起こっているコトやモノがあるんじゃないかとあれこれ思想が飛んだ。

 帰りの運転の際、アブラゼミもツクツクホウシの声も聞いた。
 夏の妖精の声。随分遠くなってしまったなと思いながら帰途についた。

 今日のBGMはチューリップ「夕陽を追いかけて」でした。

 

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