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【オンライン】 ミャンマーにおけるクーデターの日本社会&ビジネスへの影響と展望

サステナビリティ推進チームでは、様々なテーマで勉強会を行っています。
3月24日(水)には、政変に揺れる「ミャンマー」をテーマに、前回の1988年を現地で経験している有識者、Z世代、現地駐在記者、ビジネスリスクアドバイザーから、ミャンマーにおけるクーデターの日本社会&ビジネスへの影響と展望についてお話を伺いました。ECFA会員、官公庁、民間企業、NGOs、学生、独立行政法人などから267名の方に参加頂きました。

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2021年2月1日、国軍による、国家緊急事態宣言が発出されました。
その日から、実質的に、立法、行政、司法が軍に委ねられました。この事態を国軍は合法的であり、クーデターではないこと、そして民主主義に反する行為ではないと主張しています。一方で、国際社会では、軍によるクーデターと受け止める声が大きく、軍事政権への逆戻りを避けたい多くのミャンマー国民が、抵抗を続けています。

勉強会では、ミャンマーで1988年に起きた'クーデター'と、今回の緊急事態宣言発出の背景、相違点と共通点について、伊野憲治教授(北九州市立大学)からお話しいただきました。軍事政権下で、自由と未来を奪われ恐怖と共に生きてきた多くのミャンマー国民は、2011年のテインセイン政権以降、徐々に自由な発言が出来るようになりました。「辛かったあの時代には、絶対に戻りたくない」「子供に同じ思いをさせたくない」「自分と国の未来を守りたい」という強い信念の下、多くの国民がデモ活動により軍への抵抗を続けています。この抵抗は、国軍が思い描いていたシナリオを遥かに超えたものだったのではないか。伊野先生のお話を伺いながら、国軍と国民が抱く世界観の大きな溝を改めて感じました。

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その後、今もミャンマーで取材を続ける共同通信の斎藤真美記者から、2021年2月1日以降のヤンゴンの様子、規制・弾圧を受けながらも強い信念の下で、SNSも駆使しながら情報発信を続けている報道・メディア関係者の様子を届けて頂きました。また、デモに参加しない国民、仕事を継続する公務員、そして軍の家族に対する、国民からの誹謗中傷、いわゆる 'social punishment' が起きている事も伺いました。
裏話となりますが、インタビュー後に、「帰国のご予定はないんですか」と伺ったところ、「最後まで残ることになりますね」と。使命感と覚悟を持ち合わせた姿に、「自分にできることは何か?」を改めて考えました。

海の向こうミャンマーでデモに参加する同世代と、SNSで連絡を取り続け、その姿をつぶさに見てきた一橋大学大学院の笹森奎穂さんから、ミャンマーのZ世代が抱いている想いについて伺いました。裏話として、笹森さんの後輩(東京外語大学生)を始め多くの日本人や海外のZ世代がミャンマーのために声を挙げています。「何が彼ら・彼女らを突き動かしているのでしょう」と尋ねると、「友人が困っていれば、助けたい」と。人として普遍的な価値や大切な信条を、今一度、胸に。

グローバル企業の危機管理アドバイザーを務める、Romain Caillaud さん(SIPA Partners代表)からは、ミャンマーで起きているこの未曾有の事態に、ビジネスサイドが取るべき対応について、「多くの異なる情報を入手し現状分析に努める」「最悪と最善のシナリオの双方を状況に応じて検討」「対外的な誤解・偏見を避けるために、ビジネス上の理念を基に、自分たちの立場を明確にする=発信する」「軍系企業、軍用地、軍への資金流入に繋がるビジネスを行っていないか精査」「欧米各国の経済制裁の自分たちへのビジネスの影響を見極める」など指南いただきました。

今回の勉強会は、盛り沢山の内容だったため、最後は、時間が足りなくなりましたが、様々な立場の方から違った角度でお話しを伺うことができ、主催者としても、ミャンマー情勢に対する理解が深まる良い機会になりました。

2011年以降、ミャンマーの民主化が進めにしたがって、日本のODAも民間投資も大きく増加しました。開発コンサルタントの仕事も増え、私たちは、多くの友人やカウンターパートに恵まれました。

今後、平常時の支援だけでなく、紛争地域での支援も経験している我々が、専門性を活かし、知恵を出し合い、ミャンマーの国づくりのために、ミャンマー国民のために、開発コンサルタントとして何が出来るのかを考えていきたいです。 

■ 当日の動画はこちらからご覧いただけます。

(文責:サステナビリティ推進チーム チームリーダー 菊池淳子)


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